偽装魚の実態シリーズ
外国魚・深海魚・開発魚の謎の絆を解き明かす偽装魚相関図7・白身魚
ギンダラや銀陸奥の煮付け・惣菜は深海魚のマジェランアイナメ
写真は鰤(ぶり)の照り焼き
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「ギンダラ」や銀陸奥(ぎんむつ)に偽装されるのは、「マジェランアイナメ」や「ライギョダマシ」です。銀鱈と書くので上品な鱈(たら)の一種と思いがちですが、ギンダラは開発魚(※下記参照)で、水深・数百mもの深いところに棲む深海魚なのです。脂の乗りがよく人気があるため、開発魚のギンダラに対して深海魚のマジェランアイナメ、またはライギョダマシが偽装される極めて珍しいケースなのです(一般的に、本物魚の偽装として開発魚が使用されます。しかし今回は、開発魚に対し別の外国魚・深海魚を使用)。
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マジェランアイナメは、スーパーではメロと呼ばれ、「メルルーサ」とともによく売られています。ギンダラや銀陸奥は、主に照り焼き・煮付け・フライ・惣菜にされます。年配の方は、デパートの惣菜売場でこれらの魚を高級魚と思い、気の毒にも高い金を出して買っています。開発魚・深海魚を本物魚に偽装することは、実に利益率が高くドル箱です。市販の魚惣菜売場は、開発魚・深海魚だらけなのです。
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ある有名粕漬け・味噌漬け店では、1階の小売販売は表示義務があるので本物魚、2階の同じ魚の魚定食は飲食店扱いのため表示義務がなくなり、偽装魚(深海魚・開発魚)を出す徹底ぶりです(笑)。因みに、銀陸奥は実存しない魚(商売用の架空の名称)です。
図の見方 本物魚(緑)に対して、実際は様々な偽装魚(黒)が使われていることを指します。
■開発魚とは、独立行政法人水産総合研究センター・開発調査センターが、日本人の味覚に合う魚や従来から食べられてきた一般的な魚の食感に似た外国の別種魚や深海魚などを、世界中の海洋から探し出してきた魚の総称です。開発魚は正当な魚であり、それを鯛などの本物魚に偽装して販売する水産業者・食品業者が問題なのです。
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ギンダラ(
開発魚)/体長50cm・最大100cm、日本近海から北洋を経てカリフォルニア湾で獲れる、アイナメやホッケに近い種
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メルルーサ(
開発魚)/体長40~60cm、ニュージーランド南部、アルゼンチン・チリ南部、南アフリカ南部の沖で獲れる、切身・惣菜品・ムニエル・フィッシュバーガー・フライ、スーパーで一番認知されている魚、肉質は白身で淡泊、メルルーサはスペイン語読みで英語はヘイク
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マジェランアイナメ(深海魚)/体長70~200cm、ニュージーランド近海・パタゴニア~スコシア海・南極半島北部で獲れる、水深1500mに棲む深海魚(アイナメとは全く別種)、フライ・照焼き・煮付け
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ライギョダマシ(外国魚)/体長70~200cm、南氷洋
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開発調査センターのサイトから、開発魚・外国魚・偽装魚の写真がご覧になれます。
当カテゴリ
「開発魚・偽装魚を見よう」のご案内ページの説明に沿ってリンクして下さい。
ギンダラはサイトの「
魚名・はくせい」欄の両方を、
マジェランアイナメは「
はくせい」欄、
メルルーサは「
魚名」欄、
ライギョダマシは「
はくせい」欄をご覧下さい。
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ここでいう相関図とは、対象魚の魚種や科目が繋がっているのではなく、本物魚に偽装された魚同士を相関関係があると設定したものです。