食品のカラクリシリーズ 料理キット宅配・宅配弁当/食べ物視点
共働きが進み「料理キット宅配」へ・高齢化が進み「宅配弁当」へと様変わり
栄養面から料理キットなどは補助的にして手料理で多様性のある食事を
宅配冷凍弁当パンフ例
■料理キット宅配は包丁が入れられた食材・調味料が付いて10数分で完成
職場への女性進出の加速、非正規社員・パート化が進んだことから、共働き世帯が急速に増えています。1980(S55)年は共働き世帯614万・専業主婦世帯1,114万が、2016年では1,129万・664万と、すっかり逆転しています。インターネット・宅配便の発展もあり、共働き世帯には「料理キット宅配サービス」が大人気です。料理キットとは、2~3人分単位で肉と副菜(生の野菜)の組み合わせで、食材は一定の包丁が入れられ、調味料、レシピ付きです。パックから取り出しそのままフライパンで炒めれば、10~20分で料理が完成します。加工食品・レトルト品では味わえない手作り感、健康に配慮、料理時間が短縮でき、東京・大阪など大都市部の共働き世帯に絶大な支持を得ています。そんな背景から提供食品会社は料理キット宅配に力を入れ、1社当たり年間数十万食、全体では数百万食(宅配弁当含む*後述)の規模で運営しています。
生協系、食材系の食品会社・弁当(配膳)会社などがあり、異業種からの参入も目立ち乱戦気味です。いずれの会社も、例えば酢豚・ニラレバ炒め・洋風メニューなどのセットメニューを数十種に増やしています。ただ1人前換算すると500~700円と、スーパーで揃えるより割高感が否めません。それでも美味しさ・手軽さ・買い物へ行かないで済むことを考えると、かなりメリットを感じる共働き世帯層が存在します。特に主婦は会社から家庭に戻ってきても、調理、洗濯、子育てと息を付く暇もありません。手料理が望ましいとは言え、時間的には限界があります。社会の構造が変化したことから、需要がうなぎ登りになっているのです。今後もこの分野が期待されることから、国産食材、魚食材を増やす、低カロリー・塩分控えめ、有機野菜の採用・食品添加物不使用など、メニューアップが進んでいます。
■料理キット・宅配冷凍弁当の欠点はビタミン・ミネラルなどの栄養素が不足
一方、「宅配弁当」も徐々に売り上げを伸ばしています。今まで料理キットを利用していた方、家庭で一般的な調理をしていた方が高齢になり、宅配弁当へ移行しています。高齢になると料理キットでも調理負担を感じる、あるいは配偶者を亡くし単身では、2~3人前のセットは使い難くなるからです。宅配弁当といっても、初期の頃の毎日ご飯付で届けられるタイプから、宅配便を利用し1週間分まとめて・冷凍で届く(ご飯なし)スタイルへと変化してきています。後者なら、毎日、お仕着せの弁当だけでなく、自炊・外食など一定の自由な食事がミックスできるので、利便性が良いためです。このように共働き世帯、高齢者世帯(単身も含む)の大きな層の食生活の在り方が変化しつつあります。コンビニ業界も店に買いに来る客を待つのではなく、宅配業務の参入・拡大を余儀なくされているのです。
ただ問題は、料理キットましてや宅配弁当は、食材・野菜のカルシウム、ビタミン・ミネラルの栄養素が不足がちです。どちらのタイプにしても、そればかり食べていては栄養上支障をきたします。食事の基本は、多様性です。できれば料理キット・宅配弁当は補助的に利用し、時間が取れる時は手料理などバラエティーな食事をすることが必要です。料理キット・宅配弁当を検討されている方は、代表的な提供先(ごく一部)をあげましたので参考にして下さい。
*宅配弁当は画像を見る限りボリュームがありそうに見えますが、実際はそうでもない(苦)。健康志向、塩分控えめにしなくてはいけない方も多いことから、総じて薄味です。その点を、留意願います。
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