食品のカラクリシリーズ 食料廃棄を減らす
ファミマ鰻弁当を完全予約販売にしたら利益7割増に・廃棄減少が貢献
恵方巻き・鰻弁当・クリスマスケーキの季節商品は予約制の流れに
■店舗オーナーの廃棄負担が8割減・利益が7割増の好結果
ファミリーマートは食品ロス削減の一環で、2019年の土用丑の日(7月27日)の鰻弁当を「完全予約制」の販売に切り替えました。その結果が発表されました。前年の一部予約と店頭販売が主体の組み合わせに比べ、今年は店舗(加盟店オーナー)の利益が平均で約7割増えました。利益アップの要因は、廃棄費用が8割減と大幅に減ったことによるものです。反面、販売額は約2割減少しました。なおファミリーマートは昨年との比較値は発表しましたが、実際の金額は公表されていません。
予約は16400店(一部店頭販売)で展開され、6/1~7/24まで実施されました。特上・鹿児島産うなぎ蒲焼重2680円、上・蒲焼重1980円など4種類が対象でした。予約件数は前年の約2倍に増えましたが、販売額は当日の購入客を取り込めず前述の通り約2割減でした。本部の利益は、前年並みでした。一部の店が店頭販売したため廃棄が発生し、完全予約制の店より利益を押し下げたと分析しています。商品の廃棄は店舗が負担するため、この部分の改善が効果的でした。
■大量廃棄をなくすため他社も季節商品の予約制へ追随して欲しい
同社は4月に、短期間の季節商品である恵方巻き、鰻弁当、クリスマスケーキの3品目の「完全予約制」を打ち出しました。今回の検証は、廃棄削減と加盟店の利益増を両立させた結果となり、季節商品の「完全予約制」がコンビニ全体に広がる可能性もあるとしています。やはり飲食店、なかでもコンビニは食料廃棄分がせっかくの利益を食ってしまうことが、見事に実証されました。今後、残りの品目も好結果が出されることが期待されます。コンビニでは販売量が少ないですが、お節料理も廃棄が多い品目です。なおこれらの3品目は、従業員・アルバイトへのノルマを課すことが多く、今回の検証では明らかになっていません。
安物の企業や管理職は売上実績に走りますが、本来、企業の重要なことは「利益」です。その点から見れば、ファミリーマートの考え方は正しいと思います。まして品不足・“貴重品”の鰻が、食べられずに食料廃棄されるのは罰当たりです。コンビニの飽和状態(行き詰まり・競争激化)、厳しい24時間営業に対するオーナーの反発、また社会からコンビニの大量食料廃棄が叩かれ、もはや企業体質が変わらざるを得ない現実があるようです。コンビニ他社さらには食品関係会社の多くが、食料廃棄の改善の方向に動き出すことは歓迎すべきことです。まず1歩が、季節商品の「完全予約制」です。
恵方巻きが大量に売れ残り食料廃棄の深刻化と店員へノルマ・買い取り強要
お節料理もXmasケーキも数か月前の秋から造り溜めしたもの