やらなきゃいけないことが色々あるのにも関わらずまたまた本の感想をちょっとだけ。
『宇宙舟歌』(R・A・ラファティ著、柳下毅一郎訳、国書刊行会)
ラファティのSF連作です。舞台が宇宙の、船乗りたちの冒険譚です。
一仕事終えてあとは故郷に帰るだけ、という状態の船乗りたちが、「変える前にいっちょ噂の例の星で遊んで帰ろうぜ」と欲を出し、そこで囚われたりしたものの何とか抜け出し、脱出したものの不時着した星でトラブルに巻き込まれ・・・。
という繰り返し(笑)。頭の中まで筋肉っぽい主人公のキャプテンロードストラムが最高です。
その奇妙な味わいから「ラファティのように書く作家はひとりもいない」と言われただけあって、奇妙奇天烈、滅茶苦茶です(笑)。しかも乗組員たちは結構あっさり死んでしまうのですが、その星にしか適用されない法則で蘇ったりするので、死んだはずの乗組員がまた何食わぬ顔で冒険に参加していたりします。ちょっと(だいぶ?)ややこしいかも。
ちなみに幻水4プレイ済みのごく限られた読者にしか面白くなさそうな箇所が一個。
「スノウ」という名の乗組員がいるんですよ(笑)。しかも初めて死ぬときの描写が他人とは思えません。
「スノウはうめき、わめき、悲鳴をあげた。スノウ乗組員は往生際の悪い奴だったのだ。」
って(笑)。子孫?(笑)
解説で言及されているとおり、「オデュッセイア」のような英雄譚ですね。まあお世辞にも尊敬できる英雄ではありませんが(笑)。一歩間違うと少年漫画の打ち切り的な希望たっぷりな結末はいっそすがすがしかったです。