わたくし黒猫ブランカのデカダン酔いしれた暮らしぶりのレポートです。白い壁に「墜天使」って書いたり書かなかったり。
皆様ごきげんよう。夜なんだか朝なんだかわからない時間を愛する黒猫でございます。こんな人間でごめんなさいよ。
9日に『歓びを歌にのせて』というスウェーデンの映画の試写に行って参りました。
素晴らしい映画でした。音楽好きな人には特に観て欲しい。
世界的な指揮者のダニエルは、その激しい指揮ぶりからか、ある公演中に倒れてしまい、医者に長期療養を勧められる。そこでダニエルは7歳まで過ごしたスウェーデンの片田舎の村に廃校を買い、そこに引っ越す。生まれて初めてといえる予定の無い生活の中で、ダニエルはひょんなことから村の聖歌隊を指導することになる。聖歌隊には老若男女様々な人間が所属していて、皆それぞれ様々な事情を抱えていた。ダニエルはその中でも始終彼氏を入れ替えているレナにそこはかとなく惹かれるが・・・?
というようなお話です。
人づきあいの得意でないダニエルが今までの生活から離れ、やっと手に入れた孤独と平穏を何か違うと感じ、そろそろと手を伸ばし、おっかなびっくりながら人と触れ合おうとする姿が胸を打ちます。というか、わたしこういう人見知りだけど構って欲しい、みたいなタイプに弱いのです(笑)。しかも音楽好きなので、彼に指導されながら段々とまとまっていき高度なハーモニーを作り上げてゆく聖歌隊もたまりません。そんなダニエルの聖歌隊に参加してどんどん変わってゆく妻に嫉妬心を抱く牧師もたまらん(笑)。いいよいいよ、こういうひねくれた人、大好きです(それもどうよ)。しかもこの牧師、妙にイケメンなのです(笑)。そこがまたイイ。最初はいかにも聖職者然として登場したのに、どんどん人間らしい醜さが。それは普通の人間ならどうということはない、抱いて当然という感情なのですが、この牧師は自己に求めるモラルが高すぎるので、そんな感情を抱くことに葛藤するのですね。
他にも酒を飲むと妻に暴力を振るいまくるドメスティックバイオレンスな夫を持つ女性やら、やたら潔癖で他人にもそれを求める中年女性やら、色んなメンバーを抱えつつもひとつのハーモニーを作り上げようとするダニエルのひたむきさが素敵です。
全体的にどこもかしこもわたし好みで、特に最後の合唱コンクールの会場のシーンは圧巻だったのですが、ラストが・・・。この点だけがわたしとしては不満でした。これはこれでいいのでしょうか。ううーん・・・。
でも観て損はない映画だと思いますよ。親父好きの方は特に(笑)。
多分ミニシアター系の公開になるかとは思いますが、機会があれば是非どうぞ。
ちなみに今回、試写の会場になった「全電通ホール」、試写会場としては微妙でしたよ。多分映画を観るというより講演会などに使われる会場なんだと思います。英語じゃないのなら字幕がなければ絶対意味わからん!と思い(イヤまあ英語だって字幕なきゃわかりませんが)、傾斜のある席を選びましたが、前のほう5~6列ほどはただ椅子が並んでいるだけ。あれだと前の人の座高が高かったら字幕見えなかったんじゃないでしょうか。
皆様ごきげんよう。黒猫でございますよ。
この二日ばかり日記が走り書きチックに成り下がっておりましたが、今日は腰を据えて書こうかと思います。こんな時間ですが(笑)。
劇団キャラメルボックスの『クロノス』を観て参りました。
キャラメルボックスの公演を観るのも初めてなら、サンシャイン劇場(池袋)も初めて。わくわくを通り越して、もう着く前から挙動不審です(笑)。
今回の舞台、わたしの崇拝する梶尾真治先生の『クロノス・ジョウンターの伝説』が原作ということで、とにかくわくわくしておりました。
今回の舞台はその中の一編『吹原和彦の軌跡』を舞台化。
舞台版のあらすじは、
吹原和彦はとある企業で物質や人を過去に送る「クロノス・ジョウンター」という機械の研究をしている。ある日、病院で偶然高校のボクシング部時代の後輩、頼人と再会する。聞けば、彼の姉、来美子も今彼と一緒に住んでおり、吹原の職場のすぐ近くの花屋で働いているという。実は彼女は吹原の初恋の人だった。吹原は来美子と再会し、店に通って少しずつ旧交を温める。
が、ある日、来美子の勤める花屋にタンクローリーが衝突し、店にいた来美子は事故に巻き込まれて亡くなってしまう。呆然とする吹原。・・・いや、待て。もしも過去に行って彼女にこれから事故が起こることを伝えることができたら、彼女は助かるんじゃないのか?クロノス・ジョウンターを使えば、それが可能なんじゃないのか?
吹原は周囲の制止を振り切って、未だ実験段階のクロノス・ジョウンターで過去に飛ぶが・・・!?
というようなお話です。
舞台、素晴らしかったです。
原作とは違い、主人公吹原和彦とヒロイン蕗来美子は学生時代に学校が同じで面識がある、という設定でしたが、これはこれで良かったですね。中学から高校まで5年間同じ学校にいたのにロクに口も聞けずに終わる、そんな吹原さんの純情ぶりに胸キュンです(笑)。原作でもとてもシャイな男性なんですけどね。
口下手で不器用で、ボクシングは激弱だけど、一度決めたら決して諦めない強い心を持っている。そんな男性として描かれていました。今こんな男なかなかいないよねぇ、とか妙な感慨を持って観劇しました(笑)。
役者さんたちのコミカルだったり力強かったりする演技も素敵だったし、何よりも舞台奥にでーんと据えられたクロノス・ジョウンターに感激。ああ、これだよねえ、こんなんだよねえまさしく!と言いたくなるような、素晴らしい出来栄えでした。
それにしても吹原さん役の俳優さん、菅野良一さんは、最初から最後までほとんどずっと舞台に出ずっぱり。体力勝負です。いやあ、すごいですね。その根性を称えたいです。
ちなみにもう持っているのに『クロノス・ジョウンターの伝説』をまた購入。だってサイン本だったんだもの。わあ、これがカジシンの筆跡なのね!そのあたりを撫でさすりつつ(キモいよ)生涯大事にしたいと思いますvv
小説が映画化やらドラマ化されると、「あの話はこんなんじゃないんだッ!!こんなとこまで変えやがって!!ムキーッ!!」とかなることが多いのですが(わたしだけかもしれませんが)、今回の舞台に関しては変更箇所があってもしっくりきていましたし、いい舞台だったと思います。おすすめ。
ちなみに今一番気になる映画化作品は『さゆり』。前評判だけでも相当えらいことになっているのが窺えます。・・・どうなっちゃってんだろう・・・。観に行くべきか否か。ミシェル・ヨーの舞妓ぶりは見てみたい気がします。初桃さん姉さん(主人公さゆりをイジメ抜く先輩芸妓)役なのかなあ、やっぱり。しかしそんなにも日本人の女優で英語が出来る人がいなかったのかしら・・・ミシェル・ヨーはアクションしてナンボでしょう(笑
)。もういっそ母国語で演技させて吹き替えしちゃえばいいのに。香港映画とか結構多いと思いますが。あ、インド映画もな(笑)。