満月と黒猫日記

わたくし黒猫ブランカのデカダン酔いしれた暮らしぶりのレポートです。白い壁に「墜天使」って書いたり書かなかったり。

『怪談』

2007-08-10 00:25:41 | 映画

皆様ごきげんよう。今日はディ・モールト疲れていたけど頑張ってジムに行ってきました黒猫でございます。明日はご褒美に飲みだぜ!ベネ!(そのために頑張った)

いっけね、興奮してジョジョ語出ちゃった☆
ちなみに「ディ・モールト」は「とても」、「ベネ!」は「とてもよい、good」みたいな意味で使いましょう。


それはさておき、ずいぶん遅くなってしまいましたが、レビューです。

『怪談』

幼い頃に親を亡くした新吉(尾上菊之助)は、煙草売りをして生計を立てていた。ある時、新吉は美しい富本(長唄みたいなもの?)の師匠・豊志賀(黒木瞳)に出会い、次第に惹かれていく。豊志賀もまた少女の頃に親を亡くしていた。実は武士だった新吉の父が、借金返済の催促に来た豊志賀の父を斬り捨ててしまったのだ。

ふたりは親の因縁も知らぬままに次第に心を通わせ、やがて新吉は豊志賀の家に居候するようになる。が、親子ほども年の離れたふたりの仲を世間はよく思わず、世間体が悪いからと豊志賀の弟子は次々と辞めていく。
新吉が自分の弟子の若い娘・お久(井上真央)に優しくしているのを見て嫉妬に駆られた豊志賀は、新吉と言い争い、はずみで左瞼の上に切り傷を負ってしまう。その傷は治るどころか次第に大きくなり、そのせいで次第に衰弱し、外に出ることもままならなくなった豊志賀は、身も心も新吉に頼り切るようになる。

一日のほとんどを豊志賀の世話に費やさねばならないことに疲れてきていた新吉は、花火大会の夜、偶然お久と再会した。
自分を好きだったと打ち明けられた新吉は、義母との折り合いが悪いこともあって、江戸を出て羽生に移るというお久と共に江戸を出ることを決める。

しかし、新吉が決意も新たに叔父の家(本来はここに住んでいた)に戻ると、豊志賀が訪ねてきているという。起き上がれるほど具合がいいはずがない。とにかく駕籠を呼んで豊志賀を帰そうとしていたところに、「豊志賀が死んだ」との連絡が入る。そんなはずはない、ここにいるじゃないか、と駕籠を開けてみると、さきほどまでいたはずの豊志賀の姿はどこにもなかった。
信じられない思いで新吉が豊志賀の家に戻ると、豊志賀はすでに息を引き取っており、粛々と弔いの準備が進んでいた。呆然とする新吉に、豊志賀からの手紙が手渡される。そこには「この先、妻を持ったら必ずや取り殺すからそう思え」という恐ろしい言葉が記されていた。

豊志賀との思い出から逃れるように、新吉はお久と共に羽生を目指すが、途中、豪雨の中で豊志賀の幻を見て、豊志賀と勘違いしてお久を殺してしまう。そこは折りしも古くから死体があがらないことで評判の「累が淵」という沼のほとりだった。

幻の中で豊志賀に首を締められて気を失った新吉は、羽生の長者の娘・お累(麻生久美子)に発見された。看護をするうちにお累は新吉を気に入り、それを受けたお累の両親から婿入りの打診を受ける新吉。一度は断ったが、お累が自分の目の前で事故に遭い、顔に傷を負ったのに責任を感じ、婿入りを決意する。
初めのうちこそ仲睦まじい夫婦ぶりだったものの、子どもが生まれた頃には新吉は妻子を疎ましく思うようになっていた。

そんなわけで通うようになった妓楼で、新吉は妓女・お賤(瀬戸朝香)に「若旦那の秘密を知っているよ」と、お久殺しを盾に脅されるようになり・・・?

というようなお話。

講談の「累が淵」を下敷きにした話です。が。

新吉ホントどうしようもねえな。

という感じです(笑)。
誘いをかけられるとするっと乗るくせに疎ましくなったらさよなら、というパターンを繰り返す男。最悪です。そりゃ豊志賀も化けて出たくなろうというものです。「妻帯したら取り殺す」ってわざわざ手紙で言われてんのに、何故か結婚するし。アンタ何聞いてたんだ。

ですが、監督の意図として「新吉は女性からしたら最悪な男だけど、それでもどこか憎めないという感じで描きたい」というのがあったそうで。うーん、確かに相当酷いことをする割にはあまり憎めない感じではありましたが、それでもやっぱダメだと思うよ人として。
でもまあ、たとえひどい人でもこの人に惚れてしまったんだから、みたいな情念がないと怪談は成立しないので、仕方ないのかもしれません。こんなダメ男はすっぱり忘れて次!ってんじゃ話が成り立たないもんね(笑)。

劇中で豊志賀の幽霊が何度も新吉の前に現れるんですが、新吉はただひたすらうわあ、あっちいけ、的な対応しかしないんです。それもダメだよねえ。病みついてから死ぬまでの豊志賀は確かにすっかり依存型のウザい性格になってしまっていますが、それほどまでに新吉が好きだったんだと思います。そこまで求められると鬱陶しい、ということなんでしょうか。

豊志賀の死のあとは、逃げて逃げて逃げまくる人生の新吉ですが、最後にはやっぱり・・・といった感じのオチでした。

ホラーではありますが、話がなんとなくわかっているせいか、怖さはなかったな。怖がらせる、というよりも、ぞっとさせる感じで、日本の怪談かくあれかしと思いました。最近のホラーにありがちな音で驚かす演出もなかった点はとても良い。

黒木瞳の幽霊は綺麗でした。というか全体的に黒木瞳は綺麗だった(笑)。あと尾上菊之助は歌舞伎役者だからか、やはり和装と身のこなしが様になりますね。役柄はアレだけど演技はよかったと思います。

あとはエンディングの曲が浜崎あゆみだったのが微妙。時代物なんだから・・・。でもこれは最近のホラーの共通事項かもしれませんが。
コメント
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