満月と黒猫日記

わたくし黒猫ブランカのデカダン酔いしれた暮らしぶりのレポートです。白い壁に「墜天使」って書いたり書かなかったり。

『私のちいさなピアニスト』

2007-08-15 01:49:13 | 映画

皆様ごきげんよう。日曜あたりから背中が異様に凝るので、ジムで熟年の方々が愛好しているチタンだかゲルマニウムだかが仕込まれた紐状の肩凝り緩和ネックレスみたいなのを買ってしまいました黒猫でございます。イ、イチローとかだって使ってるんだからっ!年寄りだけってわけじゃないんだからねっ!(ツンデレ風に言い訳)
・・・果たして効くのだろうか。微妙に安かったし、不安・・・。

それはさておき、今日は試写会レビューです。

『私のちいさなピアニスト』

世界的ピアニストを夢見ながら、なかなか芽が出ず、とある街でピアノ教師を始めることにしたジス(オム・ジョンファ)。
同期の友人たちは皆自分よりも成功し、実家ではあれほどお金をかけて音楽教育を受けさせたのにものにならなかったと母になじられ、いたたまれない日々を過ごしていた。

新しく始めるピアノ教室では、プロを目指す子どもしか教えないと決めていたがジスだったが、ふとしたきっかけで、何かにつけて出入りしては悪戯ばかりする孤児のキョンミン(シン・ウィジェ)が絶対音感の持ち主であることに気づく。キョンミンの才能を見抜いたジスは、キョンミンを育ててコンクールで優勝できれば、自分も指導者として世に出られるとの目論見のもと、キョンミンにピアノを教えるが・・・?

というようなお話。

最初からなんとなく筋が読める話ではあるんですが、面白かったです。
ピアノを習ったことがある方や、クラシック好きな方なら結構メジャーな曲がたくさん出てくるので、そういう意味でも面白いかもしれません。

愛情からではなく、打算となりゆきでキョンミンにピアノを教えることになったジスが、やがて損得勘定抜きでキョンミンに愛情を注ぐようになり・・・というメインストーリーよりも、個人的にはジスの「世間から見たら失敗というほどではないけれど、本人としてはとても不本意な人生」という行き詰まり感がリアルに描かれていた点がよかったです。

同期の友人たちが皆自分より音楽的な成功を収めていることに対するやりきれなさとか、実家で「あんなにお金をかけたのに結局ダメだった」と母親に責められる苛立ちとか、それを庇ってくれる優しい兄とか。このお兄さんが出来た人なのがまた辛い。申し訳なく思う一方で、「海外留学さえできていればわたしは絶対成功したはずなんだ」という思いもあるようで、それを口に出してしまうシーンは痛々しかったです。

キョンミン役の子の最初の頃の可愛くなさも見事でした。公式サイトを見てみたら、この子は本作で映画デビューだそうです。実際にピアノの天才少年なんですね。確かに演奏中、全然吹き替え臭さがなく、不自然に手元アップとかなかったもんな。今後期待の新人なのかも。

ピアノ教室の階下にピザ屋があって、そこの店長・グァンホ(パク・ヨンウ)がジスに惚れてしまい、何かとつきまとうんですが(笑)、この人がいなかったら結構暗い映画だったかも。この人はひたすら道化役です。可哀想になります。ジスが演奏している姿を見てほぼひと目惚れのように好きになるんですが、ちょっと夢見すぎだと思いました(笑)。その後結構きつく当たられても全然めげないのは何故?不思議だ。
でも最終的にあんなことになるとは。ちょっとびっくり。
この役者さんは何度か見たことがあるなあ・・・あ、『武者 MUSA』にも出てたのか。

ちなみにわたしの泣きのツボ第一位は老人と孫なので、キョンミンのおばあさんをキョンミンがお見舞いに行くシーンで一番泣きました。キョンミンにつらく当たっていた理由が判明したときなんかもう。お、おばあさーん!韓国の年配の俳優さんってすごく演技達者な人が多い気がします。

一番最後に、成長したキョンミンが演奏するシーンがあるんですが、このピアニストは「韓国クラシック界の貴公子」と呼ばれているというジュリアス=ジョンウォン・キムという人だそうです。ここの演奏は見ごたえがありますよ~。ちょっと山崎まさよし似だと思ったのはわたしだけかなあ。
コメント
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