月刊パントマイムファン編集部電子支局

パントマイムのファンのためのメルマガ「月刊パントマイムファン」編集部の電子支局です。メルマガと連動した記事を掲載します。

アーティストリレー日記(161)バンバンさん

2025-01-24 19:47:35 | アーティストリレー日記

今号は、1/26に「カラダラボフェス16」に出演する、元TOKYOマイムカレッジ生のバンバンさんの日記をお届けします。3度目のリレー日記ご登場になります。

みなさま、こんにちは。バンバンです。
パントマイムが大好きです。
観るのも演るのも大好きです。
しばし、バンバンのつぶやきにおつきあいください。

演る方で、最近、面白かったのは、石彫刻とのコラボパフォーマンスです。
石彫家の千夏さんが槌を振り下ろすと、キーン、キーン、カーン、コンコンコンととても綺麗な音が奏でられます。そこにタップの音を沿わせていく、会話をするように。芸術館の軒先で、木々が風で葉音を鳴らし、冬の昼下がりの優しい光の中、胸像の彫刻の生い立ちを、パントマイムでなぞりました。お客様に、「今、この彫刻は何と言っていますか?」と聞いてみると、「千夏さん、ありがとう」とか「身体が欲しい」とか、てんでばらばらな答えが返ってきました。パントマイムって、本当に面白いです。同じものを見ているはずなのに、感じるものは違う。見ている人の環境やこれまでの経験、様々な要素が相まって演じ手の想像を超えた作品がお客様の中で完成するのです。演じる側には、伝えたいもの、表現したいものが確かな意識としてあります。物にとらわれず、セリフにとらわれず、思う存分自由に表現することができます。物もセリフもないから伝えたいことを伝えるのは難しいという面もありますが、いかにしたら伝わるかという表現技術の研究は生涯かけて取り組む価値があり、奥が深く、やりがいに満ちています。本当にパントマイムは面白いです。

10年ほど前、仕事で小児科病棟に訪問したことがパントマイムを演じ始めたきっかけです。産まれてからずっと病院に入院しほぼ寝たまま過ごす青年を笑わせたいという思いで始めたパントマイム。病院の閉ざされた白い壁を壊すのはパントマイムなら簡単です。空を飛んだり、海深く潜ったり、山の頂に立ったり、怒り、悲しみ、喜びを過度に思いっきり出したり、時空を自由に超えられる、なんと無限超越的な表現でしょう。出会った頃の彼は偏屈で、ほとんど笑うことがなかったけれど、パントマイムを見て、不覚にもニヤリとしてしまい、パントマイムで病室の外の世界を見ることで、出不精だった彼は、積極的に外出するようになりました。パントマイムの魔法です。

見るのも面白い、演じ手の人となりや人生が見えるから、時空をトリップできるから。私が最初にパントマイムを学んだTOKYOマイムカレッジには課題作品があり、ある程度のパントマイム技術を身に付けて演ってみたい生徒がシスターひろみ先生の指導の下で挑戦します。同じ作品で指導者も同じなのに、完成した作品はそれぞれ別物になっています。また、作品を見ていると突然自分の過去に飛ばされることがあります。空間の詩人清水きよし先生の作品を見ていると、柿の木に登って柿を服いっぱいに詰めて帰ろうとしたのを見つかり、おじさんに怒られているシーンで、自分が昔、団地住まいをしていた頃によく怒られていた強面おじさんを思い出し、芋づる式にあれやこれやと思い浮かび、深いノスタルジックに浸ります。知らず知らずのうちに泣いていることもあります。逆に宇宙や未来など、行けっこないところに飛んでいくこともあります。パントマイムは楽しいアトラクションです。

さて、そんなパントマイム大好きな私は、コロナ禍の頃から、振付家香瑠鼓先生にネイチャーバイブレーションを学び、その時に人や大地や宇宙から受け取る即興表現にはまっています。表現で私をいつも助けてくれるのはパントマイム。
今回、このリレー日記を書かせていただけたことで、改めてパントマイムの良さを再確認できたので、この好きの気持ちを大切にしながら、いろいろな表現をしていきたいと思います。見かけた時には「今は何をやってるの?」と気軽に声をかけてやってください。
直近の出演は、1月26日(日)13:00~ 下北沢スタジオルゥ
「カラダラボフェス16」です。
型にはまらない出演者の自由な即興表現の楽しさをご堪能ください。

バンバン

●「カラダラボフェス16」の詳細は下記をご覧ください。
https://facebook.com/events/s/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%82%BF%E3%83%A9%E3%83%9B%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%8F%E3%83%AB16/944958261012601/

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アーティストリレー日記(160)京本千恵美さん

2024-12-18 19:14:27 | アーティストリレー日記

今月は、マイムリンクの初期の頃から参加し、その抱腹絶倒のコメディショーでファンが多い人気パントマイミスト、京本千恵美さんをお届けします。リレー日記2回目のご登場です。

何を書いても良いとの事なので・・・私事を・・・。
私は1年前から白髪染めをやめて、自分でヘアカラーをしています。が、白髪にヘアカラーは中々どうして思うような色にならないのです。理由はネットで調べて分かりました。
ヘアカラーは黒髪を脱色した髪に入れるとパッケージのような色になります。が、白髪に入れると全く違う色になります・・・。
私は、絵具のようにヘアカラーの何かと何かを混ぜれば私の希望する色になる!と信じてこの実験?を続けてます(笑)
そして、もうかれこれ1年もヘアカラーと格闘してます(汗)
私の希望の色は「濃いグレーアッシュ」。白髪に「グレーアッシュ」いれたら緑になりました(汗)
ヘアカラーはシャンプーすると段々と色落ちをしていくので、いざヘアカラーも止めて白髪に戻すには、「グレー」が1番良い色だと言われたので。が、未だ実験は成功してません。ただ色々な色を何色も混ぜれば「グレー」にはなるのです。何故ならば、今、髪の先端15cm位は「グレー」になってるから。でもせめて2~3色で「濃いグレーアッシュ」にしたいのです。で、先週ネットで<紫髪から、グレーにするには何色を入れたらいいのでしょうか?>と言う、まさに私が求めていた質問を見つけました!回答は<そのまま、グレーをいれるといいです>と書かれてました。しかし、質問者さんの返信が書かれていないので成功したのか?失敗したのか?分からないのです。なので、自分でやってみるしか無いですね・・・。
先週、白髪に「魅惑のアッシュベージュ」を入れました、髪の毛青くなりました。次にその青い髪に「うっとりグレージュ」入れました、髪の毛紫になりました。ここまでは、今までの実験の成果で上手くいきました!!
来週、「グレーアッシュ」を入れてみます。
楽しみですね~。成功を祈っていて下さい。あっ・・・この結果が気になる方は・・・。
下記の公演にお越し下さいませ(笑)
しかし、本番はウイッグを被ってますので黒髪です。
終演後に「何色?」とお聞きください(笑)

公演は12/24日~28日まで行われていますが、私の出演日は12月27日(金)14時と19時です。
「スセリ☆台本劇場31」
会場:下北沢・小劇場楽園
チケット料金:4,000円(全席指定)
チケットの申し込みは↓
https://torioki.confetti-web.com/form/3352/12657
*12/27(金)の19時の回は一週間のアーカイブ付きで配信もされる事になりました。
料金:2,500円+253円(手数料)
申し込み:https://www.confetti-web.com/events/5209

京本千恵美

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アーティストリレー日記(159)しいなまんさん

2024-11-24 08:28:09 | アーティストリレー日記

今月は、東京マイム研究所出身で、はとりミームラボ、清水きよしワークショップに参加しながら活動する、しいなまんさんの日記をお届けします。リレー日記3度目のご登場となります。

 

1月に単独還暦ライブを控えております、しいなまんです。

オレが還暦?と自分でもびっくりしています。

 

最近はまっているのが、音楽生成AIです。

公演に向けて、それに使う音楽を作れないかなと思ってこの春頃からいじり始めました。

それが!、なかなかのクオリティなんですよ。

このままCDなり配信なりにあっても全然イケるレベルです。

音楽の知識なんていらないし、歌詞まで自動で生成してくれるし。まあ、歌詞はchatGPTを使ってもいいですね。

作品にぴったりの曲が、著作権もジャスラックも気にせずに手に入るのです。

これは革命的です。

 

ざっくりとどんな感じの曲か、歌詞はどんな感じか、などを入れてボタンを押すだけ。

いくつか候補が出てきて選ぶ。

良いのが無かったら何回でもやる。

そんな感じです。

 

しかも、春から始めてこの秋までだけでも、どんどん進化しているのです。

春には1回に曲の途中までしか作れずに何回かに分けて作っていたのが、いつの間にか4分程度なら1回で作れるようになったし、日本語の歌詞にも対応してるし、その他いろいろな機能がどんどん増えています。

まるで今回の公演のタイミングに合わせてくれているかのようです。

 

私が当時中野坂上にあった東京マイム研究所に入門したのは今から36年前になります。

その頃の曲の編集といえば、オープンリールのテープをハサミでチョキチョキして繋げたりしていましたね。私はカセットテープのステレオ右左×裏表の計4トラックを使って編集できるミキサーを持っていて、よく使っていました。

あの頃は、まさか「こんな感じの曲作って」と言うだけで素晴らしい楽曲ができる時代が来るなんて、想像もできませんでしたね。

 

コロナ禍で一時期映像配信にシフトしていたのをきっかけに音楽の著作権を気にするようになり、フリー音源を探したりしていましたが、やはり限界がありました。

そんな中AIは正に救世主です。

 

いま、公演のために過去の作品を掘り返しているのですが、マイムを始めた当初から結構音に頼るものが多かったことに気が付きます。

使う曲にそれなりの意味があったりするので全ては難しいのですが、一部はAIの曲に置き換えています。

それがまた、自分でも大好きな曲になり、配信してたら間違えて買っちゃいそうです。

 

公演全体のテーマソング的なものもできたし、作った曲を前提に新たな作品を作ってみたりもしています。

曲が良くても作品がいまいち、とならないよう目下稽古に励んでいます。

よかったら、是非、楽曲だけでも聴きにきてください。

 

【KAN-REKI LIVE -シックスティ・ブギ-】

○日時:2025/1/24(金)~26(日)

1/24(金) 19:00

1/25(土) 14:00、 19:00

1/26(日) 14:00

○会場:阿佐ヶ谷シアターシャイン

https://theatershine.com/access.html

東京都杉並区阿佐谷南1-15-15

東京メトロ丸の内線「南阿佐ヶ谷」駅から徒歩2分

JR中央線「阿佐ヶ谷」駅から徒歩7分

○作・出演:しいなまん

○料金:予約・当日共 3,000円

○ホームページ:https://sites.google.com/view/siinaman2025-sxtbg

○お問い合わせ:(しいなまん) 417man@gmail.com

 

しいなまん

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アーティストリレー日記(158)高橋素子さん

2024-10-24 20:29:06 | アーティストリレー日記

今月は、11月10日の「劇とあそびのこども祭り」(青梅)に出演する一糸堂の高橋素子さんの日記をお届けします。3度目のリレー日記ご登場です。

 

 何年ぶりの投稿か。

 この5~6年はいろんな事があった。

 こどもたちが独立し、母の介護が始まり、それに伴い大がかりな模様替えがあった。

 仕事でも未知の世界の人形劇に関わる事になり、その間コロナの流行があり、かなりキツかった。その状況でも、人形劇の仕事で札幌・沖縄・山口・島根などでの公演があった。

 

 3年で辞め、2023年には劇団風の子の作品に出演させていただき、多くの幼稚園、保育園、小学校で公演。「言葉」を観客にしっかり届けるという新しい学び。こんにゃく座のオペラ塾にも入塾し、歌というさらに未知の世界へ。

2024年には、舞台の仕事は減ったが、8月には喜多方フェスで初めてのソロ公演。今まで創ってきた小品3

本をまとめて、「めぐる~ミツバチ・くも・人の一生」という一本の作品にした。ひとりの稽古の不安やしんどさもあったけれど、演れてよかった。

今までの様々な舞台が、私の人生を支えてくれていたことに改めて気づかされ、ありがたく感じた。

今回は、山尾三省さんの詩「火を焚きなさい」を、シンドーさんの語りと私のパントマイムでやりたい。

 

 しかし、それと同時に、政治から目が離せない。このままでは、人々の収入は搾り取られ軍需産業へ注ぎ込まれてしまう。格差が広がり、貧困化した人々には舞台を楽しむ余裕など残されない。

本来なら人生の苦楽を、舞台を通してみなで共有するものだと思うが、そうはなっていない。

10月16日~19日に、有明の東京ビッグサイトで「2024国際航空宇宙展」が開催された。海外ブースは事実上の武器見本市。それに対して抗議行動をしてきた。

その他にも、インボイス中止を求めるなど、日野市議会へ何度も請願を提出した。納得がいかないことに声をあげることを、当たり前のこととしてやっていきたいと思う。

 

  ヨネヤマママコさんがフランス在住の折、マルセル・マルソーさんたちと政治の事もたくさん話したとおっしゃっていたことが印象的だった。マルソーさん自身、戦争で苦しんだ方。今またそんな時代にしないように動きたいと思う。

 どこの国のこどもたちも、思いきり遊び、知りたいことを学び、夜は安心して眠れるように。

 私にもやれる事がいろいろあるだろうから。

      一糸堂 高橋素子

 

*「劇とあそびのこどもまつり」のイベント情報はこちらです。

https://www.instagram.com/GEKIASO2024

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アーティストリレー日記(157)清水きよしさん

2024-09-26 19:15:30 | アーティストリレー日記

今回は、10月に「幻の蝶」45周年記念公演を上演する清水きよしさんの日記をお届けします。リレー日記5回目のご登場です。

 77歳、喜寿。良いことづくめの歳になると思っていたのにまさかの引っ越しを余儀なくされ、近年になく落ち着かない日々を送っています。
 7月に仙台で公演した「KAMEN」を最後に本格的な舞台は全くなし。

 異様な暑い日々、バテバテになりながら引っ越し先のリフォーム、そして11年過ごした古民家の後片付けに追われています。
9月末には全てスッキリの予定だが遅れに遅れ、10月も近づいて少々焦り気味です。

 ところで仙台での「KAMEN」は東京以外で行う最後の自主企画/制作による舞台になりました。ほぼ毎年続けてきた東京での「幻の蝶」「KAMEN」は今後も体が動く限り継続していくつもりですが、両作品共に東京を出て自分で舞台を作る事はもう無くなります。

 思えば57年に及ぶマイム活動になりますが、ただでさえマイナーなパントマイムの舞台はお声が掛かるのを待っていたら永遠に自分の作品を観てもらえる場はやってこない。
 ましてや、自分の生活圏以外ではそのチャンスは皆無に等しいだろうと思い、イベントなどに呼んでいただいた時にできた小さなご縁や、友人知人に半ば強引に協力して頂きながら舞台を作ってきました。
 地方での公演の8割くらいは自主公演だったと思います。

 イベントで稼いでは舞台に注ぎ込む、好き放題に舞台に注ぎ込んでしまう私は家族にどれ程迷惑をかけてきたことか。
 でもそういう活動だったからこそ、得難い貴重な思い出には恵まれてきたと言えましょう。
数多くの想い出を語りだすとキリがなくなるので省きますが、恵まれたマイム人生である事は間違いありませんね。

 さて、この歳になっての引っ越しは思った以上に過酷です。しかもこの暑さですから作業は遅々として捗らない。暑さは最大の敵ですがもう一つは77年という歳月の重さ。
 個人的な家族との歴史、そして57年にというマイム生活の歴史を改めて思う日々になりました。写真や資料を整理しながら手が止まってしまうことがしばしば。
 「断捨離」だと思って始めたのだけれど、いまは「生前葬」ならぬ「生前遺品整理」だと言うのが実感です。
 想い出って結局は自分にとっては自分が生きているうちだけのもの。基本的に舞台は生物(なまもの)が持論の私には映像化された記録にも未練はない。数百本のビデオが出て来たのだけれど、丁寧に保存しようと言う気が無かったのでカビだらけ。結局一部を残して全てを燃えるゴミとして処分しました。少なくとも自分で見返す時間などないしね。

 ということで、物も過去の記録も捨てていくことで、身も心も軽くなっていく様です。
これからの残された時間は、寅さんの様にカバンひとつで好きなマイムを持ってあちこちに行くことを夢見ています。
 そう車も手放したのでテクテクとね。
これがもしかしたら「喜寿」の幸いになるのかもしれないですね。

 最後に宣伝をひとつ。
10月19日(土)16時、20日(日)14時から青山の銕仙会の能舞台で今年も「幻の蝶」を行います。ぜひ足をお運び下さいます様お願いします。
 詳細やご予約は公式サイトをご覧ください。
 https://maboroshino-chou.com

清水きよし

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