BLOWING WIND・風のふくまま

風の吹くまま気まぐれな日々     
  明日も良い日になりますように。

小説 『ほかならぬ人へ』

2010-04-30 09:45:23 | Weblog
小説 『ほかならぬ人へ』 白石一文

第142回直木賞受賞作

帯に書かれている言葉。

愛の本質に挑む純粋な恋愛小説

「男女間の恋愛」を徹底して突き詰めた傑作の誕生!!







 白石作品は好きでほとんどの作品を読んでいる

白石作品は小説っぽくない小説で、大体は現代のサラリーマンやOLが

主人公となり現実に存在する企業や団体がヒントと成っている組織が出てきて

実際に起きた事件や経済問題などを背景に物語が進む場合が多い。

ただサラリーマンと言ってもかなりエリートっぽかったり、氏素性が立派だったり

OLと言っても才媛で育ちも良いなどのモデルが多く身近な存在とも言えない。

大体共通するテーマはズバリ、ストレートに「人は何のために生きるのか」

「人を愛するとはどういうことか」という大きな問題に取り組んでいる。


 『ほかならぬ人へ』 は男女間の恋愛がテーマになっていて

タイトルの「ほかならぬ人へ」と「かけがえのない人へ」の2部作である。

好きになった人には別な好きな人が居る、不倫や何やで倫理的に求められる恋愛と

そうは言っても心と体が理屈道理について来ない、正しい恋愛とは、人を愛するとは、

昔から何度も取り上げられるテーマだ。

読んでみて恋愛相談の様に安全な結果を求める物でも無いし、納得するものでもない

彼の他の作品と同じく白石氏の恋愛観や人生観が物語の登場人物を介してストレートに語られている。

読者は自分の場合はどうなのか、と考えながら読み進むのが好きなタイプは白石作品が向くが

ストーリーや展開でグイグイ引っ張られたり、どんでん返しを期待するような

エンタメ作品ではない、かなり理屈っぽく哲学書の趣もある。

直木賞に何回かノミネートされ今回受賞したが、作品の傾向としては芥川賞系とも思える。





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コメント (6)
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