BLOWING WIND・風のふくまま

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  明日も良い日になりますように。

映画「立ち去った女」

2019-07-28 10:39:57 | 映画
映画「立ち去った女」第73回ベネチア国際映画祭で金獅子賞(最高賞)を受賞

各国の映画祭で高い評価を受けるフィリピンの鬼才ラブ・ディアス監督がした、上映時間3時間48分に及ぶ人間ドラマ。
殺人の罪で30年間投獄されていた無実の女ホラシアが出所した。
事件の真の黒幕で、彼女を陥れたかつての恋人ロドリゴに復讐するため、ホラシアは孤独な旅に出る。
そんな彼女の前に、困っている者、弱い者たちが現れる。貧しい卵売りの男、物乞いの女、心と身体に傷を抱えた謎の女、彼らに手を差し伸べ、惜しみなく愛を注ぐホラシア。
そんな彼女を慕う者たちの助けにより、ホラシアは復讐のターゲットとの距離を次第に縮めていく。

クローズアップや説明的な描写を排除し、フォーカスもコントラストも鮮明なモノクロのヴィジュアルは、とりわけ夜間シーンに絶大な魔力的効果を発揮する。闇夜をさまよう幽霊のごとく忽然と路上に出現した男娼が狂ったように舞い踊り、その場にぐにゃりと崩れゆく奇怪な光景を、観る者に“目撃”させるショットの強烈さ! 時間感覚もイメージも尋常ではないこの映画は、ひょっとすると全編が神の視線で撮られたのではないか。そんな途方もない畏怖の念すら抱かされる衝撃作である。
尋常ならざる時間感覚とイメージの魔力に圧倒される破格の復讐劇。映画Com.(高橋諭治)
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