デュポン先生は、第7話中の「ハリソンさんのトリシャン愛憎の物語が幕を開く」の回で、
〈 トリストラム・シャンディ氏が本当の生涯を書いていないのでは? 〉という疑いを持っています。
シャンディ氏は出生の折に、主治医による分娩鉗子の使用ミスが原因で鼻が潰れてしまい、
5歳の時には女中のウッカリに叔父&his召使いの趣味への異常なまでの傾倒ぶりが重なって、
不幸な事故に遭い、21世紀に至るまで、読者に同情される所か、ひどい笑われ者になり続けているのでした。
…ところが見ての通りで、ハリソンさんときたら、どっちかっちゅーと鼻筋が通っていて、
トリシャンの話から想像される容姿全体の醜さとは程遠い、高身長・金髪・青い目の美紳士なのでした。
不幸な事故の影響を臭わせる言動も、今の所はしていないのではと思われますが、
事故がホントかウソかをめぐって、ハリソンさんにトンデモない罠をしかけようとする御連中がイタリアで現れ、
ナポリの幻惑の城の中と、復活祭前後のローマ市中で大騒動が繰り広げられるのでした。
「トリストラム・シャンディ」読んでて、「俺はそこまでひどくないからな。」
― って、見下せるから楽しいとか好きだとか思って読んでいる人がいたとしたら、
その人こそサイアクだわ~。
魔法の鏡にその人の心の姿が映ればいいのに。
きっとシャンディさんよりずっと酷くてビックリだと思うよ。
昔も今もコワい医療ミス。今なら損害賠償モン。
新聞・雑誌・ネットにもいろいろ書かれて病院の方も潰れる。
分娩鉗子は使用するタイミングが決まっているんじゃが、
スロップ医師は自分の能力を誇示するために、違う箇所で使ってしまったのではないのかの?
手順を守れば、ちゃんと頭の両耳がある方を挟めるような設計になっている筈なのじゃが…。
会社でも時々見かける、「能力を過信するオヤジの失敗はすげっコワ!」だぜ。
昔も今もとんでもないお医者さんがいたのね。
私が娘を産んだ時のお医者さんはいい人で良かったわ。
親睦会会場では、ハリソンさんとランズバーグ夫人の2人がいない事に気が付く人がいます。
ハリソンさんはランズバーグ夫人へと会場に戻ってある事をしようと持ちかけるのでした。
〈 次回の更新予定は12月20・21日 〉