レディー・ガガが告白した「線維筋痛症」の怖さ 光や音で痛みも…〈dot.〉
9/13(水) 17:29配信 AERA dot.
レディー・ガガが告白した「線維筋痛症」の怖さ 光や音で痛みも…〈dot.〉
レディー・ガガ (c)朝日新聞社
活動休止を宣言していた日本でも人気の米歌手、レディー・ガガさん(31)が自身のツイッターで病名を告白。全身に激しい痛みを起こす病気「線維筋痛症」を患っているという。日本リウマチ財団のホームページによると、米国では人口の約2%に線維筋痛症がみられるとされており、日本でも患者数は約200万人と推計されている。いったい、どんな病気なのか。
【写真】奇抜な衣装で東京スカイツリーを訪れたガガ様はこちら
* * *
線維筋痛症は全身に激しい痛みが起こる原因不明の病気だ。30代後半~40代前半の女性が発症することが多く、気圧、気温、光、音などあらゆる外的刺激を痛みとして感じるため、進行すると外出が苦痛になるなど、社会生活が困難になる。
多くの病気は痛みを感じる部位に、炎症など痛みを招く原因が存在する。しかし線維筋痛症の場合、血液や画像の検査をしても、とくに異常は見つからない。
「人間のからだを守る反応である“痛み”を過剰に感じてしまうのが線維筋痛症という病気で、2段階のステップがあって発症すると考えています」
と東京医科大学医学総合研究所所長の西岡久寿樹医師は話す。たとえば、子どものころに親と死別する、転居を繰り返す、入院するなどで受けた精神的・肉体的ストレスがまず患者の中に存在する。それから一定の時間が経過して、さらに外傷、手術、身内の不幸や離婚など、新たなストレスが加わると痛みという形で症状が現れるという。免疫異常や感染症の潜伏期に似ていると、西岡医師は解説する。
線維筋痛症は全身の痛みのほか、ドライマウス(口が渇く)、ドライアイ、うつ状態、不眠、過敏性腸症候群など、さまざまな症状をともなう。そのためこれまでは関節リウマチ、シェーグレン症候群、膠原病など、他の病気と診断されることも多かった。
治療は、痛みやその他の症状を取り除く対症療法が中心になる。
西岡医師によれば、鎮痛剤リリカ(一般名プレガバリン)や、抗うつ剤などが使われることもある。
「たとえば人が腕をつねられたときに痛みを感じるのは、痛みの信号が脳に伝えられるからです。この痛みを伝える信号を弱めて、痛みを和らげるのがリリカの作用です。一方、痛みを抑制する信号を強めるのが抗うつ剤。患者さんにどちらのタイプの鎮痛剤が効くかは、使ってみないとわかりません」(同)
リリカが2012年に認可されるまで、保険治療で使える線維筋痛症の治療薬はなかった。
「リリカの認可によって、ようやく線維筋痛症という病気も保険診療上認められ、その治療も大きな一歩を踏み出したと言えるでしょう」(同)
ただしリリカにはめまい、眠気、コレステロール値を上げるなどの副作用があるため、医師の管理のもとで使用する必要がある。また線維筋痛症はさまざまな症状を持つ病気なので、リリカ単剤でコントロールできることはまれだ。
「たとえば睡眠障害やうつ症状は精神科の医師、末梢神経疾患のような症状は神経内科、関節痛はリウマチ科と、各診療科の医師が連携して治療を進める、チーム医療が必要でしょう」(同)
9/13(水) 17:29配信 AERA dot.
レディー・ガガが告白した「線維筋痛症」の怖さ 光や音で痛みも…〈dot.〉
レディー・ガガ (c)朝日新聞社
活動休止を宣言していた日本でも人気の米歌手、レディー・ガガさん(31)が自身のツイッターで病名を告白。全身に激しい痛みを起こす病気「線維筋痛症」を患っているという。日本リウマチ財団のホームページによると、米国では人口の約2%に線維筋痛症がみられるとされており、日本でも患者数は約200万人と推計されている。いったい、どんな病気なのか。
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線維筋痛症は全身に激しい痛みが起こる原因不明の病気だ。30代後半~40代前半の女性が発症することが多く、気圧、気温、光、音などあらゆる外的刺激を痛みとして感じるため、進行すると外出が苦痛になるなど、社会生活が困難になる。
多くの病気は痛みを感じる部位に、炎症など痛みを招く原因が存在する。しかし線維筋痛症の場合、血液や画像の検査をしても、とくに異常は見つからない。
「人間のからだを守る反応である“痛み”を過剰に感じてしまうのが線維筋痛症という病気で、2段階のステップがあって発症すると考えています」
と東京医科大学医学総合研究所所長の西岡久寿樹医師は話す。たとえば、子どものころに親と死別する、転居を繰り返す、入院するなどで受けた精神的・肉体的ストレスがまず患者の中に存在する。それから一定の時間が経過して、さらに外傷、手術、身内の不幸や離婚など、新たなストレスが加わると痛みという形で症状が現れるという。免疫異常や感染症の潜伏期に似ていると、西岡医師は解説する。
線維筋痛症は全身の痛みのほか、ドライマウス(口が渇く)、ドライアイ、うつ状態、不眠、過敏性腸症候群など、さまざまな症状をともなう。そのためこれまでは関節リウマチ、シェーグレン症候群、膠原病など、他の病気と診断されることも多かった。
治療は、痛みやその他の症状を取り除く対症療法が中心になる。
西岡医師によれば、鎮痛剤リリカ(一般名プレガバリン)や、抗うつ剤などが使われることもある。
「たとえば人が腕をつねられたときに痛みを感じるのは、痛みの信号が脳に伝えられるからです。この痛みを伝える信号を弱めて、痛みを和らげるのがリリカの作用です。一方、痛みを抑制する信号を強めるのが抗うつ剤。患者さんにどちらのタイプの鎮痛剤が効くかは、使ってみないとわかりません」(同)
リリカが2012年に認可されるまで、保険治療で使える線維筋痛症の治療薬はなかった。
「リリカの認可によって、ようやく線維筋痛症という病気も保険診療上認められ、その治療も大きな一歩を踏み出したと言えるでしょう」(同)
ただしリリカにはめまい、眠気、コレステロール値を上げるなどの副作用があるため、医師の管理のもとで使用する必要がある。また線維筋痛症はさまざまな症状を持つ病気なので、リリカ単剤でコントロールできることはまれだ。
「たとえば睡眠障害やうつ症状は精神科の医師、末梢神経疾患のような症状は神経内科、関節痛はリウマチ科と、各診療科の医師が連携して治療を進める、チーム医療が必要でしょう」(同)