中国などで横行する“ニセ日本産”商品 現状では対抗手段がない…
4/5(木) 19:30配信 FNN PRIME
中国などで横行する“ニセ日本産”商品 現状では対抗手段がない…
(画像:FNN PRIME)
海外で横行する“ニセ日本産”商品
海外の通販で横行しているという、“ニセ日本産”商品。
ある中国の通販サイトをのぞいてみると、梅の産地として有名な『紀州』という文字を使った梅の商品が販売されていた。
産地は「中国・広東省」なのに商品名に「紀州」!?
しかし、産地を見てみると、日本の地名ではなく、中国の広東省と書かれている。
『霜降り神戸ビーフ』と中国語で書かれた商品の産地を見てみると、やはり中国との表示が。
農林水産省食料産業局知的財産課の杉中淳課長は「それらの物は日本の本物ではありません。偽物だと思われます」と指摘する。
農林水産省が去年6月から今年の2月にかけて、海外の主要な82の通販サイトや、中国やタイなど4カ国の現地調査を行っていた。
これまで現地調査しか行って来なかったが、“ニセ日本産”商品の確認のために通販サイトも詳しく調べることにしたという。
その結果、海外産であるにも関わらず、日本の産地を名乗る“ニセ日本産”商品が600点以上販売されていることがわかった。
タイで販売されているミルク飲料は、もちろん産地はタイだが、容器には栃木県のいちご『とちおとめ』の文字と書かれ、その下にはローマ字で『北海道』との文字が。
ベトナムで販売されているベトナム産の米の袋には『栃木コシヒカリ穂の香』と表示。
台湾産の黒糖には『沖縄の風味 純黒糖』の文字に加え、沖縄県のイメージとは結びつかない五重の塔の絵が描いてあった。
この他にも、調べだすとキリがないほどの“ニセ日本産”商品があふれていた。
なぜ日本の地名を使うのか
では、一体なぜ日本の地名を使っているのだろうか?
冒頭で紹介した、中国産の『紀州青梅』を販売している中国の会社に連絡して、話を聞いた。
ーー商品の包装を見ると『紀州青梅』との表示がありますが?
はい。紀州はブランドです。
ーー梅は紀州産ではないですか?
そうです。
ーー紀州とは何か深い関係やゆかりがあるのですか?
ないですよ。ただ紀州という名前を使っているだけです。やはり紀州産の梅は使っていないという。さらに質問を重ねた。
ーー『紀州』を付けると売りやすくなるので商品を企画した?
そうだと思います。なんとなくそういう名前にしたと思います。
ーー商品を食べて、日本の製品ではないとクレームをする人がいませんか?
そんなのないよ!
との答えを最後に電話は途中で切れてしまった。
再度かけてみると「あなたの番号が着信拒否になっています」との音声が流れるようになり、その後何度電話をかけても繋がることはなかった。
『紀州』という名前を使用していることに関して、和歌山県は憤りを感じている。
「名前を偽装的に使われると、ブランド価値の低下につながるので、これまでもそういった商品に対して県が中国などに抗議を行ってきた」
現状では規制することができない…
長野県・飯田市周辺でしか作られない干し柿『市田柿』も同様の被害にあっている。
中国の通販サイトで、中国産であるにも関わらず、『市田柿』を名乗っているのだ。
この画像を見た、JAみなみ信州営農部田中廣彦さんは、誤った情報が広まることを懸念している。
「白い粉があるのが本当の市田柿であってああいう薄い物が出回って、それが市田柿だって思われるのは、農家のみなさんも悲しいところがあるので」
中国の通販で売られている物と、本物の『市田柿』を比較すると、白い粉の量が全く違うことが、下記の画像のようにはっきりとわかる。
このように海外で広まっている“ニセ日本産”商品。
規制することはできないのだろうか。
前述の農林水産省・杉中課長は現状では難しいと話す。
「それぞれの国で保護をしないと規制できません。何よりも重要なのは、その国の政府とちゃんと連携して、私的財産としてしっかり守っていくということが最終的には重要だと思います」
日本産の商品は安心・安全だと考えられているため、それに便乗していると思われる、この“ニセ日本産”商品問題。
今後は、日本のブランドを守るために日本が各国と協定を結ぶことが急務になっている。
(「めざましテレビ」4月4日放送分より)