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この新書もタイトルに引きつられて買った。ブッダが死んだ後,千年も経ってから日本へ伝わった仏教。それから更に1500年も経って変貌を遂げ、葬式とお盆にしか使われない仏教。モラルの教え、世界観や人間観があったはずの教えは、お題目や念仏にかわり、その意味さえも皆、忘れてしまったお経。
一方、モラルの喪失が叫ばれる世相。宗教が力を失い、宗教によって激化する殺し合いの現代。2,500年前、仏教がそして儒教が生まれたアジア。2,000年前キリスト教が生まれた欧州。1,500年ほど前、イスラム教が生まれた中東。皆、死と病と人間の間のトラブルからくる苦しみをを最小にするためのものであったはずなのに。17世紀、ルネッサンスに引き継ぐ科学の成立はやがて合理主義と結び、フランス革命を経て、宗教を否定、マルクス主義による社会主義の壮大な実験を行った20世紀。しかし、その「科学」という名をまとった「宗教」も、より大量の殺戮と人間の死とともに消えた。そして現在は混沌の時代である。今、科学と人間の心をも包み込んだ、新たな「宗教」の創出が求められている。しかし神はいらない。奇跡もいらない。
2,500年、いやプラトンやアリストテレスのギリシャの哲学の時代から人間はいかほども進歩していない、というのがいつもながらの感想である。通勤読書