楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

雨の高千穂

2006-06-09 21:17:24 | 自然
昨日は雨のため、調査は中止。雨の中、高千穂の神々の山へいってみることとした。
阿蘇の山から流れ出た火砕流が作った溶結凝灰岩、それをえぐり取る五ヶ瀬川。
遊歩道はかつての河床。いたるところにポットホールの池がある。
それが水たまりとなり、壁は苔むす柱状節理。神々の時代から名勝であったに違いない。
戦国の時代、敗残の兵たちが、2メートルの川幅を命をかけて飛んだという槍飛。
槍を対岸につけて飛んだものは、真っ逆さまに落下。70メートル下の水面に消えたという。
神代の昔からの名勝地であり、各所にそのことを示す地名が残され、多くの神社が長い歴史を持つはずなのに、この重みのなさは何なのか、との違和感を押さえられない。神社の門前にある奇妙な像がおもしろいとも言えるが、その違和感を一層際立たせている。
そうか、この地は長い歴史の中で多くの人が繰り返し訪れる、日本の中心であったことがないのである。誰もそのメインテナンスに気を使わず、保存することに熱心ではなかった。そういえば天皇家が権力の中心であったのは平安時代までであり、その後は建武の中興、そして明治から第2次大戦終了までの、ほんのわずかな期間であった。山奥の人も入らない山中はきっと長い間、さびれにさびれていたのだろうな。
風景が人間と調和し、なじむのに千年はいる。五百年程度では、まだまだである。まして百年など時間のうちに入らない。
日本で言えば、京都奈良と、お江戸そして北海道。欧州とアメリカ・オーストラリア的風景の違いである。若いところほど自然が残されているのはあたりまえといえば当たり前すぎる、と同行した学生と勝手な解釈をしてみた。



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