楽学天真のWrap Up


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知的遺産のピラミッド作り

君主論と大学教授論第21章~第22章

2006-05-01 13:35:01 | 人間
久しぶりに電車読書。読書ノートつづきです。

第21章 名声

名声とは、とてつもない事業をすることによって得られる。
外交例:スペイン、王国/これが、あの大航海時代のはじまり。
15~16世紀に世界を圧巻。だから今もスペイン語は世界語だ。
内政例:多数/これもとてつない事業。軍備と城壁。
新興君主のなすべきこと。勃興時の支持者より敵を大事にせよと。城壁は民衆の支えがあればいらない。誰と手を組むかが大事。

大学教授論:科学の進展のために画期的事業をせよ、ということか。
内(大学内)においても外(学界)においても、だね。
それも、圧倒的民衆(学生、研究者一般のこと?)の支持のもとに。
しかし、「支持を得る、名声を得る」ことを目的とすると間違うね。間違いなく。このあたりがマキャベリ君主論を読者が「処世術」とし誤解するところだね。
この章のタイトル「名声を得るために」が誤解を生む。

第22章 側近の有能さが名君の証。

ここにもすごいことが書いてある。
頭脳の3つの種類。
1。自分で理解できる頭脳ー格段に優秀。
2。他人の理解を聞き分ける頭脳ー優秀。
3。自分の力でも他人の力でも理解しないー無能。

君主による側近の見分け方。
君主のことより自分のことを考える、君主の利益より自分の利益を考える輩は決して側近にはあらず。

ぞっとするかに見えるが。

私の理解は以下である。
名君は民衆を第1に考える。側近は君主を考える。その民衆は、いざという時、自ら武器を持ち君主のために立ち上がる。すなわち自分を捨てた人のリンクが安定王国をつくる。ってことだね。これって理想の王国、すなわちユートピアの構図だね。理想は瞬間的に成立するが、決して長くは続かないというのが歴史の教訓だね。だから、マキャベリ君主論は、理想とともにその裏の現実も同時に描き出している。だからリアルで説得力がある。

 大学教授論からいくと、助教授や助手、そして事務官というのは側近であり、理想の王国を築くべく設計されたが、その仕組みが壊れて久しい。過去にあまりにも暴君としての教授が多すぎたためである。しかし、科学は激しい競争社会なので、競争社会を勝ち抜く最大の強さは共同である。その共同を実現するためには、科学のために身を捨てた人のリンクが理想である。
 私は有能な側近を持ったことはない。今のアルバイトの秘書さんは間違いなく第1の頭脳の人であることを除いては。
 本当にこの君主論はおもしろく、奥が深い。将来リーダーになろうとする若者に絶対おすすめである。しかし、「処世術」と読み間違うと、大やけどを負うのも間違いない。深い人間理解を進めながら読まないとね。

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