楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

学会の権威の崩壊

2006-03-22 22:49:45 | 時評
 学者の集まり、またはその道の専門家の集まりを学会という。私もさる筋の学会の長を仰せつかることとなっているが、今、日本中でこの学会の権威が揺らいでいる。大規模に発達するインターネット時代、一部の情報の独占や、その権威づけられた発信はもはや立ち行かなくなる、と見られているからである。ブロードバンドネットワークの実現により、またたくまに情報が世界を駆け巡り、かつ双方向の情報のやり取りを実現しているので。最初の情報が少々歪んでいても、あっと言う間に修正され、正確な情報となる。いま盛んに賑わっている、通信とメディアとの加速する融合の動きなどを見ると明らかである。ホリエモンには先が見えていた。ただ、ちょっと焦りすぎた。

 学会のお家芸であった、論文を掲載する学術雑誌はいまや大変貌を遂げつつある。最近大きな話題の完全公開、無料電子ジャーナルは、最初の投稿から修正過程が総て公開であり、知的所有権を一見すてる形(無料公開)で、実は知的先取権を強く宣言することとなっている。学会の今後のあり方は、価値ある情報発信源としての役割とともに、情報伝達のやり取りのハブとしての機能をどう強化するであろう。

 情報の価値のあるところに、人はお金を投資する。そのような経営的視点なしの、専門家のサロンとしての学会は、ほどなく淘汰されていくであろう。 

 中曽根内閣の宣言によって、今や世界中に溢れ出た日本の博士たち。その人たちが研究に職を得られないと分かった時、専門知識を生かして、そのような情報産業を各分野で作り上げた時、明治以来のサロン的学会は消滅していくに違いない。むしろ、そのような流れこそ、古い学会を「守る」ことより重要であるのかもしれない。 若者たち、奮起せよ!君たちの時代である。

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