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いい論文をかこう (7) 方法

2007-12-06 21:36:17 | 科学
私の別な人生にちょっと寄り道をしてしまった。

さて、いい論文をかこう (7)の今回は、起承転結の承にあたる方法。

ここは、データを取得した、あるいは調査を終えた人にはもう方法は明確。
要点はいかに整理をして示すかである。

研究に方法には2種類ある。
すでに確立している方法で、それを用いた対象が新しい場合。
そして方法自身が新しい場合。

あなたの用いた方法はどちら?

地球科学では、物理や化学や生物学などの他のサイエンスで用いられている方法を地球という対象に適用した研究が圧倒的である。それは、「地球科学というのは所詮、物理化学の応用科学である」と自ら卑下することにもつながっている。

しかし、「本当に単なる応用科学なのか?」これはこの地球科学というものをどう位置づけるかという科学哲学の問題につながるが、そのテーマはまたの機会としよう。

重要なのは、適用された方法であろうと、新しい方法であろうと、そこから引き出された「事実」である。
引き出された「事実」が常識を覆すものであればあるほど、その方法の価値は高まり、その種の研究が連鎖反応を引き出しブームとなる。そのようにして科学は前へ進んで来た。

地球科学でいえば、20世紀の最大のハイライトの一つに地球の年齢の研究があるね。
放射性同位体が20世紀はじめに発見された。
19世紀の地球科学、地質学の不滅の方法「切って切られた」関係を使って岩石の古いもの探しの大レースと組み合わせ、瞬く間に地球の歴史の時間が解き明かされた。なんてのは物理学の発見、方法が地球へ適用され、地球の年齢という「地球科学の課題が解かれた例だね。

そのようなことは山のようにある。地球科学が他の科学の動向、方法なくして前へ進めないことの1つの例だ。
しかし、科学はそのような一方通行だけではない。
実はそこが、地質学や地球物理学を物理や化学より下に見る「卑屈の科学」から「自信の科学」へ変える重要なポイントなのだが、それはまたの機会に論じよう。

というわけで、方法といっても実は奥が深い。
そんなこともちょっと考えながら、方法の節をきちんと書くこと。それは次の節のデータがきちんとした新しい観測であることを説得できるかどうかの分かれ目である。その対象に対して同じ方法で研究をすれば同じ結果になるはず、という再現性を保障できるかどうかのポイントがここにある。

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