楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

冥王星騒動

2006-09-01 01:33:38 | 自然
 冥王星騒動ともいうべき様相になってきたね。自然科学の世界で珍しいね。一言、口を出したくなるね。でもこの騒動はいい面がある、と勝手に思う。だって、こんなにも話題になる。理科離れだ、科学離れだ、叫ばれている中でそうないよ、こんなこと。生活にはほとんど関係ないのに、お金にもならない、役に立たないのにこんなに騒がれるなんて。日本人はやはり潜在的には知識レベルが高いのだと安心する。それと、やはり自然科学は夢を売る商売である、と強く感ずる。「私たちはどこからきて、いまどこにいて、これからどこへ行くのか」ただただそれを知りたいためにあるのが自然科学。どんどん分かってきたから、いままでの知識は曖昧だった、それだけでは足りなくなった。だからもっとわかり易くしようと変えた。太陽系って、親(太陽)の周りを回るのはみんな惑星という家族だね。そこから冥王星がはじき出されたのではなく、家族を分けたのだね。ちょっと大きいヤツと小さい奴を。小さいのには惑星の前に別な字をつけただけだね。そうしないと家族が増えて増えて、名前を付けられなくなる。巨人の世界(木星より外の外惑星)の向こうにとんでもない数の小人の世界(今回の矮惑星)があると分かってきたのだからね。なにかガリバー旅行記みたいな話だね、本当に。小惑星も微惑星も、もうあるから残りの日本語は「矮小」の矮だけ。でもこれって同じ漢字文化圏でちゃんと相談したのか気になるね。下手にやるとまた騒動だよ。
 しかし、今回、国際天文学連合はへたくそだったね。「太陽系の一番外側のことがどんどん分かってきて、すごい!おもしろい!我々の家族がどんどん増えている!その中に我々はどこからきたの?を知る秘密がある!」と世界に知らせることが一番大事なのに、定義にこだわり、多数決でやっちゃった。今、発見の真っ最中なのだから、あせらずもうちょっと議論を、論点を詰めればいいのにね。たかが2年の議論だよ。国連安保理の議論じゃあるまいしね。北朝鮮問題だってもう何年もやっている(ちょっと脱線)。排除の論理で4分の3の賛成なんてお粗末過ぎ。せめて9割は超えなさい、といいたいね。
そして、専門家はよしとしても、一般の人に「太陽系の家族が減って寂しい」という印象を与えてしまった。結果がどういう波紋を呼ぶかまで議論なんかしなかったね、間違いなく。人類の宇宙観を変え、その夢を売って商売を成り立たせてきた(税金を使って研究してきた)のにね。おまけに、最悪なことに、この冥王星を含めてカイバー帯(小人惑星が無数にある太陽系の一番外側)研究に命をかけてきた研究者の猛反発をかってしまった。
 どうせ多数決で、科学は真理には到達しないからいいのだけれど。そしてこの騒動は騒動として、科学の普及に間違いなく貢献するのだけれど。もうちょっとね、ちゃんとしようよ、と同じ自然科学に生きる仲間として励ましたい気分だね。この騒動は科学と人間のドラマになるね。nature (科学の週刊誌)ウオッチだね。
それと反対の急先鋒博士(http://www.boulder.swri.edu/alan/)の人間模様もね。
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