楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

ビザ取得騒動3件(その1)

2007-01-31 12:54:10 | 
ハッシー君のブログによると今はアメリカビザはネットでとれるとか。
なんと世の中進んだことか!
私の苦労話2件と人の騒動話1件。まずはその1。
昔、アメリカ入国は、観光など短期滞在も全てビザが必要だった。私は瀬戸内海を挟んだとある大きな大きな島にいた。当時は橋もなく全て船、あるいはYS11のプロペラ機のみ。ビザの発給は神戸のアメリカ領事館で行う。そこへいちいち出かけなければならない。しかも受付は午前中のみである。私にとってのはじめてのアメリカ行き。仕事の休みをとり、早朝起きて、船に乗って、新幹線に乗り継いで、新神戸で降りて、坂を下ったところにある領事館までいくスケジュールを綿密にたてた。こんなに綿密に計画をたてることは人生の中でそうない。

時は春。その朝になった。しかし、風景はこの季節、瀬戸内海に発生する深い濃霧である!
『うわー!まずい!』
慌てて連絡船乗り場にかけつけた。
<濃霧のため出航を見合わせております>
文句を言う人など誰もいない。皆、自然には逆らえん、とあきらめ顔。
しかし、私はあきらめられん。
『いつになったら出るんだ!』
『わかりません』
<いらいら>
(今なら、<あ~ア、しゃ~ない。本でも読むか>だがね。私は若かった。)

そして10時が過ぎた頃、霧が晴れて来た。
『出航しまーす!』
岡山で新幹線に乗り換え、新神戸に着いた。
(私のこころは新幹線の中でも走っていた)

私は坂を転げるように領事館にたどり着いた。
しかし、時は既に午後2時近い。領事館はがらーんとして誰もいない。
『ふ~、ふ~、ふ~』と、息せき切る私を見て、守衛が寄って来た。
『どうしました?』
『実は島から来たのですが、霧で、ふ~フ~ーーー』
『それは、大変でしたね。ちょっと待ってください。聞いてみます』
ーーー
『どうぞ、お入りください。時間外ですが特別に発給するそうです』
『わ!』
私はうれしさに飛び上がりそうになった。
『はい、どうぞ!』
『ありがとうございます!』

もらったビザの大スタンプを帰りの電車で何度も何度も何度も眺めて、
その日の苦労が全て報われた思いを噛み締めていた。
きっと神戸のアメリカ領事が判断したんだね。
柔軟な判断に感謝の気持ちでいっぱいになった。

(私は、その後、かつて第2次世界大戦中、日本の領事が、多くのユダヤ人をそのビザ発給の権限で救った話を知って、この時の神戸を思い出した)

やがて、時代は過ぎ、短期ビザは廃止され、全てが楽になった。

でも、指紋から顔写真から何から何まで取られる昨今て、いい気分じゃないね。

さて、第2話はそれから10年後、舞台はカナダである。
つづく
(最近つづきものを随分、ほったらかしてあるような気がするな?)
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