楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

学会発表などのプレゼン

2007-02-02 02:24:31 | 科学
科学に取って学会での口頭発表は極めて大事である。そのために、今ではパワーポイントによってスライドを作る。どのようなスライドを作るかはメッセージを一瞬にして聴衆に伝えられるかどうかの分かれ目である。昔、私はそれを「口頭発表の仕方:物理学会編」という本で学んだ。いまではその類いのハウツーものはちまたにあふれているが、当時は数少なかった。ノーベル賞を次々と取り世界を突き抜けようとしていた物理学会はそのような本まで若者のために出した。

その重要なポイントは、
全体の流れの起承転結とそのバランスを明確にせよ。例えば起承転結の起が重すぎれば、研究の意義だけを強調する頭でっかちなものになる。小さすぎればなんのための研究なのかわからない。
テクニカルには、
1。一枚のスライドで伝えるべきメッセージは出来れば1つ、多くても3つ以上入れるな。
2。字であればきちんと会場の一番後ろにいって、年寄りや0.7程度(運転免許限界だね)の目でも見ることのできる大きさであることを確かめよ。
などなどである。

下手なプレゼンは一枚に5つも6つもメッセージをいれてゴチャゴチャなスライド。私はアジア的といっている。アジアの街は看板がごちゃごちゃでポイントがわからない。おまけに電線が勝手気ままに張られていて見ていて気が狂いそうである。そこに無秩序にバイクや車が走り、クラクションを鳴らしまくる。それに似た風景のスライドが出てくると「Oh my God!」と叫びたくなる。(最近東京の一部は電線もどんどん地下へ埋め、相当に良くなったがね。しかし、空が欲しい!)

西欧の街並がなぜきれいなのか。それは見てくれを考える「デザイン」という文化があるからである(完全規制で街設計のデザイナーが必ずいる)。それを設計する人が、そのパフォーマンスに人生をかけ、「美」を追求するからである。それは個性を如何に押し出すかが極めて重要である、という西欧社会の文化でもある。それは学会での発表にも貫かれている。

てな、ことを考えながらスライドにも一期一会の力を注ごー!

私は昔そういうことを言った時、偉そうな先輩が「パフィーマンスはサイエンスではない!そんな「見てくれ」を考えるより、中身を考えろ!」といやな顔をされた。
私は猛烈に反発した。
「最も、明快単純に新しいメッセージを伝えることこそサイエンスの本質だ!そのようなことのできない科学などマスターベション以外の何ものでもない!」ってね。
この確信は今でも変わらない。誰しも認めるすごい人の話っていつもいつも分かりやすいでしょ。
それは私の努力目標でもある。

うきゃー、人ごとではない!
明日、30分のプレゼンのための準備でこれから朝まで準備だ!寝られない。
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3 コメント

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プレゼンは大事 (通りすがりの研究者)
2007-02-02 07:07:28
私もプレゼンは大事だと思います。
上手なプレゼンをしようとおもうと実は大変で、
実験を始める前に「どんな実験をやればみんな
納得してくれるかなあ?」ってところまで遡って
考えたりします。

でも他の研究者と議論しても「プレゼンは小手先の
テクニックの1つ」的な発言が多いですね。
研究者は他人に媚びず、自分の主張を貫くことで
科学をドライブするものだ、というイメージを
もたれている人が多い気がします。
それでは理科離れは止まらないと思うのですが…

この点、海外の研究者はどうなのでしょうね?
返信する
プレゼン (楽学天真)
2007-02-03 08:28:57
一概に一般化はできませんが、やはりうまいですよね。見せる図はとにかくきれい。それだけで引き込まれてしまいますね。もしろん中には中身がないのにパフォーマンスすぎる、というのもありますが、そういうものはその場ですぐ分かる。複雑な話ほど、プレゼンにかける労力は大事ですね。「科学発表のためのプレゼン教室」などというはあってもいいですね。わたしのところでは科学のための英語教室は外国人を雇ってやっていますが。発表のノウハウは個人まかせですね。
先の昔の物理学会のものは「英語論文の書き方」と「英語口頭発表の仕方」がペアでした。
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Unknown (通りすがりの研究者)
2007-02-06 07:56:32
お返事ありがとうございます。
海外の研究者は日本の研究者に比べて「他人に自分の主張をする訓練」がよくできているのだと思います。社会でも役にたちそうな訓練ですが、日本ではそういう教育は受けませんね。黙るか、なじるか、が多いように思います。
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