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サイコパス

2017-05-06 05:11:25 | 人間
サイコパス (文春新書)
中野 信子
文藝春秋

サイコパス 今売れている中野信子  

 全ての人間には表と裏があり、その葛藤の中にある。  
 性善説、性悪説 古くからの葛藤がある。  
 近い関係は性善説で、遠い関係は性悪説でがうまくいく、と読める。  
 それを間違うと、人間関係も、社会関係も、国際関係も大火傷。  
 それらを破滅させる無感情冷血人間(サイコパス)が必ず一定存在する。
 
 決めているのは、脳内のやりとり。  理性は前頭葉、感性は小脳原始脳という議論が昔あったな〜、と思い出す。  
 
 カントの感性、悟性、理性も脳の技、ということか。 
 
 サイコパスにも生存理由があったとの挑戦的(?)仮説
 面白いが独裁者合理論、村八分合理論へ繋がる危うさあり(?) 
昔、酒の席で、「私らの頭は湧き出る泉、学生らはそれを受け止め流す河川レセプター、一般人は海」
と平然と言ってのける教授がいて背筋が寒くなった。それまでの尊敬が一気に吹っ飛んだことがあったのを思い出した。
横溝猟奇推理小説にみるサイコパスと社会、などと考え出す者もが出てきそうだ。     
 
 脳の能力は、先天性と後天性の両者が決めるが、先天性が意外と重要と本書。先天の上にちょっと後から味付け。  
 でもこれ気をつけないとDNA優生論になるので不正確な理解は危険と著者自身も警告。
 自らのIQの高さを記しながら述べる自己顕示的著述様式は、Conflict of Interest でいかにもだが、それは本人の意思?  
 それとも出版編集者の意思?  
 
 脳科学って何を考えているのかの片鱗を見た気がした。
 理解を目的とする基礎科学のうちはいいが、「役に立つ」ことをoutcomeとして期待する応用科学としての目的は何?
 善悪判断も人工頭脳にやらせてしまうのが展望?  
 
 最終ボタンは人間に持たせなくて良い。全てを読み込んだ「人工頭脳」
 まるで「2010宇宙の旅」のモノリスだ。
 

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