サイコパス (文春新書) | |
中野 信子 | |
文藝春秋 |
サイコパス 今売れている中野信子
全ての人間には表と裏があり、その葛藤の中にある。
性善説、性悪説 古くからの葛藤がある。
近い関係は性善説で、遠い関係は性悪説でがうまくいく、と読める。
それを間違うと、人間関係も、社会関係も、国際関係も大火傷。
それらを破滅させる無感情冷血人間(サイコパス)が必ず一定存在する。
決めているのは、脳内のやりとり。 理性は前頭葉、感性は小脳原始脳という議論が昔あったな〜、と思い出す。
カントの感性、悟性、理性も脳の技、ということか。
サイコパスにも生存理由があったとの挑戦的(?)仮説
面白いが独裁者合理論、村八分合理論へ繋がる危うさあり(?)
昔、酒の席で、「私らの頭は湧き出る泉、学生らはそれを受け止め流す河川レセプター、一般人は海」
と平然と言ってのける教授がいて背筋が寒くなった。それまでの尊敬が一気に吹っ飛んだことがあったのを思い出した。
横溝猟奇推理小説にみるサイコパスと社会、などと考え出す者もが出てきそうだ。
脳の能力は、先天性と後天性の両者が決めるが、先天性が意外と重要と本書。先天の上にちょっと後から味付け。
でもこれ気をつけないとDNA優生論になるので不正確な理解は危険と著者自身も警告。
自らのIQの高さを記しながら述べる自己顕示的著述様式は、Conflict of Interest でいかにもだが、それは本人の意思?
それとも出版編集者の意思?
脳科学って何を考えているのかの片鱗を見た気がした。
理解を目的とする基礎科学のうちはいいが、「役に立つ」ことをoutcomeとして期待する応用科学としての目的は何?
善悪判断も人工頭脳にやらせてしまうのが展望?
最終ボタンは人間に持たせなくて良い。全てを読み込んだ「人工頭脳」
まるで「2010宇宙の旅」のモノリスだ。