面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「映画 ひみつのアッコちゃん」

2012年10月14日 | 映画
アッコちゃん(加賀見あつ子=吉田里琴)は、メイクやファッションが大好きな10歳の女の子。
ある日、パパが買ってくれた大切な鏡が割れてしまう。
おウチの庭先に「鏡のお墓」を作って悲しんでいると、鏡の精(香川照之)が現れて、呪文を唱えてのぞきこめば、何にでも変身できるという魔法のコンパクトをくれた。

半信半疑で試しにコンパクトに向かって呪文を唱えてみるアッコ。
「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン、オトナのワタシになぁれ!」
コンパクトから出たまばゆい光に包まれたかと思うと、アッコは22歳のオトナ(綾瀬はるか)に変身!

冬休み。
アッコは塾の講習をサボると「22歳」に変身し、街に出てオトナの世界を楽しむことに♪
デパートに行ったアッコが、ママ(堀内敬子)が愛用している「赤塚」社の化粧品売り場で大好きなメイクを楽しんでいたとき、ひょんなことから赤塚のエリート社員・早瀬尚人(岡田将生)に、アルバイトとしてスカウトされる。
カッコいい早瀬に、小学生の心では気付けない恋心を抱くアッコだったが、赤塚は買収問題に揺れて大変な状況にあった。
難しいことは分からないアッコだが、新商品の開発で会社を立て直そうと頑張っている早瀬のために何とかしたい!
魔法のコンパクトを駆使して、あの手この手で赤塚を…いや早瀬を助けようとするアッコ。
次から次へと押し寄せてくる問題に、早瀬と共に必死で立ち向かうアッコの運命やいかに…!?


1962年、少女漫画誌「りぼん」6月号より連載が開始され、過去3回もTVシリーズが放映された、赤塚不二夫の代表作「ひみつのアッコちゃん」。
誕生50周年を記念して、綾瀬はるかを主演に据えて実写化された。
子供の頃、テレビで放映されていたアニメ「ひみつのアッコちゃん」。
小学生のアッコちゃんが主人公だけに、ストーリーは子供の世界における日常が描かれたものだった記憶しかない。
(さすがに女の子向けのアニメだったので、全て見ているわけではなく…)
そんなアニメの実写版て…!?というのが、本作を観る前の正直なところだった。
が、しかし……!

魔法のコンパクトを手に入れたアッコちゃんが、ひょんなことからイケメンの“オトナの男性”と出逢って憧れを抱くが、彼から「仕事のパートナー」として見染められてスカウトされ、一緒の時間を過ごすことになる。
彼と共に過ごせる時間が長く取れる長期休暇の冬休みを迎えたタイミングの良さも相まって、毎日22歳の自分に変身しては憧れの彼がいる会社に通うという、子供の頃に見たアッコちゃんには無いイメージの物語が実に新鮮♪
そして“悪い人たち”から“憧れの彼”を守るべく、コンパクトの魔法を駆使しながら、小学生らしい自由奔放さ、闊達さとピュアな正義を武器に困難に立ち向かっていく姿は微笑ましく、単純に応援してしまいながら心癒される思いもする。
“大人のアッコちゃん”にピタリとハマっている綾瀬はるかのキャラクターに拠るところ大なのだが、これほど見事にマッチした配役もなかなかない。
配役の重要性を改めて認識させられた。


女性にとっての「戦闘服」に例えられることのある化粧。
素顔にメイクを施すことで、よりキレイな自分になっていく化粧という行為は、女性の変身願望の表れ。
アッコちゃんのコンパクトは、そんな女性本来の願望の象徴であるということを、オトナとなった今(それもエエ歳をしたオトナになってようやく)ようやく知り、「ひみつのアッコちゃん」が色褪せることなく愛され続ける理由が理解できた。

スクリーンの中のアッコちゃんと同世代の女子には心ときめくに違いないラストシーンも可愛い、ラブコメ・ファンタジー♪


映画 ひみつのアッコちゃん
2012年/日本  監督:川村泰祐
出演:綾瀬はるか、岡田将生、谷原章介、吹石一恵、塚地武雅、大杉漣、堀内敬子、肘井美佳、内田春菊、柿澤勇人、吉田里琴、もたいまさこ、香川照之