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格差社会

先日、ある予備校関係の先生と話をする機会がありました。その先生によると首都圏の有名国立大学、私立大学の合格者のうち60%を中高一貫校の卒業生が占めるそうです。

この数字を聞いて、そうだろうなあとは実感しつつも教育の世界でも格差社会が進んでいるのではないかと感じました。

東京で大きく流れが変わったのは1968年といってよいかと思います。それまで東京は地方と同じように公立高校がナンバー1スクールでした。日比谷高校です。一中、一校、東大の流れが麹町、日比谷、東大という流れになっていたのです。もちろんこの時期でも日比谷の合格者はかなり裕福な家庭の子どもたちが占めていました。しかし一方で、富裕な家庭の子でなくても勉強ができれば入学することができました。実際に都立高校の費用は私立に比べれば安かったのです。

ところが当時の美濃部都知事は、「ブルジョワジー」による都立高校の占拠を憂慮して学校群制度を導入しました。その結果、日比谷はかつての輝きを失いました。私が英語をならっていた日比谷OBの先生は、「田中君、あの学校ができるまでにどんなに時間がかかったと思う、でもなくなるのはあっという間だ。」といわれたのを今でも良く覚えています。

その結果として現在は私立優位。しかも中学受験は小学校の勉強だけで合格できませんから、当然塾に通うし、お父さん、お母さんも勉強を手伝います。

そういう子どもたちしか、上位の学校や大学にいけないという仕組みがだんだん出来上がりつつあるのです。

一方、高校受験の現状はまったく違います。基本的に全入ですから、学校をえらばなければ入れる、しかも私立、都立とも推薦入試やAO入試などいろいろな入試を行っています。結局は本人がやらなければいけないのですが、子どもたちも「まあ、なんとかなるだろう」という感じで受験していきます。しかし、いざ大学受験に進んだときに、大きな壁に突き当たる部分がでてきているのです。

もちろん、大学受験も試験ができればいいし、国立大学の学費は私立に比べて安いのです。しかし、そこに入るために親は膨大な支出を余儀なくされる仕組みになっているのは、やはり何か違うなと思うのです。

親とすれば今ある選択肢の中から、良いものを選んであげたいと思うのですが、しかしもう少し別の選択肢を整備するのも大事なことではないのでしょうか。

その意味で公立中高一貫校は大いに魅力がある学校のひとつだと思っています。今のところ、都立の中高一貫校の受験生は私立の受験生とあまり重複しないようですから、今後の選択肢としてぜひ考えてみられてはどうでしょうか?
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