つる性の草花には何故か心惹かれる。
くねくねと風に身を任せて何かに絡みつき、さらに上に横にと伸びていく。
柔らかさと粘り強さを感じる。
まるで柔道、柔術のようだ。
つる性のヤマホロシ、ハゴロモジャスミン、カロライナジャスミンに続いて
こいつは5月にやってきたブドウの樹である。
何気に伸びるしなやかな蔓に気がつくとヘッドロックされている。
ネットと他の木の枝に巻き付こうとしている。
恐るべし、つる野郎だ。
ただそこで仲良く同居するでもなく、さらに次を目指して伸びていく。
人を踏み台にして、とは全くこのことだ。
5月4日にやってきた。
小さく貧弱だ。
こんなんで実をつけるまでに育つのかと思っていた。
つる用に支柱を立ててやった6月。
すでにつるを伸ばしつつある。
植物の面白さの一つは線の美しさにある。
直線は一つも無く、完全なシンメトリーもない。
しかし全体が均衡をとってバランスしている不思議。
しなやかさと強靱さ、そして美しい曲線に惹かれる。
オレの心もこいつらに既に巻き付かれヘッドロックされているのかもしれない。
踏み台にされているのかもしれないが自覚がない。
その少しよそよそしい感じがまたいいのだな。
嗚呼、ボタニカル!