『植物 オヤジ』

日々出会う植物たちの「たくましさ」と「美しさ」を再発見する、ハードボイルド・ボタニカルライフ。音楽、美食なども。

オリーブ

2015年08月30日 | 日記


オリーブ。
すがたかたちが麗しい。
小さくても何か凛として大人っぽい。
何の方程式かしらないが、左右対称ではないのにバランスがいい。
神様のデザインに違いない。
ひとには作れない(たぶん)だろうなあ。




街角の植栽。
全く手入れをされていない風情だ。
下葉を刈るなり手入れをすればもっとべっぴんさんになるはずだ。
それでも不思議と圧迫感がない。
葉っぱの表が深い緑、裏が銀白色という絶妙な配色のせいかもしれない。
実は食べられるし、絞ったら良質の油がとれる。
暑さ寒さにも強く乾燥にも潮風にも強いという万能選手。




日本のオリーブの故郷、小豆島。
樹齢1000年のオリーブがあるらしい。
これはこの地で育ったものではなくはるばるスペインからやってきたという。
今話題のプラントハンター、西畠清順氏の仕事だ。
人でいえば30世代以上前から続く大いなる生命を生まれ故郷から遠く離れた日本へ移植する是非は別にしてすごい存在感だ。
何か拝みたくなるほど立派な幹である。
西畠さんの仕事には違和感があるが実物を見てみたい。
明石からは割と近いので9月の連休に行ってみようか。
小豆島の風景に馴染んでくれていればいいのだが。

嗚呼、ボタニカル!




ロケット基地

2015年08月29日 | 日記


チランジアたちのアクセントにしようと思い6月に買って来たマダガスカル・ジャスミン。
すでに花が終わって見切り品となって身売りされていたやつだ。
「今シーズンはもう咲きませんが」と言われたがそれでよかったのだ。
チラたちには無い濃い緑色をした小判形の葉っぱが欲しかったからだ。
くねくねと茎を伸ばし葉をひねりいい感じでなじんでいたので十分満足していた。




異変が起きたのはお盆休みで帰省し1週間ぶりに戻ったときだ。
最初は葉っぱの新芽だろうと思っていた。
ところがどうも違うことがわかった。
何を思ったか知らないがもう一度このシーズンに花を咲かそうとしていたのだ。
だんだん花芽らしくふくらんでいくつぼみにオレは驚喜した。
なんといいやつなのだ。
健気だ。
それでも脇役に徹して花芽は一房だけである。
控えめだ。




花は空へ向かって飛び立つロケットである、とは いとうせいこう氏の名言だ。
ベランダはオンボロのロケット基地なのであると。
かつて空から降りてきた緑を再び宇宙へ解き放とうとして
オンボロの基地でロケットに給油し、整備し、発射に備える。
このマダガスカル君の姿を見ているとほんとにロケットみたいだ。
いつかある瞬間に空に向かって解き放たれるのだ。
炎と煙の代わりにいい匂いをモクモクさせて。
しかし発射ボタンを押す資格がオレにはないのがホントに残念である。

ベランダではそんなロケットたちをいくつもいくつも整備している。
主役はやはり植物たちなのであるなあ。

嗚呼、ボタニカル!











つる性植物

2015年08月23日 | 日記


つる性の草花には何故か心惹かれる。
くねくねと風に身を任せて何かに絡みつき、さらに上に横にと伸びていく。
柔らかさと粘り強さを感じる。
まるで柔道、柔術のようだ。
つる性のヤマホロシ、ハゴロモジャスミン、カロライナジャスミンに続いて
こいつは5月にやってきたブドウの樹である。




何気に伸びるしなやかな蔓に気がつくとヘッドロックされている。
ネットと他の木の枝に巻き付こうとしている。
恐るべし、つる野郎だ。
ただそこで仲良く同居するでもなく、さらに次を目指して伸びていく。
人を踏み台にして、とは全くこのことだ。




5月4日にやってきた。
小さく貧弱だ。
こんなんで実をつけるまでに育つのかと思っていた。




つる用に支柱を立ててやった6月。
すでにつるを伸ばしつつある。

植物の面白さの一つは線の美しさにある。
直線は一つも無く、完全なシンメトリーもない。
しかし全体が均衡をとってバランスしている不思議。
しなやかさと強靱さ、そして美しい曲線に惹かれる。
オレの心もこいつらに既に巻き付かれヘッドロックされているのかもしれない。
踏み台にされているのかもしれないが自覚がない。
その少しよそよそしい感じがまたいいのだな。


嗚呼、ボタニカル!







置かれた場所

2015年08月22日 | 日記


大型のチランジアたちを吊るすのは苦労する。
樹や岩に着生する性分のチラたちは何かに固定すると安定して育つようだ。
大きいと重さとバランスの悪さでなかなかうまく固定する材料がない。
このストラミネアはL字型に曲がった流木に腰掛けるように固定してみた。
見栄えはとりあえず悪くない。
あとはこいつがどう思うかだ。




もう少し大きく重いドラティ。
このドラちゃんは固定するのはあきらめた。
どうにもしようがないのだ。
太めの針金で支えてつり下げている。




くりくり頭のキセログラフィカ。
キセロはアンティークの糸車にのせている。
どうやら糸車が気に入ったようだ。
バカボンパパの鼻毛のような根っこを糸車にじわじわのばしてまきつこうとしている。




緑の鼻毛。
なかなか立派なものだ。

「置かれた場所で咲きなさい」
誰かの本のタイトル通り、自分の居場所を了解して、あとは自力で生き延びろ。

嗚呼、ボタニカル!