『植物 オヤジ』

日々出会う植物たちの「たくましさ」と「美しさ」を再発見する、ハードボイルド・ボタニカルライフ。音楽、美食なども。

キセログラフィカ、恩返しか。

2015年07月29日 | 日記


チランジアの死はある日突然やってくる。
というか、死んだかどうかがわかりにくい。
気がついたときは既に死んでいる。
「お前は既に死んでいる」のがわからない。
たとえば、いつもと同じ顔色だと思って持ち上げたとたん
「軽い!」と思った瞬間葉っぱがバラバラと落ちるヤツがいる。
こいつもそうだった。
ある日葉っぱがバラバラ抜け落ちた。
この瞬間はがっかりというかショッックで脱力する。
「あー、やってしもたっ!」
己の無力さにうちひしがれるのだ。
まあ、何度か体験すると心の準備ができているのでさほどのショックはないが
それでも悲しい思いをする。
こいつは外側から半分くらい葉っぱが抜け落ちたが捨てずに何となくそのままおいておいたのだ。
そして、数週間後の土曜日にルーペ片手に植物どもを定点観測すると…
何と子供ができていたのだった。
この「死」から「生」への転換にオレは飛び上がった。
脱力から昇天したのだ。



2週間前の姿。
死者に抱かれる胎児の図。



土曜日の姿。
すでにいくらか成長している。
大株になると直径30センチくらいにはなるが、それには何年もかかる。
うまく行けば数年後に花をつけるかもしれない。



こんな花が咲くらしい。
我が家のキセロどもは開花のそぶりはまるでないので他所様の写真を拝借した。

「くさかんむり」に「化」けるとかいて、花。
チラの草どもはやがて化けるために日夜サバイバルをしていたのだ。
「死」から「生」への見事な転換はオレへの恩返しだと思っていたがどうも違うようだ。
何となくなじまなかったので死んでやったが子供にチャンスをのこしたぞ、的なサバイバル、挑戦だったのだ。
よーし、受けてやろうその挑戦。
化けるまで自力でやってみろ、草どもよ!

嗚呼、ボタニカル!










ストラミネア

2015年07月26日 | 日記


チラ族の新入りがきた。
新種が勝手に増えるわけがないので、正確には買って来てしまった。
ああ、きりがない!
そんなに増やしてどうするのだ!!
貧乏人の子だくさん状態でチラ族の家はもう一杯だ。
ほんとに買うのはこれでもう止めようと誓いながらレジに並んだものだ。
さて、ストラミネア。
先住者の先輩と比べると葉っぱが幅広で堂々としている。
新人とは思えない貫禄がある。
根っこを流木に縛って逆さに置いてみた。
ん?
何かに似てるなあ。
何だっけ?




これだ。
マイホームタウン明石の名物、干しダコだ。
何かこれを連想させるものがある。
干しダコを見てストラミネアを思うことはないが、逆はありだ。
ストラミネアはチランジア界の干しダコだったのか。
いい味してそうだ。



先輩のストラミネアは繊細だ。
竹久夢二の描く少女を思わせる。
窓辺でほおづえをついて遠くを見ているような風情だ。

明石だこと竹久夢二とはまるで違う。
共通点はどちらもオレの好みだということだ。
そりゃそうだ、好きなヤツしか買ってこない。
何となくわかったようなわからない話だがともかく好きなものに囲まれて今日もハッピーである。

嗚呼、ボタニカル!


ペンジュラとトゲ族たち

2015年07月25日 | 日記


トゲ族に新しい仲間ができた。
ネオレゲリア・ペンジュラ。
クールだ。
ギザギザの葉っぱがかっこいい。
真ん中の毒々しい赤い色も迫力がある。
サボテンの仲間ではなくアナナス系ではあるがトゲ族に仲間入りだ。




ディコトマも梅雨時から元気になった。
葉っぱに張りがでてきた。
いい傾向だ。




ディッキアもしかり。
やはり中南米系のヤツらは湿気と太陽が大好きなのだ。




多肉にも花が咲いた。
プラスチックのおもちゃみたいな花がかわいい。




アロエ・スノーホワイトも新しい葉っぱに衣替えした。
去年は真夏の直射攻撃にあえぎ、葉焼けしたやつだ。
枯れてしまったかと思ったが冬を越え春をしのぎ夏を迎えて生き返った。
短気になって捨てなくてよかった。
そういえばキセロにしてもそうだった。
死んだとわかっていたがしばらく放って置いた葉っぱの間からまさかの子株ができていた。
既に1センチくらいに成長している。
つくづく捨てなくて良かった。
植物どもはオレを教育している。
「忍耐」という言葉を身をもって示したのだ。
うーむ、なるほど。
休日の朝は陽光の射す位置を観察しながら植物どもの置き場所を考える。
アロエやなんやかやの葉焼けをさせないために忙しい朝が始まった。

嗚呼、ボタニカル!












ビカクシダ

2015年07月20日 | 日記


京都へ行った。
ルーブル美術館展を見た後にグリーンが売り物のカフェ、moleへ。
ソファから見た眺めがこの写真だ。
いい。
いい感じだ。
自分の家でくつろいでいるみたいだ。
パキラにクッカバラやポトスなどの葉や気根が巻き付いて何がなんだかわからない。
植物たちのバトルロイヤルだ。
光や風を巡って静かに戦っている。
使い込まれたソファに身を沈めるともう動けない。
ずっとこうしていたい。



外観もなかなか美しい。




明石の自宅ではビカクシダ(コウモリラン)がすくすく育っていた。
ヘラジカの角のように伸びる葉っぱが面白い。



根っこはこんもりと自前のオーバーコートで覆い着生する変わったやつだ。
かっこいい。
今日の帰りは地元の園芸店で探してみよう。
うまく根がついたら壁にかけられる。
植物を置くスペースがだんだん無くなってきたが、まだ空中空間がある。
京都のカフェと自宅のビカクシダに大いにインスパイアされてしまった。
次の週末は緑の空間設計をしようかなあ、また増えるけど

嗚呼、ボタニカル。




トリコーム

2015年07月18日 | 日記


台風がくるのでチラ属の家に避難命令をだした。
部屋の中は植物だらけだ。
冬の間も部屋の中に入れていたのだがこうして再び入れてみるとなかなかのボリュームだ。
それもそのはずで、ラックが一つ増えている。
家が手狭になったのでラックを一つ増設したのだ。
もうこれ以上子供を増やせない。
ひとりひとりゆっくりと、しかし確実に成長もしているし嵩高くなってもいる。
しかし、珍しい子がいるとついつい引き受けてしまう。
ああ、悩ましい。




チラの魅力の一つは銀色ににぶく光る葉っぱだ。
トリコームと呼ばれる白い毛。
これは乾燥を防ぐための日よけらしい。
緑に氷の粉を振りかけたような葉っぱが美しい。



家で一番トリコームがきれいなメデューサエ。
ただ成長が一番遅い子だ。




キセロは葉の形も色も安定してきれいだ。


家のなかは葉っぱだらけだが悪くない。
外へ出ていた子供や孫達がお盆に本家に集まってきたみたいだ。
じっくりと観察してみると子株ができていたり、根がついていたりして発見も多い。
気分は子だくさんのじいさんとなった。

嗚呼、ボタニカル!