12日の午前5時49分、東京湾を震源とする大きな地震があった。
調布市では震度5を観測するなど、東京では4年ぶりになるほどの大きな地震であったが、記者会見をした気象庁地震津波監視課の長谷川洋平課長によれば、「想定されている首都直下地震と震源のエリアは同じだが、規模は想定の1000分の1であり、今回の地震が今後、より大きい地震を誘発することも考えにくい」という。
こうした大きな地震が起きると改めて気になるのは自宅の地震対策だ。
「東日本大震災以降、背の高い家具は買わないようにしている」「本棚には転倒防止のストッパーを付けた」などといる人は多いが、意外と少ないのは最近低価格がが進んできた薄型テレビだろう。大画面化や4Kなどの高画質化の一方で価格もお手頃になってきたこともあり、家電量販店でも売れ行きは好調だという薄型テレビだが、意外と忘れがちなのが転倒防止対策だ。
あれだけ薄い液晶テレビ、無対策のまま設置すると果たしてどれくらいの揺れで倒れてしまうかご存知だろうか?
実は東日本大震災後の2012年3月15日に国民生活センターが地震によるテレビの転倒についてのリポートを発表している。
そのリポートによれば、“PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、地震でテレビが転倒したとの相談事例が2011年3月11日以前では5年間で3件であったが、3月12日以降は60件寄せられており、その多くが画面等を破損して修理が必要となっていた。中には「42型のテレビが地震で倒れて液晶が粉々になってしまった。小さな子供が危うく下敷きになるところだった」といった危険なものも含まれていた”としている。
そのため、国民生活センターは、32V型、42V型、50V型と大きさの異なる3銘柄の薄型テレビをテスト対象銘柄として、震度5弱~6強の揺れによる転倒実験を実施したのである。
その結果はというと……。
◆転倒防止をしないと震度6弱で転倒・落下
【転倒防止対策なし】震度5弱相当ではテレビに大きな揺れは見られなかったが、震度5強相当では大きな揺れが見られ、震度6弱相当ではすべてのテレビが転倒し、テレビ台から落下。
【粘着マット】転倒防止用にテレビの下に置いてテレビ台とテレビを粘着させるマットを使用した場合、50V型を除き震度6強相当でも大きな揺れはなし。50V型も震度6弱相当までは大きな揺れは見られなかったが、震度6強相当で転倒はしなかったもののスタンドとテレビ本体をつなぐ部品が折損したものの落下はしなかった。
【テレビ台に固定】木ネジでテレビスタンドをテレビ台に固定した場合、震度5弱相当では大きな揺れは見られなかったものの、震度5強相当から震度6弱相当では大きな揺れが見られた。50V型は震度6弱相当で移動が見られたが後方への移動であり、危険性は小さいものと考えられた。震度6強相当では32V型は大きな揺れが見られたが移動や転倒はなかった。42V型はスタンドをテレビ台に固定していたネジが抜けたために転倒し落下した。50V型はスタンドの首振り機構の回転軸が折損し、テレビ本体が前方に落下した。
© HARBOR BUSINESS Online 提供 台に固定し震度6 強相当でスタンド部付近が損傷して前方に落下した…
【壁に紐で固定】壁に紐で固定した場合、震度5強相当で大きな揺れや移動が見られ、震度6弱相当では42V型や50V型に後方への転倒や落下が見られたが、前方に落下する危険性は見られなかった。震度6強相当では32V型に移動が見られた。
意外なことに粘着マットがかなり優秀だという結果が出たが、いずれにしても転倒防止対策をしているのとしていないのでは一目瞭然。
大きな手間ではないので何らかの転倒防止対策は忘れないようにしたほうがよさそうだ。