新型iPhoneのためのテストユーザーに選ばれたと偽り、不正サイトに誘導してクレジットカード番号などの個人情報を盗むサイバー攻撃が相次いでいる。新型iPhoneは近く発売される見通しで、関心が高まっており、警視庁は「言葉巧みに別サイトへ誘導するため、注意して欲しい」と呼びかけている。

 捜査関係者によると、8月上旬、神奈川県の50代女性が使っていたインターネットの画面に突然「iPhoneの新しい機種のテストユーザーに選ばれました」との表示が現れた。送料1ドルを払うと現在販売されているiPhoneが無料でもらえるとうたい、女性は誘導されるまま、住所や氏名、クレジットカード番号を入力した。数日後、全く身に覚えのない有料サイトに登録されたという内容のメールが届き、だまされたと気づいたという。

 大手セキュリティー会社トレンドマイクロも5月中旬から「テストユーザーになれば景品がもらえる」とうたったサイバー攻撃が頻発しているのを確認した。アップル社の公式サイトを装ったページやiPhoneを無料で手に入れたとの口コミを偽装したページまであった。2カ月間で急に2万5千件以上のアクセスを集めたサイトがあり、多くの人が不正サイトに誘導され、個人情報をだまし取られた可能性があるという。

 警視庁にも、同じような手口による被害の相談が7月中旬以降、少なくとも数十件寄せられている。誘導される有料サイトは複数あり、課金されていたケースもあった。

 不正サイトが表示されるのは、iPhoneを使っている人だけに限らず、パソコンや別のスマホを利用している人の被害も確認されている。警視庁は、犯罪グループが、アップル社の新型iPhone発売を見据え、サイバー攻撃をしていた可能性があるとみている。

 トレンドマイクロの鰆目(さわらめ)順介・シニアスペシャリストは「賞品をもらえると偽って個人情報を入力させ、盗み取ることが目的とみられ、注意が必要だ」と指摘。携帯電話向けのセキュリティーソフト導入や、メールやSNS上で表示された不審なURLをクリックしないよう勧めている。