台風19号 急速に発達中 2000年代では珍しい
2019年10月07日17:40
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9月11日(水)5時30分
トヨタ自動車とスズキは8月28日、資本提携すると発表した。両社の提携で、日本の自動車産業は、トヨタ連合、日産自動車・三菱自動車連合、ホンダの3陣営に集約される。今年7月、独フォルクスワーゲンと米フォード・モーターが業務提携の拡大を発表。100年に一度の大変革期と言われる自動車業界は、自動運転などで莫大な開発コストがかかるため、世界規模で合従連衡が進んでいる。
こうした中、ホンダは、危機感を募らせている。
「独身主義、自前主義を貫いてきたが、今のまま単独で大丈夫か」(ホンダ幹部)
ホンダが8月2日に発表した今年4月〜6月期の連結決算では、純利益が前年同期比29%減の1723億円。ホンダの四輪販売の3割を占める屋台骨であるアメリカ市場の落ち込みや、インドでの販売不振が響き、四輪事業の営業利益率は4.4%だった。トヨタの8.2%に大きく見劣りする。
四輪事業が不振な理由の一つは過剰設備だという。
「生産能力が540万台と公表していますが、プラモデルのように組み立てるノックダウン生産も含めると実は800万台近い。実際の稼働率は60%程なので、既に発表したイギリスやトルコ、アルゼンチンだけではなく、他の工場の閉鎖の検討をしています」(同前)
また、ホンダの526万台という販売規模では、「下請け部品メーカーの経営は窮地に陥る」(ホンダ元役員)と見られている。
「2年前にホンダ系列をまとめて、巨大部品メーカーの独コンチネンタルに売り渡す構想もあったが、条件面が合わず、頓挫した。いずれファンドなどに売らざるを得ないはず」(同前)
ホンダ本体も提携では迷走気味だ。自動運転では米GM系企業と提携したかと思えば、モビリティーサービスではトヨタとソフトバンクの合弁企業モネ・テクノロジーズに出資と、なかなか方向性が定まらない。
ホンダ内部からはこのような指摘も出ている。
「今のホンダ車はトヨタの後追いばかりで、ホンダらしさを失い、スバルやマツダにお客を奪われている。このままでは、いずれ経営危機を迎えるだろう」
トヨタの豊田章男社長は最近、「日本自動車株式会社」を強調、オールジャパンで産業競争力の向上を謳う。「豊田氏はホンダの八郷隆弘社長に秋波を送っている」(関係者)とも言われる。
ホンダ関係者がこぼす。
「他社は車種間の部品の共通化を推進して開発コストを削減してきたが、ホンダはこれから取り組む状態。先が思いやられます」
今のままでは業界再編のターゲットになるだろう。
6月下旬に開催された「Nシリーズ安全取材会」では、N-BOXとインサイトの衝突実験が行われた(写真:ホンダ)
2019年初夏、ホンダが立て続けに技術イベントを開催した。
1つ目は6月24日開催の安全技術について学ぶ「Nシリーズ安全取材会」だ。現在、ホンダのNシリーズは最新の軽乗用モデル「N-WGN」を筆頭に、軽商用モデルである「N-VAN」まで全6車種をそろえる。今回はそのうち、N-WGNと、売れ筋であり全高が高くとられたスーパーハイトワゴン軽乗用モデル「N-BOX」にスポットが当てられた。
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2つ目が7月3日開催の「Honda Meeting 2019」である。ここではホンダが掲げている2030年ビジョンに向けた考え方や電動化・コネクテッド・事故ゼロの取り組みについて座学を中心とした構成であった。
両イベントでは独創のホンダらしさを実感する一方で、開催時期が近いため、それぞれで発表された内容には重なる部分も見受けられた。そこで今回は、Nシリーズ安全取材会についてその詳細と、参加後に抱いた素朴な疑問とホンダへの期待を述べてみたい。なお、Honda Meeting 2019については後日リポートしたい。
Nシリーズ安全取材会に参加して勉強になったことは、普段から気になっていた軽自動車の安全性能、とりわけ衝突安全性能について回答が得られたことだ。さらに、ホンダの衝突安全技術における開発現場である実験施設「屋内型全方位衝突実験施設」(栃木県芳賀郡)に入り、現行型N-BOXとミディアムクラスセダン「インサイト」の衝突実験を間近で見学できたことも貴重な体験だった。
N-BOXホワイトボディ(写真:ホンダ)
インサイトとの正面衝突(ともに50km/hで牽引され相対速度100km/h、ラップ率50%)後、N-BOXの衝突した車両右側、つまり運転席ドアを開けたのだが、普段どおりの力加減でドアノブを引くとサッとドアが開き、さらに同じく運転席側のスライドドアに至っては衝突がなかったかのようにドアはスムーズにスライドした。すさまじい衝突を目の当たりにした直後であったことから、筆者が受け止めた衝撃は大きかった。
ちなみに筆者は同じ場所で2013年、「初代N-WGN」対「アコード」(ミディアム~ラージクラスセダン)の衝突実験(実験条件はほぼ同一)の取材も行っていた。ここで当時の衝突実験画像をお見せできないのは残念だが、初代N-WGNは今回のN-BOXよりも変形度合いが大きく、運転席ドアの開閉にも力を多少ながら要していたと記憶している。
ホンダは長らく衝突安全技術の開発も行っているが、成果の一例が1998年に発表した「衝突安全ボディ」だ。ホンダ独自の衝撃(G/衝撃値)をコントロールする技術を応用して、乗員の傷害値低減と生存空間の確保を両立させる衝突安全ボディとして発表している。また、衝撃をコントロールする技術は後に「Gコントロール技術」と呼ばれた。
さらに2003年9月には世界初の「コンパティビリティ対応ボディ」を開発。これは、車同士の衝突時に衝突エネルギーをエンジンルームで効率よく分散・吸収することにより、自車の安全性を大幅に向上させながら相手車両へのダメージを低減する衝突安全技術(パッシブセーフティテクノロジー)で、2003年9月に発売した軽自動車「ライフ」から採用を開始した。
ホンダが採用した当時のコンパティビリティ対応ボディは、乗用車(2tクラスまで)と正面衝突したときの衝突エネルギー吸収量を従来型の軽自動車と比べて、エンジンルームで約50%増加させつつ、キャビンでの吸収量は約30%低減。これにより、衝突時のキャビンの変形量が低減するため乗員の保護性能を向上させながら、相手車両への攻撃性の低減が図れるようになった。
今回、衝突実験を行ったN-BOXには、衝突安全ボディ→Gコントロール技術→コンパティビリティ対応ボディと、過去ホンダが開発してきた衝突安全技術を昇華した最新版が採用されているわけだ。
ところで車両同士が衝突した際、衝突エネルギー吸収量は車両重量に逆比例(反比例)する。つまりN-BOXの車両重量を1とするとインサイトの車両重量は1.5となる。
今回の衝突実験では相対速度を100km/hとし、ラップ率50%の正面衝突形式で行われたことから、N-BOXの衝突エネルギー吸収量は60km/h分で、インサイトのそれは40km/h分(ホンダ発表データより)と、小さく軽いN-BOXにとって過酷な状況だ。
エンジンパワーや燃費数値の向上は、体感しやすく数値化もしやすいためわかりやすいが、衝突安全技術の進化は日常、目にすることがないだけにわかりづらい。そこでN-BOXを支える最新の衝突安全技術について開発を担当されたホンダの技術者にどこが、どう進化したのか話を伺った。
今回の衝突実験で使用されたダミー(写真:ホンダ)
いわく「N-BOXや新型N-WGNでは、われわれが目指してきた衝突エネルギーの吸収と分散する能力をさらに高めて、小さく軽いボディであっても乗員の安全性能を高めることに注力しています」という。続けて「実際の交通環境では車格が異なる車種との衝突も多く、また歩行者との接触事故も考えられることから、今後もあらゆる方面での安全性能を追求していきます」と語った。
ちなみにホンダは1998年に歩行者ダミー「POLARⅠ」を世界で初めて開発し、2008年には「POLARⅢ」へと進化。さらに2017年からはPOLARⅢの脚部を改良し自転車を運転している際に発生する衝突事故にも対応させている。
実際に新車2台を衝突させるという貴重な衝突実験の取材はとても有意義であった。一方で素朴な疑問は残った。その筆頭は、なぜN-BOXとインサイトの正面衝突テストであったのか、という点だ。
確かに「人口10万人当たり状態別死者数・類型別死亡事故件数の推移」(平成30年 警察庁交通局)によれば正面衝突等(統計上は「路外逸脱」「工作物衝突」を含む)における死亡事故の構成率は、ここ10年で28%→30%程度と若干増加傾向にある。
しかし、死亡事故の類型比較(同)でみると、トップは人対車両の事故が38%で、そのうち27%(753人)が横断歩行者との事故だ。対して、正面衝突は10%(289人)と実際の死亡事故形態からすると、5番目に位置する。まとめると昨今の日本では、衝突実験で行ったような正面衝突よりも人対車両の事故が多く発生しているのだ。
また、車両重量の違う2台を衝突させた場合に「物理的に克服が難しかった点」など、目の当たりした衝突実験結果に対して、限られた取材時間(約15分間)内に知りうるべき事象が明確でなかった点も惜しかったように思えた。
例えば、車両重量比が1:1.5であることから、今回の試験条件では……、
①N-BOXが吸収する衝突エネルギーが約60km/h分であり、インサイトが約40km/h分であること。
②N-BOXにかかる衝突エネルギーが高いが、実際には衝突後も生存空間が保たれていること。
③N-BOXの運転席足もとスペースが衝突後も確保されていること。
等々、技術の積み重ねでこうした安全性能の高い軽自動車が誕生しているわけで、そこの技術開発に至るまでの時系列変化についても伺いたい。
Nシリーズ安全取材会でのプレゼンテーションの様子(写真:ホンダ)
画像で確認できるように、今回の実験では衝突後も確かに生存空間はしっかり確保されているが、例えば乗員に加わる衝撃の強さなどはどう理解すべきなのか。加害性を左右するシート形状やピラー構造などにはどんな工夫が凝らされ現在に至ったのか。全高の高いN-BOXでは側方からの衝突、いわゆる側突時の横転防止策はどう考えているのか。2003年9月発売の「ライフ」から採用されたコンパティビリティ対応ボディは、なにが、どう、どれくらい進化して、現在のN-BOXがあるのか。そしてこの先は何を高めていくのか、または高めていかなければならないのかなど、ここでも疑問は尽きない。
また、普通乗用車であるインサイトに対する衝突後の解説が一切なかった点も残念。Nシリーズ安全取材会なので軽自動車が主役であることは承知しているものの、コンパティビリティ対応ボディはN-BOXとインサイトの両車に通ずる設計思想であり、また両車の相乗効果で今回の結果が双方に得られている。よって、その点を現場にいた担当者にズバリ伺ったものの回答は得られなかった。
ホンダの実験施設なので取材の場としての実現は難しいかもしれないが、他メーカー車両との衝突ではどんな結果になるのか? さらには販売台数の多いミニバンやSUVは車両重量がかさみ重心位置が高い傾向にあるが、それらとの衝突ではどんな結果になるのかなど、これらついてはわれわれメディア側だけでなく、Nシリーズの購入を検討されているお客様にとっても知りたい情報の1つではないかと思える。
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【筆者追記】今後の要望としてはその筆頭に、ホンダが誇る歩行者ダミーPOLARⅢを用いた人対車両の衝突実験の取材が挙げられます。「死亡事故の類型トップ」である人対車両の事故に対して、技術者への取材を踏まえて知見を高め、今後この場でまたリポートしたいと思います。
またホンダらしさで言えば、世界初の市販車用二輪車エアバッグを搭載した大型二輪車「ゴールドウイング」のエアバッグについても言及されることがあれば、二輪/四輪/汎用メーカーらしさがさらに助長されるのではないかと考えています。