(26日、フィギュア スケートカナダ・女子フリー)

 演技直前、SP首位の紀平梨花(関大ク)は耳を疑うような高得点を聞いた。「166・62点」。直前に滑ったアレクサンドラ・トルソワ(ロシア)が4回転ジャンプを3本決めて、世界最高得点を出した。「ノーミスでも届かないかも。今までにない感情」と紀平はスタート位置についた。

 冒頭、武器のトリプルアクセル(3回転半)で着氷が乱れた。ただ、続くトリプルアクセルからの連続ジャンプは成功し、その後の全ジャンプも決めた。スピン、ステップのレベルも取りこぼさず、大崩れせずに演技をまとめた。

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 しかし、ロシアの壁はあまりに高かった。SPでトルソワと6・95点差あったはずが、終わってみれば合計点で10点以上も離された。紀平は「圧倒された。今までにない経験。新時代だなと感じた。やっぱり、4回転は必要」と正直に語る。指導する浜田美栄コーチも「166点って、男の子みたいな点数。見習って、肩を並べられるように今から頑張っていきたい」。改めて現実を突きつけられ、さらなる成長を誓った。(大西史恭

15歳のトルソワ、世界最高得点を更新 驚異的な4回転

 ロシアの新星アレクサンドラ・トルソワ(ロシア)が驚異的な演技を披露した。冒頭の4回転サルコーで転倒したが、男子でも跳ぶことが難しい4回転ルッツ、4回転トーループからの3連続ジャンプなどを決め、自身が持っていた世界最高得点を更新。演技後は、「トリプルアクセル(3回転半)は試合では成功していないが、ステップアウト(着氷乱れ)まではいっている」とさらなる大技を組み込むことを示唆。恐るべき15歳だ。

 ▼女子総合6位の本田真凜(JAL) 大会前に交通事故に遭い、体調が優れず棄権も考えたが強行出場。「自分が万全の状態と言い聞かせて、強い気持ちを持ってできた。心から、出て良かったなと思っています」

 ▼女子総合2位の紀平梨花(関大ク)を指導する浜田美栄コーチ 「4回転ジャンプは次の五輪では逃げられない技になった。梨花(紀平)はよくやったと思います。精神的な成長が見られた」