床下・床上浸水防ぐ「耐水害住宅」 防災科研で実証実験
「ジャパンを“上から目線“で見るのはもうやめよう」ラグビー史上初8強を海外はどう報じた?
日本ラグビーの歴史が動いた。
10月13日、世界ランク8位の日本代表がスコットランド(同9位)を28-21で下し、史上初の決勝トーナメント進出(試合後に日本は同7位に)。
では、ラグビーの母国・イギリスのメディアはこの歴史的快挙をどう報じたのだろうか。
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「日本ほど大会を盛り上げているチームはない」
まず高級紙ガーディアン(The Guardian)から見てみよう。オンライン版で下記のような見出しで日本の戦いを速報で伝えた。
“Japan hang on to reach Rugby World Cup last eight and send Scotland out”
「日本が“踏ん張って”8強進出。スコットランドは敗退」
さらに記事の本文では下記のように手放しで称賛する。
「今大会のW杯を日本ほど盛り上げているチームは他にない。そしてまたしてもラグビー界に衝撃の(electrifying)結果をもたらした。ブレイブ・ブロッサムズ(Brave Blossoms = 勇敢な桜の戦士たち)は初めて決勝トーナメントに駒を進め、あの“ブライトンの奇跡”から4年が経ち、再び南アフリカと対戦することになった」
「日本のことを“上から目線で”ティア2というレッテルを貼っていた人々も今日を境にいなくなるだろう。アイルランド戦(9/28)のように、日本は時にスコットランドを圧倒し、4トライ以上の価値を見せた」
一方、イギリスの公共放送局BBCはオンライン版で次のような見出しでこの一戦を報じた。
“Japan 28-21 Scotland: Gregor Townsend's side out of Rugby World Cup”
「日本28-21スコットランド。グレゴー・タウンゼントのチームはW杯を去った」
記事の本文はこう続く。
「グレゴー・タウンゼント(スコットランド監督)のチームは開催国日本よりも4以上の勝ち点(ポイント)が必要だった。フィン・ラッセルのトライで先制し、後半には猛烈な追い上げを見せたが、ついに届かなかった」
「松島幸太朗、稲垣啓太、福岡堅樹の3人が前半のうちにトライを決め、さらに福岡は後半早々に“かっ飛ばして”トライ。日本初の決勝トーナメント――次の日曜の南アフリカ戦を確保した」
「台風19号から24時間以内に試合が行なわれたことが奇跡だ」
BBCはさらに記事内で試合前の台風19号の影響についても触れている。
「土曜日の台風『ハギビス』(Hagibis=19号)は日本に甚大な被害をもたらした。そのあと24時間以内に、そもそも試合が行なわれたことは小さな奇跡で、会場を整備した人々に賛辞の声が上がった」
そして記事の最後には気になるデータが紹介されている。
「ティア1以外の国で決勝トーナメントに行くのは今回の日本でわずか4回目だ(前回は2007年のフィジー)」
「日本はW杯で6連勝中。これ以上の連勝記録を持っているのはオーストラリア、イングランド、ニュージーランド、南アフリカのみである」
「ティア1以外のチームがティア1の2チームをW杯1大会で下すのは1991年、95年のサモア以来だ」
「日本代表のW杯最多出場記録(13試合)を塗り替えたルーク・トンプソン(38歳)は、W杯の大会史上で3番目に年長の出場選手となった」
ガーディアンも伝えているように日本は次の日曜日、20日に“ブライトンの奇跡”から4年、南アフリカと4強を懸けて戦う。再び世界を盛り上げる熱戦を期待したい。
「あんな地形だったか!?」濁流に飲み込まれた町が至る所に 一夜明けて上空からみた被害
川の堤防が決壊 なすすべがない住人達
ヘリ取材の第一の役割は、まだ多くの人が知らぬ被害の全貌を、上空から確かめることにある。
「栃木県佐野市の秋山川が決壊しているらしい」との情報をもとに、午前6時過ぎ、日の出とともに飛び立った。
すると間もなく、関東一帯を飛びなれたヘリのパイロットがつぶやいた。
「なんだあれは?あんな地形だったか!?…水びだしになっている…」
東武佐野線・佐野市駅から西に数百メートル。上空から見ると、秋山川と渡良瀬川が合流する、まさにその場所が、広大な湖のようになっていた。
ここはれっきとした「地表」だった場所だ。まわりの家々の1階部分が明らかに浸水していた。
その上流では堤防が長さ50メートルほどにわたり決壊。川の茶色い濁った水が住宅街に流れ込んでいた。
かろうじて残った堤防の上には、何人もの住人と思われるひとたちの姿が。現場の様子が心配なのだろう。しかし、いまもなお濁流が堤防を削り取らんばかりの勢いで流れている様子を見ると、危険極まりない。残った堤防もいつ崩れてもおかしくない。
氾濫した川には、一夜明けても絶対に近寄らないでほしい。
そして隣の足利市でも、支流が完全に氾濫。周囲の田畑にあふれ出た水の水位と川の水位がまったく同じ高さになり、周囲の道路は冠水。車が数台、かろうじて屋根が見える程度まで水につかっていた。氾濫というか、川のキャパを超えて、完全にあふれてしまっている。
一部高架になっていた道路が10mくらいの長さにわたり地表に姿を現していて、前にも後ろにもすすめなくなったトラックがそこに。その運転手と思われるひとが、水につかった前方と後方の道路をみつめ、途方に暮れている様子が上空からわかった。
千葉、埼玉、茨城の各所で氾濫
埼玉県川越市の特別養護老人ホームでは約260人が取り残され(その後、約120名と判明。午後5時15分ごろ救助完了)、消防や警察のボートによる救助活動が続けられている、との情報をもとに現場上空へ。
そこは越辺川と入間川がVの字のように交わる、まさにそのVの内側。そこには小さな支流が2本流れていたことが地図の上では示されているのだが、一帯が冠水し、川の位置がよくわからない。おそらく、ここも途方もない量の一気に水が流れ込み、幾重もの川が合流する地点ということもあり川のキャパを超え、水があふれてしまったのだろう。
もはや、どこかの堤防が一部決壊した、というよりも、バケツの水をぶちまけできた水たまりのような状態だ。上空に1時間30分ほどいたが、一向に水がはける様子は見受けられなかった。
台風通過から半日以上たってもなお取り残された人が
茨城県水戸市では、川の氾濫で住宅街が水につかっているという。
ここも現場がすぐわかった。
県の防災ヘリと、海上保安庁のヘリが、超低空で飛び、住宅の屋根に救助隊を降下させていたからだ。よくみれば、その2階建て住宅の屋根の上には4人のひとたちが座り込んでいる。
一人ひとり、ヘリに収容する作業が慎重におこなわれていた。
そして同じ住宅街では、自衛隊がボートを出し、2階に取り残されていたひとたちを救助していた。
空から、陸から、消防や警察、自衛隊が連携し続けられる救助活動。時刻は午後3時。台風通過から半日以上がたって、ようやく救助されたひとたちの姿がそこにあった。
日が暮れてもなお、水がはける気配はない。
(執筆:フジテレビ プライムオンラインデスク 森下知哉)
北上しても雨の勢いが衰えず、東日本の広い範囲に記録的な大雨を降らせた台風19号。河川の氾濫(はんらん)が相次ぎ、大規模な浸水などの被害が各地で多発したのは、台風の規模に地形条件が重なったためとみられる。東北などでは、想定を超える事態への対応に追われた。
台風19号が伊豆半島に上陸したのは12日午後7時前。だが、台風本体の北側には厚い雨雲が張り出し、東海や関東地方では上陸前の日中から大雨に見舞われた。12日に24時間降水量の観測記録を更新した地点は16都県の84カ所に及んだ。雨が強まる時間が遅かった岩手県でも、13日までの24時間雨量を更新した地点があった。13都県で大雨特別警報が出され、東北から関東甲信にわたる広い範囲で河川が氾濫したり、土砂災害が起きたりした。
広範囲に大雨を降らせた要因について、専門家は台風本体の大きさや勢力に、地形条件が重なったことを挙げる。
台風19号は、今月6日に中心気圧千ヘクトパスカルで発生。その後、急速に気圧が下がり、8日には「猛烈な」強さの915ヘクトパスカルに。平年より1~2度高い海面水温によってその後も勢力は大きく衰えず、本州の半分ほどをすっぽり覆う大きさで上陸したため、広範囲で大きな被害につながったとみられる。
横浜国立大の筆保弘徳(ふでやすひろのり)准教授(気象学)は、「特殊な雨台風」と表現する。この時期の台風は、近づく前から秋雨前線を刺激し、2、3日前から雨をもたらすことが多い。これに対し19号は、台風本体の雲が1日で一気に大雨をもたらしたのが特徴だという。このため、あふれるほどの水が川に流れ込んだとみられる。
地形が大雨に拍車をかけた。山口大の山本晴彦教授(環境防災学)は「進路沿いには、丹沢山地や北上山地など山がちな地形がある。ここに台風から吹き出す南東よりの暖かく湿った空気がぶつかり、上昇気流を生んでさらに大雨になった」とみる。
京都大防災研究所の竹見哲也准…