奈良県御所市に「丸山手工(しゅこう)ギター工房」を構えるギター職人、丸山利仁(としひと)さん(64)が吉野杉を用いたクラシックギターを、県森林技術センターの協力を得て制作した。今後、受注生産制で販売するという。

 県森林技術センターは吉野杉の需要拡大を目指し、これまでにバイオリンとビオラ、チェロの3種類の楽器を制作してきた。このチェロの演奏を耳にした丸山さんが「ギターにも」と県に提案。弦の振動を受け止め、音を大きくする表板(おもていた、響板〈きょうばん〉)として活用することになった。同センターも木材の選定などで協力した。

 使用した吉野杉は推定樹齢200年以上で、10年以上乾燥させた板材。丸山さんによると、平均年輪幅が約1ミリときめ細かいため強度が高く、薄く加工できる。薄くすることで、響きがより良くなるという。「表板の素材は欧州産のスプルースか北米産のベイスギが主流。国産材は珍しく、吉野杉は初めてだと思う。他の制作者にも紹介し、普及させたい」

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 丸山さんは23日、県庁で記者会見した。その席で試奏した王寺町のプロギタリスト、山本真也さん(26)は「中高音域の音がよく響く。力強い音で、前方に届きそうだ。吉野杉を用いた楽器だからこそできる表現があると思います」と感想を述べた。

 注文などの問い合わせは丸山さん(080・3035・1804)。(