TOMO's Art Office Philosophy

作曲家・平山智の哲学 / Tomo Hirayama, a composer's philosophy

「下手なオケ」論~弦と管の対立編~

2006年01月16日 | 音楽
 今日、帰宅途中の電車の中で、どこかの大学オケの団員と思われる二人の男子の会話を耳にしました。

男子A:あ~あ、何でショス9なんかやらなきゃならないんだよ~。
    第九(ベートーベン)やるならエグモントとかコリオランにだろ普通…

男子B:まあ、そう言うなよ。管の奴らにも配慮してやらないとさ。
    一応、9番つながりってことでもあるし、な

 私は思わず苦笑いをしてしまいました。やっぱりどこのオケでも選曲における管楽器vs弦楽器の対立というのはあるんですね。事実私も大学オケではこの問題によく悩まされました。
 これ、原因は非常に単純なんですが、単純であるがゆえに非常に根深いものなんです。すなわち「自分が演奏しやすく、かつオイシイ(目立つ、メロディがある等)曲」を追求していくと、弦と管の楽器の特性上、曲の好みが偏ってしまうということです。当然と言えば当然なんですが、おかげで選曲会議は往々にして管と弦の「手打ち」の場になってしまうわけ(笑)まあ、オケの宿命と言ってしまえばそれまでなんですが、そんなことでせっかくの演奏会が妥協の産物になってしまうのは悲しいことですね。

 ただ、私の経験から言えることは、「下手なオケ」ほどこの傾向が強いということ。なんとなればすなわち、ほんとに楽器が上手な人は「演奏しやすい」と言うつまらない理由で曲を選んだりしないから。また、そういう人ほど目立たない部分の面白さや、アンサンブルの醍醐味も知っているからです。
 曲のえり好みをしているとどんどん自分の世界を狭めてしまうだけです。特に学生の皆さんにはいろんな曲に挑戦して行ってほしいですね。

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