TOMO's Art Office Philosophy

作曲家・平山智の哲学 / Tomo Hirayama, a composer's philosophy

オディロン・ルドン展@損保ジャパン美術館

2013年06月14日 | 芸術
今日は午後半休をとって、オディロン・ルドン展@損保ジャパン美術館へ。

久しぶりに素晴らしい作品に出会えて、有意義だった。

まずは後期の油彩画から「カインとアベル」
凄まじいまでの憎悪と嫉妬が劇的な構図とルドン独特の色彩で強烈に表現されている。
晩年の油彩画には神秘的な作品が多いが、こういうドラマティックな作品もいい。
全体的にドラクロワの影響が見られるが、それはこの作品の価値を落とすものではないだろう。
ただ、旧約聖書のカインとアベルのくだり(弟殺し)を知らないとこの魅力は伝わらないだろうな。

もう一つはルドンが亡くなったときにイーゼルに置かれていたという「聖母」(未完)
よくぞ、よくぞボルドーからこの作品を取り寄せてくれた!
ルドンはアカデミックなアートコースを踏み外し、戦争を経験し、紆余曲折の人生を送ったが、
きっと天国へ召されたことであろうと確信させる慈愛に満ちた作品だ。

損保ジャパン、毎度毎度素晴らしいぜ。金と優秀なキュレーターが居ればいい展覧会ができるんですな。


さて、話はそれるが、なぜ美術館にいる人たちはあんなに絵に近づいてみるんだろう?
「TOMO、絵は細部(detail)は関係ないの。全体としてどれだけ力(power)をもっているか、それが重要なのよ」
尊敬するウクライナの女性作家から教えてもらった言葉。



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