「あんたはそこからこっち方向には来ないほうがいい。」
と、この前母親に言われました。
どうやら私は人に見られたらまずいらしい。
母親の話だと(もう引越したんだし、こっち方面には何の用事もないはずだから。)という理屈。
へ?理屈。
私がどこへ行こうといいじゃない。
と、思ったけど一応話しを合わせてみる。
「そうよねぇ、もう団地の人にも会いたくないし。」と私が言いますと
「そうそう、とくにあの人とは喋らないように・・。」と特定の人物をご指名。
時々エレベーターの中でおしゃべりしてたおばちゃんのことらしい。
私からは話しかけないけど、どういうわけか向こうはえらく親しげに話しかけてきてた人なのですが・・。
どこから聞いたのか、私と母が親子だというのを知ったらしく
何かと話しかけてきてたのよねぇ。
バレたのなら別に隠す必要もなく、私はごく普通に世間話をしてました。
いつもマスク姿の私の娘に「背が高いわねぇ。綺麗な顔してるわね。」なんて
褒めちぎってくれるけど、三女は150cmだし、マスクで顔は全然見えないんだぜ。
で、ついつい
「え~。顔見えないでしょう?」って大笑いしてしまうんだけど、至って相手は真剣で。
これは笑うしかない。
で、あんまりしつこく母が絶対あの人とは話さないようにと念を押すので
「でも、私の顔なんか覚えてないと思うよ。いつもマスクやし。
そこら辺で会ったとしても絶対気づかんって。」と、言ってみても
「いや、絶対わかるって。」と妙に力が入った返事。
でもさ、例え会ったとしたっていったい何の問題があるというの?
ここは私が生まれ育った街なのよ。
どこをどう歩こうと何の問題があるというのさ。
で、知り合いに会って挨拶したとしても何の問題がある?
この歳で、親からそういう不条理なこと言われるとは思ってなかったもんで(いや、今まで不条理なことしか言われてないけど)
妙に腹がたってきて・・。
「マスク外したら判らんと思うよ。」
「いや、判るって!」
「いや、絶対判らんって!」
「判るって!」
という会話が暫く続いて、とうとう
「いつもあの人会うたびに
あんたのことを綺麗な娘さんやね、スタイル良いし・・って言うんよ。だけ絶対あの人はどこで会ってもあんたのことが判る。」と白状したのです。
そうそう、そうなのよ。
私ってスタイル抜群、お顔も綺麗。
ってことじゃないのよ、問題は。
そういう理由で何で私が母親に命令されなくてはいけないのか?
私の存在がすごく苦痛みたい、私のママン。
だから
私はずっとお母さんの娘っていうことを隠して生活してたのに。
そこらで会っても人前では絶対「お母さん」って呼ばないようにしてた。
それは私達親子がみっともないから。
病気だから。
いつもマスク姿だから。
難病だから。
そして私が綺麗だから?
冗談はさておいて。
何か納得のいかないモヤモヤした話だけど、それ以降
私は外出するのが怖くなってしまいました。
この家から、この場所から、向こう方面には行けないの。
で、一番ショックだったのは「もうあんたもこの団地に来ることはないやろうし・・。」って言葉。
ええ~、まだあんたがそこに住んでるじゃない。
親が・・。
来るなってことよね。
これって。
親からそんな言葉掛けられるなんて・・。
もう長いことあの親の子供ですけど、今更ながらの毒親ぶりにびっくり。
ま、そんなもんか。
そういう親もいるってことで。
(どんな親でも子供のことを一番大切に思ってる)とか(本当は愛してるのよ)とか
よく知りもせずにもっともらしいことを言う人は世間知らず。
悲しい子供がたくさんいるってことも知ったほうがいいよ。
ああ、洗濯物でもいれてこようっと。
もうすぐ私の可愛い娘たちが帰ってくるから。
自分を大切にして生きていきたいから、親なんていなかったことにしておきましょう。
残念ながら私を産んでくれてありがとうなんて
一度も思ったことないし。
でも、これからは楽しく生きていけると思う。
親を捨てたら楽になれると思うから。