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映画「大日本人」を見た感想

40度を普通に超える、如何ともし難い猛暑の日が続きます。。。
こういうときは、涼しい部屋で寝転がって、動画を見て過ごすのが一番です。

そんなある日のつい先日。
「松本人志 カンヌにて取り巻きしか拍手せず戸惑う」というタイトルの動画が目に留まり、それを見たのがきっかけとなって、ダウンタウンの松本人志さん(以下、松ちゃん)が製作した映画にわたしは興味を持つに至ったのでした。



松ちゃんが過去に、映画の製作(監督・主演)を手掛け、しかし世間からの評価がいまひとつであったことは、長年ダウンタウンのファンをやってきているので、わたしも知っています。
松ちゃんの「黒歴史」という言い方がされることも、あるようです。

2007年 「大日本人」
2009年 「しんぼる」
2011年 「さや侍」
2013年 「R100」

あの当時、これらの映画を実際に見るには至らず、興行収入も評価も芳しくないらしいことは巷のニュースでそれとなく察知できた、というくらいの関わり止まりでした。
松ちゃんの映画について、わたしの予備知識はその程度しかありませんでした。

しかし、先述の動画「松本人志 カンヌにて取り巻きしか拍手せず戸惑う」の内容と、その動画についていたコメントを見て、わたしは逆に興味を掻き立てられました。
スタンディングオベーションとは程遠い、「総スカン」と言ってもいいくらい客席からの拍手がまばらな状況が、映し出されていたその動画を見て、わたしは思いました。

言うても、お笑い界のトップどころと言われる松ちゃんなのに、
映画製作で一体どのような「やらかし」をしてしまったというのか。
わたしはそのように、逆に興味を持ちました。



そこで先日、松ちゃんの映画「大日本人」を実際に見てみました。

その感想として、まず1つ確実に言えることは、カンヌ国際映画祭にエントリーする作品としては、明らかに「場違い」「スレチ」であると思いました。
既に多くのレビューで言われているように、ラストのあの終わり方は、TV でやるコントの域を出ておらず、映画祭で国際的評価を問う作品としての流儀を欠いている。
わたしはそう思いましたし、同じように感じた人は多かったと思います。

それが、「松本人志 カンヌにて取り巻きしか拍手せず戸惑う」の動画の、
あのまばらな拍手に表れていたと思います。

着想自体は、斬新で、悪くなかったと思います。
ストーリー展開も、途中までは、期待させる内容でした。
ただ、ラストの終わり方があれでは、ちょっと ・・・・

公開当時、「大日本人」は TV CM も流れていたように記憶しています。
「大日本人だよ!」のセリフが今も頭に残る、あの CM です。
あれを見て、名作の予感を抱き、映画館に足を運んだ人は多かったと思います。
そうした人たちの期待を、非常に裏切るラストの終わり方だったと思います。



しかし、別の立場から、全く違った感想も同時に付け加えたいと思います。

あのラストの終わり方こそが、松ちゃんのワールド、真骨頂。
周囲の評価がどうなろうと、誰に媚びることなく、自分のワールドを貫いた。
「ガキの使い」や「ごっつ」を長く見てきた昔からのダウンタウンのファンは、
そのように肯定的に評価する人も多かろうと思います。

結局のところ、我々のような古くからのダウンタウンファンは、松ちゃんの思考様式の特異性、それ自体が面白いと思っている、ということです。
「松ちゃんのお笑いは小難しい」と昔からよく言われ、コントやトークなど、その内容そのものはよく分からず面白いと思えない場合も多々あるのですが、そういうことを考える松ちゃんの思考自体が笑えるという、昔からのファンほどそういう楽しみ方をしていると思います。

そういう目線で「大日本人」のラストを見ると、わたし個人的には、
アメリカ大使館の建物と星条旗が見えた時点で、ニヤニヤが止まりませんでした(笑)

映画を通して松ちゃんが描こうとしたのは、「大日本人の悲哀」だったのかと思うのですが、「時代の流れとともに・・・・」などと抒情的に描けばそれは嘘になる、実際の本当の現実がどうかといえば、圧倒的スーパーヒーロー(=アメリカ)が出てくればそれで全て解決するやんという、その対比のパロディで「大日本人の悲哀」を描くことに、松ちゃんはこだわったと思います。
そこはもう、松ちゃんの思考様式なので、我々にはどうすることも出来ません。

わたし個人的には、ごっつのコントで昔あった「THE BIG MONEY DREAM AMERICA」を思い出してしまいましたが(笑)、全てにおいて圧倒的であるが故にツッコミ処も満載な「アメリカ」という存在に対して、松ちゃんには何か、強いこだわりがあるような気がします。

「ん~、あいつ(=松ちゃん)の頭ん中に、何か1個、そういうイメージがあるんやろな」

浜ちゃんの言葉を借りれば、↑こんな感じになるでしょうか(笑)
それが具体的に結実した1つの作品事例が、「大日本人」のラストかと思います。
「ジャスティス」というワードチョイスも、わたしはかなり好きです(笑)
BGM も絶妙で、個人的にはなかなか楽しめます。

ただやはり、カンヌ国際映画祭という場で、あのラストは相応しいとは思えません。
最後あのまま飛び去って終わるのでなく、再び元の CG の巨人に戻って、映画を見た人に何かを訴えかけるシーンを挟んで締め括れば、評価はまた違っていたのかもしれません。
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