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Electric Blue

アイスハウス(Icehouse)という、オーストラリアのロックバンドを御存知だろうか?

自分は正直、彼らのことをほとんど知らず、アルバム等を買って聞いたこともない。
80年代洋楽を愛する人間でありながら、US か UK のロックしか実質知らない半可通なのが正味の話(横山やすし)なので、オーストラリア出身の Icehouse を知らないのは無理もない。

本当に何も知らないのでw、以下、Wikipedia の力を大幅に借りて書く。

Wikipedia の Icehouse の頁を見ると、最後に載っているメンバー表の複雑さが目に付く。
1977年から現在に至るまでの活動期間中、人員が激しく入れ替わっていることが分かる。
しかし、一番トップに名前があるアイヴァ・デイヴィス(Iva Davies)だけは、40年間途切れることなく生え抜きのメンバーであり続けている。
彼こそが、アルバムのほぼ全ての曲作りを手掛ける、バンドのリーダー、中心人物だ。

1987年 「Man of Colours」

ディスコグラフィーを見ると、1980年のデビューアルバム 「Icehouse」 と、1987年の 6th アルバム 「Man of Colours」 の2作品のセールスが突出している。
合計9倍のプラチナ獲得のデビューアルバムが最も売れているように思えるが、Wikipedia によれば、「Man of Colours」 が "best-selling album" だと紹介されている。



「Man of Colours」 のセールスの原動力となったのが、シングル 「Electric Blue」 だ。
地元オーストラリアのチャートで No.1 に輝き、Billboard でも No.7 まで上昇するヒットを記録しただけあって、アダルトなポップセンス溢れる秀逸な1曲となっている。

キミの衝撃的なブルー(Electric Blue)の瞳で見つめられたら、たまらないぜ

歌詞の内容を見たところ、大体↑こんな感じのことが歌われているのではないかと思われる。
この歌詞に沿うかたちで、PV では訳あり風の美女が執拗にフィーチャーされる。
そして、リードボーカルを歌うアイヴァ・デイヴィスの存在感が、際立っている。

自分、Iva っス!(←的場浩司風)

・・・・ いかにもそんな感じのw、目鼻立ちの輪郭が鋭い、意志の強さを感じさせる風貌だ。
バンドの中心人物らしい、只者ではない雰囲気を帯びた人物である様子が見て取れる。



「Electric Blue」 がヒットした1987年当時、自分は大学2年で、高校時代ほど洋楽漬けではなかったが、ベストヒット USA などの洋楽番組を通じて、耳にインプットされたのだろう。
あれから約20数年後、インターネットラジオで 「Electric Blue」 がたまたま流れてきたのを聞いたとき、100% 聞き覚えがあった。

さらに、その後、「Electric Blue」はホール&オーツ(Hall & Oates)のジョン・オーツ(John Oates)が co-writer に名を連ねる曲であると、ネットのブログ記事を通じて知った。
それを知ったうえで聞くと、「Electric Blue」 の旨味は何倍にも高まる。

ホール&オーツといえば、ダリル・ホール(Daryl Hall)ばかりに注目が向けられがちだが、ディスコグラフィーを確認すると、ジョン・オーツも積極的に曲作りに参画している。
1984年のヒット曲 「Out of Touch」 も、ダリル・ホールが単独で書いた曲ではなく、文字通り "Hall & Oates" の共作である。

そんなジョン・オーツが、アイヴァ・デイヴィスと2人で 「Electric Blue」 を書いた。
つまり、「Electric Blue」 は、洋楽界最強のデュオ・ホール&オーツのイズムが注入された曲なのであるから、名曲にならない筈がない。
洋楽ファンであれば、「Electric Blue」 の弾むようなメロディアス感に、ホール&オーツの往年のヒット曲のセンスを感じる筈だ。

アイヴァ・デイヴィスとジョン・オーツが、作詞と作曲をどのように担当しているのかは不明だが、自分は 「Electric Blue」 を聞く時は、ジョン・オーツが作曲を全面的に担当したものと勝手に思い込んで聞いている。
サックス・ソロの間奏のバックに聞こえる、ベースラインの運びがとてもカッコよく、そこを聞くときも自分は 「この旋律もジョン・オーツが考えた」 と念じながら聞くことによって、快感は何倍にも増幅するw

心なしか、PV の演奏シーンも、「Say It Isn't So」、「Posession Obsession」など、ホール&オーツのヒット曲の PV と雰囲気が似ているように思えるのは、気のせいだろうか。



Icehouse - Electric Blue
https://www.youtube.com/watch?v=IUFOVu1CurM
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Gypsy

アメリカの女性シンガーソングライター、スザンヌ・ヴェガ(Suzanne Vega)。
音楽の雰囲気からして北欧あたりの出身なのかと思っていたが、Wikipedia を見たところによれば、カリフォルニア生まれのニューヨーク育ちと、チャキチャキの USA っ娘だ。

余談だが、「スザンヌ・ヴェガ」 と聞くと、昔あったソニーの TV 「ベガ」 をふと思い出す。
両者は "Vega" と "Wega" で綴りが若干違っているし、そもそも全く何の関係もないw
いずれにしても、"Vega" という名前の硬質な響きは、清楚な風貌の奥に秘められた彼女の意志の強さをあらわしているようで、印象的だ。

♪my name is luka, i live on the second floor ....

あの有名なヒット曲 「Luka」 で、スザンヌは、彗星ならぬ妖精のようにデビューした。
・・・・・・ と思い違いをしている人も、多いのではないかと思う(自分もそうだった)。
「Luka」 のインパクトが非常に大きかったので、それも無理からぬことだが、「Luka」 はスザンヌ・ヴェガのデビュー曲ではない。

1985年 「Suzanne Vega」
1987年 「Solitude Standing」

「Luka」 の大ヒットを生んだアルバム 「Solitude Standing」 は、1985年のデビューアルバム 「Suzanne Vega」 に続く 2nd アルバムである。
「Solitude Standing」 は、「Luka」 の他に 「Tom's Diner」 のリメイクヒットなども生み、スザンヌのキャリアで最大のアルバムセールスを記録した。

Wikipedia のディスコグラフィーを見ると、「Solitude Standing」 以外のすべてのアルバムが、各国のチャートを満遍なく賑わせている状況がうかがえる。
そして、アルバムの楽曲は基本的にすべて "All songs written by Suzanne Vega" である。
「Luka」 だけの一発屋ではない、実力派シンガーソングライター、それがスザンヌ・ヴェガだ。



「Solitude Standing」 のアルバムカバーのスザンヌ(↑)は、とても清楚で美しい。
(アルバムが世界的に売れたのは、それも一つの要因だったと推測する)。
デビューアルバム 「Suzanne Vega」 のカバー写真も同様に清楚な美形であり、今後とも同じ路線がずっと継承されていくものと誰もが思った筈だ。
「Solitude Standing」 のアルバムカバーは、それくらいのインパクトがあった。

しかしその後、1992年の 「99.9F°」 から雲行きが怪しくなり、1996年の 「Nine Objects of Desire」 のアルバムカバーを洋楽雑誌で見掛けたときは、まるでイメージが変わっていた。
「あの清楚だったスザンヌ・ヴェガも、とうとう阿婆擦れてしまったか ・・・・」
と、諸行無常を感じたものだったw

近年のスザンヌの画像を見ると、うらやましいまでのいい顔をしている。
自分自身の道を真っ直ぐ進んできた自信と余裕に満ちていて、そんな中にも、「Luka」 をヒットさせた頃のやんちゃな才女の面影が残っているのが、何となく嬉しい。



スザンヌ・ヴェガのアルバムの中で、自分が真面目に聞いたことがあるのは、1987年の 「Solitude Standing」 のみだ。
それ以外のアルバムは全く聞いたことがなく、近年の作風がどのようであるかも知らない。
つまり、自分の中でのスザンヌ・ヴェガ像は、「Solitude Standing」 のアルバムカバーのあの清楚なイメージのまま、今でも変わっていない。

「Solitude Standing」 の全11曲のうち、「Luka」 はもちろんいい曲だ。
それに加えて、優しいメロディの9曲目 「Gypsy」 が秀逸だ。
サビのコーラスが耳に心地よい、子守唄のような曲だ。

oh, hold me like a baby
that will not fall asleep
curl me up inside you
and let me hear you through the heat


眠らない赤ん坊を抱くように
わたしを受け止めてください
あなたの温もりの中で
声を聞かせてください

「Gypsy」 には逸話があり、「スザンヌが17歳のときに出会った少年との出会いと別れを綴ったラブソング」 とのことである。
その少年と別れるとき、スザンヌは歌を贈り、少年はバンダナをくれたという。
そのときに、スザンヌが実際に少年に捧げた曲が 「Gypsy」 だったのか。

印象的なサビのコーラスは、曲中で4度繰り返される。
ラストの4度目では、"but now hold me like a baby ..." と、少年と今まさに別れようとしている直前の気持ちとして歌われる。
"curl me up inside you" は、相手の頭(髪)を抱いて何度も手で梳く様を指すのだろう。
とても美しい曲である。

「Gypsy」 は、アルバムからの第1弾シングルなので、PV が存在する。
が、この曲を鑑賞する際は、2番目の動画(↓)で歌詞を追いながら聞くことをお勧めする。

Suzanne Vega - Gypsy (official music video)
https://www.youtube.com/watch?v=lmXW6YpMw84

Suzanne Vega Gypsy - Lyricized
https://www.youtube.com/watch?v=94NMnVD11bM
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Wonderful Life

おっさんは、CMT-X7CD というソニーのミニコンポ的な装置を、日常的に愛用している。
主な目的は、インターネットラジオで80年代洋楽を聞くことである! (`・ω・´) シャキーン

この歳にもなれば、体力的に、若い頃のようにはいかない。
その日の疲れはその日のうちにリセットする必要がある。
「月月火水木金金」 のサラリーマン営業日となれば、その重要性がさらに増す。

仕事から帰宅後、ちょっとばかしの時間を取って、軽めの運動的なことを行なうそのときに、インターネットラジオをかけっ放しにする。
高校時代に聞いた、懐かしい80年代洋楽のヒット曲が、次々と流れてくる。
身体と心の疲れを同時にリフレッシュできる、至福のひとときなのである (ーωー)

そのように、日々洋楽漬けになっていると、思わぬ曲に出会うことがある。
一昨年の夏、部屋でインターネットラジオを聞いていると、ある曲が流れてきた。
過去に聞いた覚えはなく、英語の歌詞の意味も全く分からなかった。
が、メロディーがものすごく心に染み込んできた。

一度聞いただけで、ここまで気に入ってしまう曲というのも珍しい。
そう思いつつ、ネットで調べたところ、Black という UK のシンガーが1987年に発表したデビューアルバム 「Wonderful Life」 のタイトル曲であることが分かった。

1987年 「Wonderful Life」

デビューアルバム 「Wonderful Life」 は、UK チャートの No.3 まで上昇した。
その原動力となったのが、UK、フランス、ドイツ他各国で Top10 に食い込むシングルヒットを記録したオープニングのタイトル曲 「Wonderful Life」 だ。

Black 自身が作詞作曲した 「Wonderful Life」 には、カバーバージョンが存在する。
1999年にマチルダ・サンティン(Mathilde Santing)という女性シンガーが歌ったものもその1つで、この PV を見ると、歌詞の内容が非常によく理解できる。

i need a friend
to make me happy
not stand here my own


友達がほしい
ハッピーになりたい
一人でいるのは寂しい

ディスコ風の盛り場で、寂し気な女がカウンターで一人。
そんな彼女を、踊る群衆のあちこちの、片隅から、見守る顔が ・・・・
彼女は、勇気を出して、その輪の中に入っていき、温かく迎えられる。

no need to run and hide
it's so wonderful, wonderful life


逃げも隠れもしなくていい
そのままで 素晴らしいあなたの人生よ

PV の中で彼女を演じるマチルダさんが、最後に見せる笑顔が素敵だ。
マチルダさんの 「Wonderful Life」 には、そんな心温まるメッセージが込められている。

Wonderful Life
https://www.youtube.com/watch?v=N93HOxL-qL0


一方、Black が歌うオリジナルバージョンの PV も、YouTube で試聴できる。
こちらは、マチルダさんバージョンの PV とは、やや趣が異なる。
不器用で孤独な青年を演じる Black は、終始伏し目がちなたたずまいを見せる。

look at me standing
here on my own again
up straight in the sunshine


僕はいつも こうして
陽の光を 浴びながら
一人ぼっちで いるんだよ

「Wonderful Life」 の歌詞の解釈について、「孤独から逃れたい情念」 という説がある。
「孤独」 が曲のテーマであるのは間違いないので、そうした重い意味にも解釈できるだろう。

しかし、そうであるとすると、曲の中で最も重要なサビの部分の歌詞は、孤独に悩む主人公が自分自身に言い聞かせる内容、ということになると思う。
PV を見ると、そうした内向きの情念とは異なる、強烈なメッセージが発せられている。

終始伏し目がちで歌う Black が、最後の最後に見せる真っ直ぐな視線の中には、マチルダさんが歌ったのと同じ温かいメッセージが込められている。
それは、この曲を聞くすべての人々に対して向けられている (´;ω;`) ウッ...

no need to run and hide
it's so wonderful, wonderful life


逃げも隠れもしなくていい
そのままで キミの素晴らしい人生さ

2016年1月、Black こと Colin Vearncombe 氏は、自動車事故で亡くなった。
彼の53年の生涯は、Wonderful Life であったに違いない。
合掌(R.I.P)



Black - Wonderful Life (Official Video)
https://www.youtube.com/watch?v=u1ZoHfJZACA
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Are You My Baby ?

ウェンディ&リサ(Wendy & Lisa)という、女性2人組のデュオを御存知だろうか?
2人は、あのプリンス(Prince)のバックバンド The Revolution の中心メンバーだった。
「Raspberry Beret」、「Kiss」 などの有名ヒット曲の PV や、ツアー映像など、プリンスのバックでいつも演奏していたので、覚えている人も多いだろう。

Wendy Melvoin
Lisa Coleman

最も古くまで遡れば、プリンスの1980年の 3rd アルバム 「Dirty Mind」 のクレジットに、"Lisa Coleman"(=リサ) の名前を見つけることができる。
1982年のアルバム 「1999」 で "Wendy Melvoin"(=ウェンディ)の名前がクレジットに登場し、そこでウェンディとリサの2人が揃い踏みする。

1983年の名作 「Purple Rain」 では、CD に付属のライナーを開くと、クレジットの一番先頭に "Lisa Coleman"、"Wendy" の名前がある。
1986年の 「Parade」 のラストを飾る美しいバラード 「Sometimes It Snows in April」 は、プリンスが単独で書いた曲ではなく、ウェンディ&リサとの共作だ。

そのように振り返ると、ウェンディ&リサの2人は、プリンスの音楽活動に多大な貢献を果たしてきた、そう言って間違いないと思う。
プリンスは生涯に渡って全盛期だったが、1980年代のあの頃はやはり別格だった。
その最も輝いていた時期に、ウェンディとリサは、プリンスを完璧にバックアップした。

しかし、そうした音楽面での貢献がプリンスになかなか認めてもらえないことへの失望から、1987年のアルバム 「Sign o' the Times」 を最後に、2人はプリンスのもとを去る。
Wikipedia をざっと見た感じでは、大体そんな内容の経緯が書かれている。
孤高の天才プリンスの妥協を知らない厳しさゆえに、起きてしまったすれ違いだったのか。
そんな風に自分は想像する。



プリンスと袂を分かった翌年、1987年にウェンディとリサの2人はデュオを結成し、アルバム 「Wendy and Lisa」 で記念すべきソロデビューを飾る。

1987年 「Wendy and Lisa」

1989年には 2nd アルバム 「Fruit at the Bottom」 をリリース。
このアルバムを、自分は大学時代にフルで聞いたことがある。
スマッシュヒットしたシングル 「Are You My Baby ?」 の他にも、個性的でキャッチーな曲が並ぶポップな作品で、当時けっこう気に入ってよく聞いていた。

1989年 「Fruit at the Bottom」

1990年の3作目 「Eroica」 が、セールス的には最も伸びたアルバムのようだ。
「Eroica」 まではメジャーレーベルからのアルバムリリースだったが、その後はどことも契約しない自主リリースの形を取り、最新作は2011年の 「Snapshots EP」 となっている。
現在も2人で活動中とのことだ。

プリンスとは2004年頃に和解し(?)、アルバム 「Planet Earth」 の制作に参加。
2016年4月21日、プリンスの訃報を受け、ウェンディとリサは The Revolution の元メンバーらと追悼メッセージを発表し、昨年9月に引き続き今年4月にも再結成ツアーが行なわれた。

The Revolution で活躍していた頃のウェンディとリサは、妖しく美しく輝いていた。
当時に比べると、その後のソロでの足跡は地味であることは否めない。
プリンスの威光はやはり偉大だったというべきなのか。

しかし、ウェンディとリサは、映画や TV のテーマ曲を提供するなど、セッションミュージシャン、裏方としての多方面の仕事で実力を発揮してきた、とのことだ。
プリンスを完璧にサポートしたように、2人にはその方が性にあっているのかもしれない。



Wendy & Lisa - Are You My Baby
https://www.youtube.com/watch?v=FgQ-irSwywo
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