嘘の吐き方(うそのつきかた)

人はみんな嘘をついていると思います。僕もそうです。このページが嘘を吐き突き続ける人達のヒントになれば幸いです。

排泄される言動と、空洞化される幻想の中での言説。

2008年02月26日 21時44分41秒 | 駄文(詩とは呼べない)
がらんどうの前で立ち尽くす時に似て非なる感情。
どれだけ空っぽのがらんどうの前に立ち尽くしても、
心は空っぽにはならない。
はじめから空っぽのままで汚されていく景色は、
風景の色を正確に刻むことなく、
ただ、まっしろな闇の前で、自分の本質を覗き込もうとして立ち尽くす。

綺麗な感情は何も湧いてこない
ただ荒れ狂う暴風雨のような激流がドッと押し寄せてきそうで
必死に何故か、
僕は自分の感情をせき止めている、その防波堤の栓抜きのようなものを探す。
キチガイじみた感情に怯えているわけではない。
涙があふれ出すきっかけを、その最初の一雫を、どこに求めていいのかわからなくて、
ただもう、存在が不安になっていく。

空の天気が荒れてくれれば、
僕の心も、代わりにちっとは晴れるのだろうか。
ちょっとだけそんな贅沢に都合のいいことを考えて、
馬鹿馬鹿しさにも嫉妬する。

相手の心がどうにもならないことや、
自分の考えてる事が相手に伝わらないこと、
誤解をずっと招き続けること、
そんなことよりも前に、
僕は自分で自分の感情を制御することができないからだろう。
そしてまた、感情を制御する歯車に対して、
僕は破壊に近い衝動を、隠し通すことも、抑えることも、できはしないのだ。
僕から溢れ出る感情を、秘密にしたくない、隠し通したくない、
誰かに伝えたい、誰かに刻みたい、誰かを壊したい。
もっと手前で、自分を壊したい。

珍しく、胸の高鳴りを感じる事があったとしても、
それが僕の日常を破壊してはくれない、
それが僕にとっての、新しい一歩となってはくれない。
どれもこれも、すでに見てきたような、どうしようもない僕の色だけを帯びている。

ずっとずっと、自分の輪郭を破壊できずにいる。
どんなに自分を嫌ったとしても、自分を好きになったとしても、
あるいはそんなことをおもわずに、
いつもの平常心を装ったとしても、
ただもう僕の前に現実が立ちふさがる限り、
僕は自分の思い込みが作り出した輪郭を破壊することができない。
もしもこの輪郭を破壊できるような他者が現れるとしたら、
それは奇跡のような瞬間の、ほんの刹那の中にある、
永遠にながい時間だけなんだと思う。

もしもそういう流入する濁流のような感情を塞き止めているなにかの、
この棺桶にちかい世界の、
ほんの最初の破壊のきっかけを作り出すことができれば、
ぼくはもう、体なんか無くったって平気なんじゃないかって
そんな電波な妄想さえ、浮かんでくるほどだ。

攻撃的妄想にふける限り、僕は僕にとっての悪に似た汚れを背負う。
それがもし、僕の尊厳を傷つけるような行為であれば、
ある種の盲目的廃人と、エネルギーのみなぎった超人は、
等価な価値をもつという、その天秤に似てくるだろう。

どんなに純粋な偽善のものさしをもって僕を測ったとしても、
僕が生来持っている、罪の意識や、原罪が消えないように、
存在が人を傷つけるというそのことは、
不在の証明と似た宿命性を持っている。

見えなくなるほどに光を浴びて育ったのに、
闇ばかりを見ている子供のにように、
まっしらやみの中で、僕は誰かの存在に怯える。
その存在を作り出している自分の思い込みの正体が、
ねじれたきっかけが、白黒が反転している繋がりが、
すべての漂白された時間が、
なにもかもを、僕に秘密にし続けるからだ。
ある意味では、すべての防衛機制をとっぱらって、
僕の精神が錯乱してしまえば、現実という名の濁流は、
もはや人を汚す力を失うだろう。
だが、ぼくはそれに触れようとして失敗する。
僕には現実を見るほどの目が与えられていない。
与えられるものではなく、勝ち取るものが目だったとしても、
それは僕が死神に願って頼んで祈って手に入れられるようなものではなく、
むしろ僕が死に神になるような、背中の瞳に属する話だと思うのだ。

すべての不幸に降り注ぐ、最初のきっかけは、存在の1%を見つめる行為そのものの、
誤解の中に包含される。
すなわち、発生という観念の思い込みや、
存在を基底にした考え方そのものが、
すでに誤解の立地条件に建てた家のようなもので、
それは神の名を持った人を演じる行為で、
ジッと深く眠っている、僕のセミがこころで羽ばたく時間を作り出さない。
はじまりからおわりの観念に閉じ込められる限り、
セミの鼓動は伝わることなく、君の中で死んでいく。
ゆっくりとすべてをとりさって、君が僕と一緒に不在に溶けて忘れられていく。
だからこそ、僕らは「存在」として、
すべての名のもとに、
ある種の平等な嘘の名を借りて、
誰かを傷つけたいと思うのだ。

それは、それ自体が幻想だ。
僕らはもっと非力で、もっとくだらなくて、もっとなんの力も持たなくて、
なんの意志ももたなくて、流されてばかりで、感じるばかりで、
何も選択権を得ていない。
どんな新しさも、用意された風景の中からしか、選び取ることができないように
仕組まれているのだ。
僕自身の二の腕によって。

だからこそ、僕は君が用意した、あらゆる嘘を見破って、
それを破壊せしめて、その奥にある、僕の動機の欲望を、
晒し者にしたいと願うだろう。

それは果てしなく罪を欲する行為で、
存在を馬鹿にする行為に似ている。
冒涜と倫理の裁きで、僕の形をバラバラにするがいい。
どんなにつんざく悲鳴で僕をバラバラにしようとも、
存在しない祈りを消すことはできない。

すべてが幻聴で出来ている鏡だからだ。

君の声を聞こうとした。
未来から借りてきて、僕に神の名を与えた。
信じるに似た、くだらない奇跡の力で、君の名前を呼んだ。
それがはてしなく無力な僕をあらわして、
今日も絶望的な気分に浸る。
明日、君に会えることをねがって、
僕は、今日も自分に嘘の手紙を書く。

気が触れるほど、強欲になっていく、思い込みに、打ち克つために。