泣いている
蝉の声が鳴いている
ずっと一人で鳴いている
誰にも出会わぬように
涙で時が、沈まぬように
啼いている
笑ったこえでないている
光で闇が沈まぬように
トーテムポールの、音が聞こえた
風が吹くたび、一滴一滴
水がしたたる
川の種を開いて
少しの間、スキマとスキマを繋ぐように
光が水にしたたる
乾いた砂で埋まらぬように
カサカサと、地上をめざして。
誰にも出会わぬように
誰にも出会わぬように
あのまっすぐな、トーテムポールを目指して。
卵を産んだ
だれにもみつからぬよう
そっと静かに産んだ
夜明けが来ても
朝焼けに染まっても
決して誰にもたゆまぬように
三日月の夜が来て
ジージー音が鳴り始めても
僕の声は、誰にも聞こえない
ただ笑い声だけが、こだましてゆく
ジッと息をひそめて
卵が孵化するのを待った
ジージー
ぎーぎー
僕の声は聞こえない
誰にも聞こえない
僕にも聞こえない
じーじー
ぎーぎー
熱の声で静かに死んだ。
蝉の声が鳴いている
ずっと一人で鳴いている
誰にも出会わぬように
涙で時が、沈まぬように
啼いている
笑ったこえでないている
光で闇が沈まぬように
トーテムポールの、音が聞こえた
風が吹くたび、一滴一滴
水がしたたる
川の種を開いて
少しの間、スキマとスキマを繋ぐように
光が水にしたたる
乾いた砂で埋まらぬように
カサカサと、地上をめざして。
誰にも出会わぬように
誰にも出会わぬように
あのまっすぐな、トーテムポールを目指して。
卵を産んだ
だれにもみつからぬよう
そっと静かに産んだ
夜明けが来ても
朝焼けに染まっても
決して誰にもたゆまぬように
三日月の夜が来て
ジージー音が鳴り始めても
僕の声は、誰にも聞こえない
ただ笑い声だけが、こだましてゆく
ジッと息をひそめて
卵が孵化するのを待った
ジージー
ぎーぎー
僕の声は聞こえない
誰にも聞こえない
僕にも聞こえない
じーじー
ぎーぎー
熱の声で静かに死んだ。