篝火
秋になった。和琴の稽古に源氏はたびたび玉鬘のところへ行く。
『荻(おぎ)の音もやうやうあはれなるほどになりにけり』 (篝火)
荻は萩(ハギ)と漢字が似ていて勘違いをしたので、載せます。
オギは廣江美之助「源氏物語の植物(古典植物全集1)」よればイネ科。
荻は原野や水辺又は湿地に生育する多年生の大型草本とある。
花期は9~10月。秋の植物に属す。
源氏物語にも他に用例がある。
小学館の秋山虔・小野谷照彦監修「源氏物語図典」にも写真が載っていたが、
イネ、ススキたぐいよりも大きな草木に見える。
ということは、玉鬘の住む場所は池に近いとなる。
水辺にオギ?少しうっそうとした感じの池だろうか?この辺がピンとこない。
宝塚ガーデンフィールドも池の水辺に植物があったが、
蓮もありそれなりにキレイだった。そんな感じかもしれない。
撫子ばかりを植えている庭に呉竹もあり、
玉鬘の住む御殿は、夏の御殿にはふさわしい場所ではあるけれど。。
池が近ければ夏は涼しい。
『いと涼しげなる遣水のほとりに、
けしきことに広がり臥したるまゆみ(檀)の木の下に、』 (篝火)
まゆみ(檀)についても前述の廣江美之助氏は、漢字は<真弓>でニシキギ科。
私名の真弓は、昔この材で弓を製したからであるとされる。
古事記にマユミで弓を作る事が記されているそうだ。
倭名類聚集、大和本草にも名がある。
檀という漢字を当てるのは間違いであるが、古くはこの字を用いたとされている。
秋には紅葉して葉が赤くなる。
山野に生育する3メートル余りの落葉。花期は5~6月で、春の植物に入っていたが、
秋に愛でる木なのかもしれない。しかし、こちらも大きな木。
ちなみに、ニシキギは勿論、紅葉で有名である。
写真はオギ<季節の花 300 >より
索引でマユミも参照に。
http://www.hana300.com/index.html