日本と世界

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ロッテの境遇を見て誰が韓国で企業活動をしたいと思うのか

2017-03-23 20:51:38 | 日記
【社説】ロッテの境遇を見て誰が韓国で企業活動をしたいと思うのか

朝鮮日報日本語版

朝鮮日報日本語版韓国の財閥で第5位のロッテグループが完全に四面楚歌だ。

米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」が韓国国内のロッテ所有の敷地に配備されることへの報復として、中国は自国に展開するロッテの店舗の半分以上に営業停止の処分を下した。

その被害額は毎日にように膨れ上がっているが、それに加えてロッテは韓国国内においても検察による捜査の標的となった。

ミル財団とKスポーツ財団に複数の大手企業が資金を拠出し、それによって何らかの見返りを受けたとする疑惑を解明するとの理由で、16日にはSKグループの3人の役員が検察に出頭し、次はロッテとCJグループが捜査を受ける見通しとなっているのだ。


 ロッテは朴槿恵(パク・クンヘ)前政権においても数々の不当な仕打ちを受けてきた。

第2ロッテワールドの許認可をめぐって李明博(イ・ミョンバク)政権から特別な計らいを受けたとして、朴槿恵政権では文字通り露骨に検察による捜査の標的とされた。

影響でグループ全体が大混乱に陥り、経営も長期にわたりほぼマヒ状態となったが、その捜査結果には特に法に触れるような問題は何もなかった。

このようなひどい仕打ちを受けてきた企業が、今度は朴槿恵政権を支援したとして再び検察の捜査を受けている。

しかし普通に考えて大統領から「資金を出せ」と言われてこれを拒否できる企業など韓国国内にはあり得ないはずだ。

昨年11月に検察が崔順実(チェ・スンシル)事件に対する捜査結果を発表する際、

サムスンやロッテなど大手企業グループはどこも「ミル財団とKスポーツ財団への出資を強要された被害者」とされていたが、その後に行われた特別検事の捜査では突然「贈賄側」とされた。

また企業や経営者に対する捜査が長引いたことで、ロッテの辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)会長は昨年7月からこれまでおよそ9カ月にわたりほぼ出国禁止状態となっている。

普段は韓国と日本を毎週のように行き来しながら両国で経営を指揮してきたが、最近は日本で取締役会を開くことさえできなくなった。

さらにTHAAD配備に対する中国の報復も激しさを増しているが、辛会長は現地に足を運ぶこともできない状況だ。


 ロッテが所有するゴルフ場がTHAADの敷地として提供されたことを中国は問題視しているが、これは別にロッテが望んでそうなったわけではない。

最初の候補地で周辺住民が激しく反対したため、政府がロッテ所有のゴルフ場に目を付けただけの話だ。

そのためもしそれが原因でロッテが海外で不当な仕打ちを受けているのであれば、与野党が1つになってロッテを支援するのが当然ではないだろうか。

ところが共に民主党の報道官はロッテがTHAAD配備の敷地を提供したことを「贈賄」と非難した。

自分たちの政治的な主張に完全に捕らわれ、現実が全く見えなくなっているのだ。


 もちろん企業も何らかの違法行為をすれば捜査も処罰も受けなければならない。

しかし今ロッテが受けている仕打ちを見ていると、こんな国で誰が企業活動をしたいと考えるか心から疑問に思えてくる。

韓国、朴政権倒した「ろうそく集会」でノーベル平和賞目指す…対日本『0-22』の自然・科学分野は棚上げか?

2017-03-23 20:30:31 | 日記
【経済裏読み】韓国、朴政権倒した「ろうそく集会」でノーベル平和賞目指す…対日本『0-22』の自然・科学分野は棚上げか?

産経


そこまでして韓国はノーベル賞がほしいのかと言いたくなる。

朴槿恵(パク・クネ)氏に対する大統領罷免を求めて昨年10月からソウルで行われてきた「ろうそく集会」について、ソウル市がノーベル平和賞の推薦と国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(記憶遺産)の登録を推進するというのだ。

確かにこの国は自然・科学分野でノーベル賞をまだ取っていないことに焦っている。

対日本で『0-22』というスコアも背景にあるにちがいない。

だが平和賞は、賛否はともかく2000年に金大中(キム・デジュン)元大統領が受賞している。やはりノーベル賞だったら何でもいいか。

 平和裡に政権を打倒したから?

 韓国憲法裁判所が3月10日、国会が弾劾訴追した朴槿恵大統領を罷免する決定を言い渡し、朴氏は失職した。

聯合ニュース(日本語電子版)など韓国メディアは、これを受けてソウルなどでは、ろうそくを手に朴氏の退陣を求める集会などに参加してきた市民団体などは「ろうそく市民が勝利した」と歓喜の声を上げたと報じた。

 そして韓国は、この「ろうそく」でノーベル賞を目指すというのだ。

韓国紙、中央日報(日本語電子版)によれば、ソウル市が、昨年10月から4カ月以上に渡って行われてきたろうそく集会に関し、ノーベル平和賞の推薦と国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(記憶遺産)の登録を推進するという。

 同市は3月19日、市レベルの「ノーベル平和賞推薦タスクフォース(TF)」を稼働し、来月「市民推薦推進団」を構成して来年1月にノーベル委員会に推薦書を提出する計画だとしている。

中央日報の記事をそのまま引用すると、「ソウル市はろうそく集会が平和な集会方法の例を示した点を上げ、ノーベル平和賞の理由になるとみている。

▼民主主義および平和、憲政秩序の維持などの国民的世論を表した点

▼平和な集会方法の先例を提示して民主主義の模範事例として機能した点

▼世界的に類を見ないほど多くの人が参加した点-などを重点的に表明する予定だ」という。

 立派は立派だ。ただ果たして、朴前大統領の友人で女性実業家の崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入事件に端を発したスキャンダルをめぐって、「ろうそく集会」で平和裡に政権を打倒したからといってノーベル賞が贈られるかは甚だ疑問だ。

 対日本『0-22』の焦り

 韓国はここ数年、自然科学分野でのノーベル賞受賞をめざし積極的に投資してきたはずだ。

焦りもあるだろう。だからといって、平和賞でも「御の字」というのは筋違いの感がある。

 毎年10月になると韓国メディアは、自然科学分野のノーベル賞受賞者ゼロをめぐる原因分析、政府などに対する責任追及に余念がない。

さらに昨年は英科学誌ネイチャーが、韓国でこの分野の受賞者が出ない背景を特集記事で分析、研究開発について国内総生産(GDP)比で世界最大級の投資を行う政府に「(ノーベル賞を目指すならば)カネより大事なものがある」と批判したほどである。

日本の存在も韓国の焦りを助長している。

昨年も韓国人の受賞者はなく、大隅良典・東京工業大学栄誉教授が医学・生理学賞に選ばれたため、対日本では『0-22』と差が広がった。

 こうした状況を変えるのは容易ではない。

韓国の社会風土にも問題がありそうだ。

ネイチャー誌は、議論を避け、上下関係を重んじる韓国の風土がクリエーティブな研究を阻む要因だと批判し、こうした風土が優れた科学者の海外流出につながっていると分析していた。

 かわいそうな面もある。

韓国紙、朝鮮日報は昨年10月、「韓国唯一のノーベル賞が平和賞なのは偶然ではない」と題した論説主幹の楊相勲(ヤン・サンフン)氏のコラムを掲載。

それによれば、韓国では韓国人が受賞しなかった場合、「日本にはできるのに韓国はなぜできない」といった論議が盛んになると指摘。

つまり韓国の世論は、日本がやることは韓国も当然やることができ、成さなければならないと言わんばかりだというのだ。

 だからといって自然・科学分野を棚上げし、まずは“政治力”で平和賞を取るという考えには違和感を覚える。

韓国大学生「いざというときに頼れるのは米中でなく日本」

2017-03-23 20:21:03 | 日記
韓国大学生「いざというときに頼れるのは米中でなく日本」

※SAPIO2017年4月号

2017.03.23 07:00

政治不信と共に深刻なのが、どん底の韓国経済。外交で四面楚歌となった今、国民は不安を隠しきれない。ソウルで韓国国民の本音を探った。

「韓国はこの20年間で2度の国家破綻の危機を経験しているが、この期に及んで日韓通貨スワップ交渉と慰安婦問題合意の破棄を同次元で語っているところに危うさを感じる。いざというときに頼れるのが、米中ではなく日本だということを肝に銘じるべきだ」(30代男性・大学生)

「基幹産業の鉄鋼、造船、海運だけでなく、サムスンや現代自動車が傾いたらこの国は確実に終わる。

2~3年前、『2020年には韓国の1人当たりGDPが日本と肩を並べる』などと有頂天になっていたことが恥ずかしい」(40代男性・公務員)

「韓国にはイノベーションという概念がなく、日本とは違って新しいモノを生み出す力がない。製造業でも、安価な労働力を提供する中国や新興国には勝てなくなっている」(60代男性・無職)

 さらに、日韓双方の社会と国民性について、両国の違いを知る日本留学経験者、元日本駐在員に話を聞いた。

「日本は市民意識が成熟している印象がある。

東北や熊本の大地震で被災した人たちが冷静さを失わず、避難所で助け合っている姿は韓国でも話題になった。

昨年11月の福島県沖地震の際、南米にいた安倍首相が現地から迅速な指示を出していたことにも驚かされた。

セウォル号事故発生後、7時間も行方不明だった朴槿恵とは違う」(20代女性・大学生)

「日本は街並みもきれいでとにかく清潔。

都市部だけでなく、田舎町でも道路や歩道がきちんと整備されている。

韓国に戻ってから、わが国のインフラや街造りがいかに雑か思い知らされた」(30代男性・会社員)

「日本は交通機関や商業ビルでもバリアフリー化が進んでいて、高齢者や障害者が暮らしやすい国だと思った。

韓国は社会的弱者への配慮が欠けている。また、日本人は他者への配慮、責任感において、全体的に高い道徳心を備えている人が多いと感じた」(50代女性・日本語教師)

進む韓国の高齢化…来年から高齢者が幼少年人口を上回る

2017-03-23 11:48:25 | 日記

hankyoreh

KOREAN
ハンギョレ紹介

進む韓国の高齢化…来年から高齢者が幼少年人口を上回る

2016.03.24 14:25

高齢者14%、 幼少年13.4%で逆転の見通し 

平均年齢40.7歳... 2040年には50歳に迫る 

出生率1.24人... OECD加盟国の中で最下位



幼少年と高齢者の人口構成の割合の推移(資料:統計庁、単位:%)//ハンギョレ新聞社

 高齢化と少子化の影響で、来年は65歳以上の高齢者人口が幼少年(0〜14歳)より初めて多くなる。

韓国人の平均年齢は、昨年初めて40代を越え、今年は40.7歳になった。

 統計庁は23日、こうした内容を盛り込んだ「2015韓国の社会指標」を発表した。

これによると、全人口の幼少年(0〜14歳)の割合は減り続けている。

1980年に34%だった幼少年の割合は、30年後の2010年には16.1%で半分以下になり、今年は13.6%に低下した。

一方、65歳以上の高齢者は、1980年の3.8%から今年は13.5%に上昇した。

これにより、来年には高齢者人口の割合(14%)が幼少年(13.4%)を上回ることになる。


 進む高齢化は平均年齢の増加にも顕著に現れている。

1980年の韓国国民の平均年齢は25.9歳だったが、昨年は40.3歳で、初めて40代になった。

2040年には50代(49.7歳)を目前にする。

このままだと、生産年齢人口(15〜64歳)100人が扶養すべき高齢者が、今年の18.5人から2020年には22.1人に、2040年には57.2人となり、急激に増えることになる。

 少子化現象も緩和される兆しが見当たらない。

2000年に1.47人だった出生率は、2010年には1.23人、2015年には1.24人で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最下位だ。

高齢化と少子化は、韓国経済の成長動力を弱め、潜在成長率を落とす要因になる。

現代経済研究院が最近発表した報告書「国内潜在成長率の推移と展望」では、「低出産と高齢化で労働と資本の投入が鈍化しているが、これを相殺するだけの生産性の向上が行われていない」と指摘した。

今の傾向が続けば、韓国経済の潜在成長率は、2011~2015年3.2%から2016~2020年には2.7%に低下するものと予想される。

 高齢者人口が増えているにもかかわらず、彼らの老後資金は不足しており、消費生活に対する満足度が最も低かった。

昨年、統計庁の調査では、60代以上の消費不満度は42.3%で、全年齢層の平均(38.1%)よりも高いことが分かった。

日本より重い「日本病」に罹る韓国  『老いてゆくアジア』の大泉啓一郎氏に聞く

2017-03-23 11:11:31 | 日記
日本より重い「日本病」に罹る韓国

一部省略

『老いてゆくアジア』の大泉啓一郎氏に聞く(上)
2012年11月29日(木)  鈴置 高史

韓国でも「日本病」が問題となり始めた。

少子高齢化による低成長や要介護者の急増など、症状が一気に顕在化したからだ。

『老いてゆくアジア』の著者、大泉啓一郎・日本総合研究所上席主任研究員と鈴置高史編集委員が、急速に進むアジアの高齢化を話し合った(司会は田中太郎)。

ようやく気がついた韓国

大泉啓一郎(おおいずみ・けいいちろう)
日本総合研究所上席主任研究員。1963年大阪府生まれ、88年、京都大学大学院農学研究科修士課程修了。三井銀総合研究所などを経て現職。研究分野は「アジアの人口変化と経済発展」と「アジアの都市化を巡る経済社会問題」。2007年に出版した『老いてゆくアジア』(中公新書、第29回発展途上国研究奨励賞受賞)で少子高齢化がアジアの成長に歯止めをかける可能性を指摘し、大きな反響を呼んだ。他に『消費するアジア』(中公新書)などの著書がある。
>

 韓国人は日本を、活力を失いどんどん沈滞していく哀れな国と見ています。

半面、自画像は「日の出の勢いの国」。


1人当たりGDP(国内総生産)で――購買力平価ベースですが――数年内に韓国が日本を追い抜く、との予測もあります。

まだ、南アジアは「他人ごと」


 「日本に勝った」と祝杯をあげていたところに韓国の高齢化が進んで(グラフ1参照)、その症状がどっと現れた。

 今、韓国人の間に「あの、どうしようもない日本になってしまうかもしれない」という恐怖感が首をもたげた。

そんな気分が「日本病」という表現を生んだのでしょう。

注:65歳以上の高齢者が7%以上を「高齢化社会」、14%以上を「高齢社会」といい、高齢化の進み具合を示す目安になっている
出所:国連「World Population Prospects:The 2010 Revision」から大泉啓一郎氏作成

普通の人はともかく、アジア各国の人口問題専門家が高齢化を研究したりしないのですか。

大泉:さすがに専門家の間では関心が高まっています。

最近になってですが、人口問題の国際シンポジウムを開くから「人口動態が社会や経済に及ぼす影響」について講演してくれ、などと頼まれます。

 面白いのは、同じアジア人といっても反応に差があることです。

講演すると、中国、韓国、台湾の専門家は真剣な顔で、高齢化の先進国たる日本の苦境を聞いてくれる。

一方、南アジアや東南アジアの人の表情はまだ「世界にはそういう問題もあるのだな」といった感じです。


確かに65歳以上の高齢者が14%いる「高齢社会」を迎えるのはインドでは30年以上も先のことと予測されています。

まだ、人ごとなのでしょうね。

「老い」に気づくのが遅れるのはなぜか

鈴置:でも、タイは大泉さんが2007年に出された『老いてゆくアジア』で警告を発したように、今から10年後には高齢社会に入ります。

すでに2001年には、65歳以上の高齢者が7%いる「高齢化社会」に突入しています。日本もそうでしたが、タイにしろ、あるいは韓国にしろ、なぜ、自分の「老い」に気がつくのが遅れるのでしょうか。

大泉:いい質問です。それに答える前に、簡単に「人口ボーナス」と「人口オーナス」について説明します。まず、15歳から64歳までの人の数を「生産年齢人口」と定義します。

 ちょっと前まで、経済成長と人口との関係を考える時、人口全体の規模や増減のデータを使っていました。

1990年代後半から、人口の内訳と言いますか構成を見ればより精密に分析できるだろう、という考え方が広まりました。

 そして経済活動できる人が何人いるかというデータに着目したのです。これが生産年齢人口です。

一方、それ以外の人々――14歳以下と65歳以上の人々の合計数は「従属人口」と呼びます。

「老い始め」が最も活力あふれる時

 全体の人口に占める生産年齢人口の比率が上昇すれば経済成長にプラスの影響があるはずです。

そこで、この効果を「人口ボーナス」と呼びます。

反対に従属人口の比率が高まればマイナスの影響があるわけで「人口オーナス」と呼びます。


確かに、生産に参加できる人の数が増えれば「プラスになることが多い」と言えるでしょうね。

でも、生産年齢人口比率が上がっても、実際に職が増えなければ成長には寄与しないと思います。

大泉:ええ、人口構成の変化が経済成長のすべてを決めるわけではありません。

ご指摘のようなケースもありえます。でも、「生産年齢人口」など絞り込んだデータを通じて経済社会を分析すると、とても重要な問題点が浮かび上がってくるのです。

 ご質問の「なぜ、人々は社会の老いに気づくのが遅れるか」に戻ります。

ある社会で人口構成が経済成長にマイナスに働く「人口オーナス」の時期の始まり――「始点」は、生産年齢人口比率が一番高い時点――つまり社会に最も活気がある時です。

その時点で、高齢化や経済の減速を想像するのは困難です。

 それに生産年齢人口比率が高ければ、国内貯蓄も高まります。

この高貯蓄――つまりは豊かな資本がしばらくは成長を支えることになります。時には経済がバルブ化します。

バブル期に「今」を想像できたか

 日本を例にとれば、1980年後半から1990年前半のバブル期に当たります。当時、誰がその後の停滞を予想できたでしょうか。

 なお、グラフ2では、従属人口比率が上昇に転じる時点を人口オーナスの「始点」としています。

生産年齢人口比率でいえば、それがピークになった時点です。日本が1993年、韓国は2014年、中国が2015年です(注)。

グラフ2:日中韓の従属人口比率の推移(中位推計)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121126/240071/zu02.jpg
注:従属人口比率は0~14歳と65歳以上の人口の比率
出所:国連「World Population Prospects:The 2010 Revision」から大泉啓一郎氏作成

なるほど、日本はバブルが崩壊した直後の1993年が「オーナス」の始まりだったのですね。

韓国の「オーナス」開始は2014年で中国が2015年。中韓も、もう目前ですね。


大泉:「老いに気づくのが遅れる理由」はもう一つあります。

政策決定に携わる政治家や官僚は若者が集まる都市に住んでいることが多い。

すると、どうしても高齢化を実感しにくくなり、対策が遅れます。

 私がインタビューしたタイの官僚も、最近まで自国の高齢化を正確に把握していなかった。

バンコクに住んでいれば高齢化を感じることは難しい。

高齢化速度が世界一の韓国

 日本だってそうでしょう、渋谷の交差点に立っている限りは「失われた20年」や「高齢化ニッポン」を想像できない。

しかし田舎では、高齢化は1980年代から深刻な問題になっていた。

街の風景が30年以上も変わっていない地方だってあります。ここに高齢化への対処の難しさがあります。

鈴置:韓国の少子高齢化は「日本を追う」と見ていいのでしょうか。

(注)韓国では「生産年齢人口比率がピークを迎えるのは2012年」と言われることが多い。

今後の人口の推移をどう見るかで若干の差があると思われる。

大泉:そんなに単純ではありません。高齢化の速度がもっと速いうえ、年金など対策が十分になされていない。韓国は日本より重い「日本病」に罹る可能性が高いのです。

 高齢化が高速なのは、韓国では出生率がそもそも低水準にあるところに、それが急速に低下しているからです。

グラフ1は全人口に占める65歳以上の人口の比率――高齢化率――を示したものです。
グラフ1:日中韓の高齢化率の比較

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121126/240071/zu03.jpg

注:65歳以上の高齢者が7%以上を「高齢化社会」、14%以上を「高齢社会」といい、高齢化の進み具合を示す目安になっている

出所:国連「World Population Prospects:The 2010 Revision」から大泉啓一郎氏作成
 
韓国の高齢化率は、2010年11.1%。これが2020年には15.7%、2030年には23.3%と急速に上がって、日本との差は縮小する見込みです。

つまり韓国の高齢化のスピードは日本より速い。

 「高齢化社会」から「高齢社会」になる――高齢化率が7%から14%になる――のに、日本は24年かかりました。韓国はそれが18年。

おそらく世界一のスピードでしょう。


韓国が日本の反面教師に

 今後、世界が経験したことがない速度で高齢化が進む韓国では何が起こるか予測もつきません。これまでの他国の経験も役に立ちません。

 韓国はどのように高齢化に立ち向かい、高齢社会を構築するのか――。

現在は「反面」も含め、日本が韓国の教師ですが、近いうちに韓国が日本の先生になるでしょう。

 日韓がともに直面する高齢化問題を共有し、協力して打開策を見出すことが必要です。韓国で注目しているのは日本以上に都市化率が高いことです(グラフ3)。
グラフ3:都市化率の比較

出所:国連「World Population Prospects:The 2010 Revision」から大泉啓一郎氏作成

鈴置:このデータはソウルへの一極集中を反映しているわけで、韓国社会の欠点として指摘されることが多いのですが……。

大泉:高齢化の時代にはそれが負担の軽減につながる可能性があります。医療サービスひとつとっても、高齢者が広い範囲に点在するよりも一カ所に集中して住んでいた方が、はるかに低いコストで済むからです。 これをうまく活用し、韓国独自の高齢社会を作る手があるのかもしれません。

「政府に頼らぬ」が裏目に

韓国の年金制度はどうなっていますか。

鈴置:まず、公的年金ですが、給付額は日本円換算で数万円といわれています。

保険料も少ないし税金もあてられない半面、給付水準も低い「低負担・低給付」方式だからです。


 88年に制度が始まり、国民皆保険となったのが99年であるなど「制度が若い」という理由もあります。

 一般に、企業の退職金を足しても生活できる水準にはないとされています

そこで収入があるうちにマンションを複数購入し、それを貸して老後の生活費に充てる人が相当にいます。

 でも、今やこの、政府に頼らぬ自己防衛方式が裏目に出ています。

少子高齢化に連れ、不動産価格は下がるものです。韓国にはすでにその症状が現れています。

 自己資金だけでマンションを買った人はまだいいけれど、そんな人は少ない。

利殖が主目的ですから借金して買い、それを担保にしてまた買う人が多い。こういう人は借金が返せなくて困ります。

 韓国には「チョンセ」という、賃貸料を毎月受け取るのではなく、マンション価格の数割を保証料として預かるシステムが普通です。

金利が高かった韓国では家主はこのおカネを運用して収入を得ました。

ですから「チョンセ」と銀行の不動産担保融資を利用して不動産をどんどん買い増すことも可能だったのです。

日本の不気味な先例を研究はするが……

右肩上がりの時期ならともかく、今や危ないですね。

鈴置:極めて危険です。まず、社会問題化します。収入のない高齢者が借金を返せなくなる。


持ち家をすべて売り払って住む場所もなくなる人が出てくる――と韓国紙は警告しています。

 もうひとつは経済問題。

この個人の不良債権問題はとても根深いので、金融システム全体を揺さぶる可能性が出ています。

借金を返すために高齢者が不動産を売りに出すため、さらに地価が下がるという悪循環も始まっていますし。

大泉:急増する高齢者に向け、、日本のような手厚い年金や医療制度を構築すれば近い将来、韓国の財政が破たんすることは確実です。

これは韓国政府もよく分かっています。

鈴置:韓国の財政当局は日本の不気味な先例を非常によく研究しています。

今年春の総選挙では各党が競って「ばらまき」を約束しました(「『韓国も低成長期に』韓銀総裁が直言、2012年が転換点?」参照)。

 それに危機感を深めた財政当局は、各党の公約に警告を発したため、選挙違反として告発されました。も

ちろん、覚悟の上だったと思います。

一方、政治家は選挙で票を貰わなくてはいけません。12月投票の大統領選挙に向け、各候補はしっかりと「ばらまき」を約束しています。

大泉:韓国でも、決して十分ではない年金や医療サービスしか提供できないことを、国民にどう納得させるかという政治的な課題が今後、必ず浮上します。

中国人の大量受け入れで韓国はしのぐ?

鈴置:韓国では最近になってようやく「日本病に罹った」と騒ぎ始めました。

でもまだ、成長率を上げれば乗り切れるとの発想が圧倒的に多数派です。

日本風に言えば「上げ潮派」ばかりなのです。

「国民への説得」に至るには相当な時間がかかると思います。

 私は結局、韓国は中国などからヒトを大量に導入することで「人口オーナス」の乗り切りを図ると睨んでいます。

高齢化に伴う労働力の不足に関して韓国人に対策を聞くと「北朝鮮の人間や中国人を活用すればいい」という答えが返って来ることが多いのです。

 韓国紙の不動産専門記者が日本に関し、こんな記事を書いたことがあります。

「日本は衰退の一途をたどるだろう。地価が下がって困っているくせに、仙台や新潟、名古屋などで中国の政府や資本が大規模の土地を買おうとすると反対運動が起きる。

韓国の済州道などが、中国人に不動産を積極的に分譲しているのと全く反対だ。

日本のように閉鎖的な国には未来がない」。

 韓国は、外国人に対し土地を積極的に買わせているうえ、定住外国人には地方参政権も与えています。産業振興や国際化が目的ですが、いずれ「人口オーナス」解消のための外国人誘致策や地価対策として活用されていくでしょう(「『7番目の強国』と胸を張る韓国のアキレス腱」参照)。

大泉:「オーナス」の負担軽減を安易に国外に求めるのは、あまり感心しません。外国からヒトを連れてくることを考えるなら、まず、自国の女性や高齢者が働きやすい環境整備を進めるべきと思います。

異なる道を歩む日韓

鈴置:たぶん、多くの日本人も大泉さんのように考えるでしょう。人口問題に関しても日本と韓国は異なる道を歩むのだろうなと思います。

 韓国人は生き残るためには中国に従う覚悟を固めた(「“体育館の裏”で軍事協定を提案した韓国」参照)。

すると移民問題に関しても「どのみち中国の属国状態に戻るのだから、中国人にどんどん来て貰い経済の衰退を防ごう、あるいは経済規模を拡大しよう」という空気になるわけです。

 一方、日本人。中国の支配下で生きたことのない人たちですから「中国に従う」ことは到底受け入れられない。

日本の国体を揺さぶりかねない大量の中国人の受け入れには、どこかで歯止めをかけるでしょう。そのために「オーナス」の負担が少々大きくなったとしても。

(明日に続く)

鈴置高史氏編集委員の書いたシミュレーション小説『朝鮮半島201Z年』には、少子化対策で受け入れた大量の中国の若者が在韓米軍基地の都市で反米市長を誕生させる。それが伏線となって米韓同盟が破棄されるというくだりがあります。

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)
 日本経済新聞社編集委員。
 1954年、愛知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。
 77年、日本経済新聞社に入社、産業部に配属。大阪経済部、東大阪分室を経てソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~03年と06~08年)。04年から05年まで経済解説部長。
 95~96年にハーバード大学日米関係プログラム研究員、06年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)ジェファーソン・プログラム・フェロー。

早読み 深読み 朝鮮半島

朝鮮半島情勢を軸に、アジアのこれからを読み解いていくコラム。著者は日本経済新聞の編集委員。朝鮮半島の将来を予測したシナリオ的小説『朝鮮半島201Z年』を刊行している。

その中で登場人物に「しかし今、韓国研究は面白いでしょう。中国が軸となってモノゴトが動くようになったので、皆、中国をカバーしたがる。だけど、日本の風上にある韓国を観察することで“中国台風”の進路や強さ、被害をいち早く予想できる」と語らせている。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121126/240071/?ST=print