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韓国 脱原発は任期5年大統領が勝手に決められる問題ではない

2017-06-22 16:55:42 | 日記
脱原発は任期5年大統領が勝手に決められる問題ではない

2017年6月20日 11時9分

朝鮮日報

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は19日、釜山広域市機張郡の古里原子力発電所1号機の永久停止宣言式に出席した際「新規の原発建設を白紙化し、設計上の寿命を迎えた原発の運転延長もしない」とした上で「脱原発の時代に進んでいく」と述べた。

文大統領は「慶州地震によって韓国も地震の安全地帯ではないことが確認された」とも述べたが、これについては当然多くの国民が同意しただろう。

文大統領の言葉通り、韓国は国土面積当たりの原発密集度が世界トップで、古里原発から半径30キロ以内にはおよそ380万人が居住している。


ただその一方で韓国はエネルギーの97%を海外から輸入しており、年間のエネルギー輸入額は1600億ドル(約18兆円)を上回る。

そのような中で原発は電力原価の中で燃料代が占める割合がわずか2%と安く、年間8億ドル(約900億円)の輸入ウランで国全体に必要な電力の30%を賄うことができる。


原子力発電は気候変動対策や大気汚染の解消にも非常に有効だ。

文大統領は「石炭火力発電所についても新規建設を中断し、老朽化した10基は任期中に閉鎖する」とも述べ、その代替として天然ガスを使った発電所を増やす考えを示した。

現在、韓国における原発と石炭火力の割合は発電量全体の70%を占める。

原子力を全て天然ガス発電で賄うには、液化天然ガス(LNG)を今よりも19兆ウォン(約1兆9000億円)分追加で輸入しなければならない。

現時点で風力や太陽光だけで大量のエネルギーを賄うことはできないからだ。

福島での原発事故を受け17基ある原発の段階的廃炉を決めたドイツでは、風力や太陽光の割合を高めた影響で、ここ10年で一般家庭における電気料金が78%も高くなった。

風力や太陽光は風が吹かず日が出なければ電気を作り出すことができない。

それでも欧州では国家間の電力網が整備されているため、いざとなれば隣国から電力を買うこともできるが、韓国は電力に関する限り完全な島国だ。 

エネルギー問題はどのような政策にも一長一短がある。

もしこのまま脱原発を進めていけば、これまで蓄積してきた原子力関連の技術が伝承されなくなるため、改めて原子力関連の産業を興すのが難しくなる。

一度方向性を決めれば、数十年にわたり国全体に多大な影響を及ぼすのがエネルギー政策だ。

そのためドイツは2011年に脱原発を決める際、17人からなる委員会を立ち上げ、持続可能で安全なエネルギー供給について議論した。

この議論はテレビでも11時間にわたり生中継され、最後は議会での採決まで行われたが、もちろんそれ以前から機会があるたびに議論は続いてきた。

スイスも脱原発を決めたが、これも国民投票という手続きを経た。

これに対して英国は原発の拡大を、日本は福島原発事故によって停止してきた原発の再稼働を少しずつ進めている。

文大統領の任期は5年だが、これは考えようによっては非常に短いため、大統領として決められることと決められないことがある。

脱原発や教育政策など国の根幹あるいは方向性に関わる問題は、5年の任期しかない大統領が自らの一方的な考えや偏見で決めるべきことではない。

任期中にたとえ力で押し通したとしても、5年後に再び見直されることも当然考えられるだろう。

もし今後原発や石炭への依存度を下げた場合、現状では何によってそれを賄うかというロードマップさえない。

いきなり脱原発を宣言はしたものの、これは政治的な発想によって実現できる問題ではない。

今政府では原発に強く反対する市民団体の活動家だった人物が何人も要職を占めている。

つまり一方的な偏見を持った人物が国の政策を決めているということだ。

脱原発あるいはエネルギー政策全体の方向性を見直すという重要な決定を下すのであれば、それによって大きな負担を強いられる国民全体の同意を得ることがまずは必要ではないか。