韓国が保持するスワップ
ただ、韓国側が「スワップの規模は500億ドルだ」と報じたのには、彼らなりの根拠があるのです。
韓国が現時点で保有する通貨スワップ(BSA)は、米ドル換算で約700億ドル少々ですが、その8割程度を占めるのが中国とのスワップです。
韓国が保有する通貨スワップ(BSA)
新宿会計士WEB抜粋
韓国経済は外貨不足で自滅する?
配信日時:2017/06/26 00:00 | カテゴリー : 日韓スワップ, 金融
相手国
失効日
韓国ウォン
相手国通貨
米ドル換算額
オーストラリア 2020/2/22 9兆ウォン 100億豪ドル 約76億ドル
マレーシア 2020/1/24 5兆ウォン 150億リンギ 約34億ドル
インドネシア 2020/3/5 10.7兆ウォン 115兆ルピア 約86億ドル
中国 2017/10/10 64兆ウォン 3600億元 約524億ドル
合計 88.7兆ウォン ― 約721億ドル
(【出所】各種報道および各国中央銀行ウェブサイト等より著者作成。米ドル換算額は概数)
昨年9月時点の韓国メディアは、「中国とのスワップが500億ドルを超える水準にあるから、日本がメンツのために中国に対抗して500億ドルのスワップを提供するに違いない」とでも考えたのでしょう。
ただ、冷静に考えればわかることですが、韓国が保持しているスワップについては、豪ドル建てスワップを除けば、いずれの通貨も「ソフト・カレンシー」、つまり「緊急時には使い物にならない通貨」ばかりです。
韓国が通貨スワップを発動する時といえば、韓国ウォンが国際的な投機筋から売り浴びせられ(あるいは資本流出が続き)、通貨防衛をしなければならないのに、韓国の外貨準備が足りなくなってしまったような場合です。
そして、通貨防衛は国際的に流通している通貨で自国通貨を買い支えるというオペレーションです。
人民元を調達したところで、通貨防衛をするためには全く役に立たないのです。
つまり、「中国が米ドル換算で500億ドル少々のスワップラインを提供している」からといっても、しょせんは「張子の虎」に過ぎず、「本物の米ドルの500億ドル」とは価値が全く異なるのです。
韓国の怪しい外貨準備
もう一つ、韓国がどうしても通貨スワップ(BSA)を欲しがる理由は、外貨準備の怪しさにあります。
韓国が国際通貨基金(IMF)に対して報告している外貨準備高は、毎月3700~3900億ドル程度(日本円に換算して40兆円前後)ですが、
その割に、米国財務省が公表する「TICレポート」を読むと、韓国政府が保有している米国債は、最大でも1000億ドル程度に過ぎません。
ということは、韓国は外貨準備高の多くを米国債以外の資産で運用しているはずですが、同国はその内訳を開示していません。
この点、韓国銀行が公表する「資金循環統計」によれば、昨年12月末時点において、韓国銀行の資産として、「その他の外国債権債務(Other Foreign Claims and Debts)」という項目に386兆8265億ウォン(約40兆円)が計上されています。
この金額が、ほぼ韓国が公表している「外貨準備高」とほぼ一致しています。
通常、外貨準備を構成する資産は「対外証券投資」や「外貨預金」勘定に計上されますが、
韓国の場合、外貨準備が「その他」項目に紛れてしまっていて、内訳が全くわからないのです。
おそらく、韓国は日本円にして40兆円前後だと主張する外貨準備の多くが不良資産に化けてしまっていて、いざという時に使い物にならないのでしょう。
そして、韓国にとっていま最も欲しいのは、「資金流出が始まった時に通貨を買い支えるための外貨(とくに米ドル)」であり、その金額が500億ドル程度だ、ということでしょう。
韓国が「閉鎖市場」である理由
ただ、韓国の通貨・ウォンは、「売り浴びせ」には強い通貨です。その理由は、韓国の金融市場が「閉鎖市場」だからです。
日本円や米ドルなどの国際的な通貨は、「オフショア市場」で盛んに売買されています。
これは、その国の通貨が国外で売買されているということであり、これが「資本移動が自由である」という意味です。
しかし、ウォンは「オフショア市場」(この場合は韓国国外の金融市場)で売買されていません。
ここで、韓国の金融当局の姿勢が垣間見える、貴重な記事がありました。
韓経:【社説】韓国金融市場の魅力が落ちているという信号(2017年06月22日13時05分付 中央日報日本語版より)
ただ、韓国側が「スワップの規模は500億ドルだ」と報じたのには、彼らなりの根拠があるのです。
韓国が現時点で保有する通貨スワップ(BSA)は、米ドル換算で約700億ドル少々ですが、その8割程度を占めるのが中国とのスワップです。
韓国が保有する通貨スワップ(BSA)
新宿会計士WEB抜粋
韓国経済は外貨不足で自滅する?
配信日時:2017/06/26 00:00 | カテゴリー : 日韓スワップ, 金融
相手国
失効日
韓国ウォン
相手国通貨
米ドル換算額
オーストラリア 2020/2/22 9兆ウォン 100億豪ドル 約76億ドル
マレーシア 2020/1/24 5兆ウォン 150億リンギ 約34億ドル
インドネシア 2020/3/5 10.7兆ウォン 115兆ルピア 約86億ドル
中国 2017/10/10 64兆ウォン 3600億元 約524億ドル
合計 88.7兆ウォン ― 約721億ドル
(【出所】各種報道および各国中央銀行ウェブサイト等より著者作成。米ドル換算額は概数)
昨年9月時点の韓国メディアは、「中国とのスワップが500億ドルを超える水準にあるから、日本がメンツのために中国に対抗して500億ドルのスワップを提供するに違いない」とでも考えたのでしょう。
ただ、冷静に考えればわかることですが、韓国が保持しているスワップについては、豪ドル建てスワップを除けば、いずれの通貨も「ソフト・カレンシー」、つまり「緊急時には使い物にならない通貨」ばかりです。
韓国が通貨スワップを発動する時といえば、韓国ウォンが国際的な投機筋から売り浴びせられ(あるいは資本流出が続き)、通貨防衛をしなければならないのに、韓国の外貨準備が足りなくなってしまったような場合です。
そして、通貨防衛は国際的に流通している通貨で自国通貨を買い支えるというオペレーションです。
人民元を調達したところで、通貨防衛をするためには全く役に立たないのです。
つまり、「中国が米ドル換算で500億ドル少々のスワップラインを提供している」からといっても、しょせんは「張子の虎」に過ぎず、「本物の米ドルの500億ドル」とは価値が全く異なるのです。
韓国の怪しい外貨準備
もう一つ、韓国がどうしても通貨スワップ(BSA)を欲しがる理由は、外貨準備の怪しさにあります。
韓国が国際通貨基金(IMF)に対して報告している外貨準備高は、毎月3700~3900億ドル程度(日本円に換算して40兆円前後)ですが、
その割に、米国財務省が公表する「TICレポート」を読むと、韓国政府が保有している米国債は、最大でも1000億ドル程度に過ぎません。
ということは、韓国は外貨準備高の多くを米国債以外の資産で運用しているはずですが、同国はその内訳を開示していません。
この点、韓国銀行が公表する「資金循環統計」によれば、昨年12月末時点において、韓国銀行の資産として、「その他の外国債権債務(Other Foreign Claims and Debts)」という項目に386兆8265億ウォン(約40兆円)が計上されています。
この金額が、ほぼ韓国が公表している「外貨準備高」とほぼ一致しています。
通常、外貨準備を構成する資産は「対外証券投資」や「外貨預金」勘定に計上されますが、
韓国の場合、外貨準備が「その他」項目に紛れてしまっていて、内訳が全くわからないのです。
おそらく、韓国は日本円にして40兆円前後だと主張する外貨準備の多くが不良資産に化けてしまっていて、いざという時に使い物にならないのでしょう。
そして、韓国にとっていま最も欲しいのは、「資金流出が始まった時に通貨を買い支えるための外貨(とくに米ドル)」であり、その金額が500億ドル程度だ、ということでしょう。
韓国が「閉鎖市場」である理由
ただ、韓国の通貨・ウォンは、「売り浴びせ」には強い通貨です。その理由は、韓国の金融市場が「閉鎖市場」だからです。
日本円や米ドルなどの国際的な通貨は、「オフショア市場」で盛んに売買されています。
これは、その国の通貨が国外で売買されているということであり、これが「資本移動が自由である」という意味です。
しかし、ウォンは「オフショア市場」(この場合は韓国国外の金融市場)で売買されていません。
ここで、韓国の金融当局の姿勢が垣間見える、貴重な記事がありました。
韓経:【社説】韓国金融市場の魅力が落ちているという信号(2017年06月22日13時05分付 中央日報日本語版より)