(朝鮮日報日本語版) 半導体以外は不振の韓国製造業
しかし、店主の表情は暗かった。レジを整理していた店主(68)は「売り上げが昨年の4割程度だ。
工場に仕事がなく、働く人が減ったため、会食もなくなり、店の経営がますます厳しくなっている」と話した。
工場周辺の不動産仲介事務所では、下請け業者の工場の敷地がいくつも売りに出ていた。
不動産店の責任者は「下請け会社の多くがなんとか耐えているというムードだ。売れない倉庫用地が数多くある」と語った。
債務超過に陥った韓国GMの撤退説が流れ続ける中、周辺の店舗は影響を受けている。
米GM本社は2013年から収益が上がらない海外工場を段階的に撤収している。韓国GMは2014年から昨年までで累積赤字が2兆ウォンを超える。
韓国経済はこれまで半導体と自動車という「ツートップ」がけん引してきた。
しかし、自動車産業では韓国GMの撤退説だけでなく、通常賃金の定義をめぐる判決、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を受けた中国での販売低迷などで危機に直面しており、半導体だけが孤軍奮闘している状況だ。
半導体の好景気で経済指標が改善したように見えるが、スマートフォン、家電、造船、繊維、金属など主力製造業種の大多数は減収減益が続くか、成長が停滞している。
経済専門家は「半導体による錯覚効果で経済指標が改善しているように見えるが、半導体を除けば、韓国経済は非常にぜい弱な状態だ」と判断している。
■半導体除けば低迷
本紙が調べたところ、今年上半期の韓国上場企業約650社の営業利益は78兆ウォン(約7兆5500億円)で、前年同期(66兆ウォン)を18%上回った。
しかし、サムスン電子とSKハイニックスの営業利益を差し引くと、残る企業の営業利益は48兆ウォンで、前年を2兆ウォン下回った。
現代自動車の営業利益は前年同期比16.5%減の2兆5900億ウォンに落ち込んだ。
韓国経済研究院のキム・ユンギョン企業研究室長は「上場企業全体の営業利益に占めるサムスン電子とSKハイニックスの割合は昨年の24%から38%へと急上昇した。半導体の超好況が全体の数字を押し上げた」と指摘した。
貿易黒字でも同様の現象が見られる。
今年上半期の貿易黒字は458億ドルだった。しかし、半導体を除けば216億ドルで、昨年の黒字幅(375兆ウォン)の58%にすぎなかった。
他の黒字品目で輸出が急減したことを示している。実際にスマートフォン、家電の輸出はそれぞれ28%、12%減少した。
国際貿易研究院のキム・ゴヒョン企業競争力室長は「半導体の業績が前年並みと仮定すると、今年上半期の貿易黒字規模は前年を14%下回ったことになる」と分析した。
製造業の稼働率も半導体を除けば低下している。
今年4-6月期の製造業の平均稼働率は71.5%で、2009年1-3月期以来8年ぶりの低水準だった。
一時韓国の最大輸出業種だった造船は、4-6月期の稼働率が67.6%にすぎなかった。
産業研究院のチュ・テヨン研究委員は「サムスン電子の半導体部門は2010年以降、SKハイニックスは12年以降、稼働率100%が続いている。他業種の稼働率低下が実際はさらに深刻である可能性がある」と話した。
輸出額も減少している。
韓国の輸出全体から半導体を差し引いた金額は2014年の5100億ドルを頂点に減り続け、昨年は4332億ドルに落ち込んだ。
今年上半期にやや増えたが、原油を加工して再輸出する石油製品の輸出が大幅に伸びた影響だった。
■通貨危機直前にも半導体好況
半導体の好況は永遠ではない。IT関連の市場調査会社ガートナーは最近、半導体市場の好景気が2019年に終了すると予想した。
問題はその後だ。経済専門家は「半導体の好況に隠れて見えない韓国経済の問題点が同時に噴き出しかねない」と心配している。
韓国経済は1995年に初めて輸出額が1000億ドルの大台を超え、1251億ドルを達成し、「檀君による建国以来の好況」を経験した。
サムスン電子、現代電子、LG半導体の爆発的な輸出増加が主因だった。
当時、財政経済院に勤務していた人物は「半導体を除く企業の業績は悪化していたが、金融機関は超ウォン高を背景に海外から資金を借り入れ、問題企業に貸し付けていた」と振り返った。
結局1996年に半導体不況を迎え、貿易収支が悪化し、ウォンが急落したことで、債務に苦しむ企業が相次いで倒産し、韓国経済は没落の道に差し掛かった。
国立シンガポール大学のシン・ジャンソプ教授は「1990年代の教訓は特定産業、特定企業への依存度が高い場合、より慎重な経済政策を取るべきという点だ。
韓国経済の他の分野の問題を過小評価していないかどうか冷静に検討すべきだ」と主張した。