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デフレ崖っぷちの韓国、文在寅がハマる「財閥改革」の罠

2017-09-12 17:42:03 | 日記

デフレ崖っぷちの韓国、文在寅がハマる「財閥改革」の罠

『田中秀臣』

田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

  韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は対外・対内的に厳しい環境の中での船出を強いられている。
 
対外政策的には、さっそく大統領就任への「祝砲」ともいえる北朝鮮の弾道ミサイルの発射が待っていた。
 
核開発・弾道ミサイル問題で緊張する北朝鮮情勢をめぐっての、近隣諸国との調整がほぼ待ったなしで待ち構えている。
 
今回の「新型」弾道ミサイルの発射をめぐっての対応を含めて、内外で文政権の姿勢を問う声は大きくなっていくだろう。
 
日本とはさっそく安倍晋三首相との電話会談を行い、そこで日本と韓国の慰安婦問題をめぐる認識の違いが早くも明らかになっている。
 
「慰安婦問題」と書いたが、現状で「問題」化させているのは韓国側であることは言を俟(ま)たない。
 
 経済政策的には、朴槿恵(パク・クネ)前政権が倒れた要因の一つともいえる、若年層を中心にした雇用の悪化をどうするのか、という課題がある。
 
さらに雇用悪化が長期的に継続したことにより、社会の階層化・分断化が拡大している事実も忘れてはいけない。
 
 韓国の若年失業率(15歳から29歳までの失業率)は11%を超えていて、最近は悪化が続く。
 
全体の失業率は直近では4・2%であり、韓国の完全失業率が2%台後半と考えられるので、高め推移の状態であることはかわらない。
 
韓国経済のインフレ目標は消費者物価指数で前年比2%であるが、インフレ率は前年同月比では1・9%(総合)と、目標を若干下回るだけで一見すると良好に思える。
 
だが、この点がくせ者であることはあとで再び考える。
 
 文政権の経済政策は、基本的に雇用の改善を大きく力点を置くものになっている。
 
もちろん、政権発足まもないのでその実体は不明だ。
 
だが、新しい雇用を公共部門で81万人、民間部門では50万人を生み出す、さらに最低賃金も引き上げるという文政権の公約は、主に財政政策拡大と規制緩和を中心にしたものになりそうだ。
 
 公共部門で従事している非正規雇用の人たちを正規雇用に転換していくことで、雇用創出と同時に正規と非正規の経済格差の解消も狙っているという。
 
これはもちろん賃金など待遇面での政府支出が増加することになるので、文政権の公約では、前年比7%増の政府支出を計画しているという。
 
 韓国経済は完全雇用ではないので、このような財政支出は効果があるだろう。
 
ただし完全雇用が達成された後で、膨れ上がった政府部門をどのように修正していくかは大きな問題になるだろう。
 
だが、その心配はまずは現状の雇用悪化への対処がすんでからの話ではある。
 
 増税の選択肢は限られたものになるだろう。
 
政府の資金調達は国債発行を中心にしたものになる。
 
政府債務と国内総生産(GDP)比の累増を懸念する声もあるが、完全雇用に到達していない経済の前では、そのような懸念は事態をさらに悪化させるだけでしかない。
 
不況のときには、財政政策の拡大は必要である。
 
ただし文政権の財政政策、というよりも経済政策の枠組みには大きな問題がある。
 
 それは簡単にいうと、「韓国版アベノミクス」の不在、要するにリフレ政策の不在だ。
 
リフレ政策というのは、現在日本が採用しているデフレから脱却して、低インフレ状態を維持することで経済を安定化させる政策の総称である。
 
第2次安倍政権が発足したときの公約として、2013年春に日本銀行が採用したインフレ目標2%と、それに伴う超金融緩和政策が該当する。
 
 韓国でもインフレ目標が採用されている。
 
対前年比で消費者物価指数が2%というのが目標値であることは先に述べた。
 
この目標値は、15年の終わりに、従来の2・5%から3・5%の目標域から引き下げて設定されたもので、現状では18年度末までこのままである。
 
韓国の金融政策は、政策金利の操作によって行われている。
 
具体的には、政策金利である7日物レポ金利を過去最低の1・25%に引き下げていて、それを昨年6月から継続している。その意味では金融緩和政策のスタンスが続く。
 
 だが、韓国の経済状況をみると、最近こそ上向きになったという観測はあるものの、依然完全雇用には遠い。
 
さらに財政政策を支えるために、より緩和基調の金融政策が必要だろう。
 
だが、その面で文政権関係者の発言を聴くことはない。
 
どの国でも金融政策と財政政策の協調が必要であろう。
 
特に韓国のように、最近ではやや持ち直している物価水準でも、実体では高い失業と極めて低い物価水準が同居する「デフレ経済」には、金融政策の大胆な転換が必要条件である。
 
日本でも長期停滞を、現在の文政権と同様に財政政策を中心にして解消しようという動きが10数年続いた。
 
だが、その結果は深刻な危機の回避(1997年の金融危機など)には一定の成功をみせたものの、デフレ経済のままであり、むしろ非正規雇用の増加など雇用状況は一貫して停滞した。
 
雇用の回復の本格化がみられたのは、日本がリフレ政策を採用しだした13年以降から現在までである。
 
もちろんさらに一段の回復をする余地はあるが、金融政策の大きな転換がなければこのような雇用回復は実現できなかったろう。
 
文政権の財政政策主導で、なおかつ現状の微温的な金融政策では、本格的な雇用回復とその安定化は難しいだろう。
 
具体的には、韓国銀行はインフレ目標を3-4%の目標域に引き上げ、同時にマネタリーベース拡大を中心にした超金融緩和政策に転換すべきだろう。
 
そのとき政府の財政政策の拡大は、より効率的なものになる。
 
 つまり毎年いたずらに政府支出の拡大を目標化することなく、その雇用増加の恩恵をうけることができるはずだ。
 
リフレ政策のようなインフレによる高圧経済が持続すれば、
 
非正規雇用の減少が民間部門中心にやがて起こるだろうし、
 
また現在の安倍政権がそうであるように最低賃金引き上げもスムーズに転換できるだろう。
 
 だが、実際には金融政策の大きな転換の意識は、文政権にはない。
 
むしろ民間部門を刺激する政策として、財閥改革などの構造改革を主眼に考えているようだ。
 
だが、この連載でもたびたび指摘しているが、そのような構造改革はデフレ経済の解決には結びつかない。
 
 韓国の歴代政権が、超金融緩和政策に慎重な理由として、ウォン安による海外への資金流出を懸念する声がしばしばきかれる。
 
しかし超金融緩和政策は、実体経済の改善を目指すものだ。
 
さらに無制限ではなく、目標値を設定しての緩和である。
 
日本でもしばしば聞かれる「超金融緩和するとハイパーインフレになる」というトンデモ経済論とあまりかわらない。
 
 私見では、リフレ政策採用による韓国の急激な資金流出の可能性は低いと思うが、もし「保険」をさらに積み重ねたいのならば、日本など外貨資金が潤沢な国々との通貨スワップ協定も重要な選択肢だろう。
 
ただし、日本とは現状では慰安婦問題によりこの協議は中止している。
 
通貨スワップ協定は、いわば「事故」が起きたときの保険のようなものなので、事故が起きない限り必要にはならないものだ。
 
この点の理解があまりないため、「日韓通貨スワップ協定がないと韓国経済が破綻する」という論を主張する人たちがいるが、それは単なる誤解である。
2016年8月、第7回日韓財務対話を終え、笑顔で言葉を交わす麻生太郎副総理兼財務相(左)と韓国の柳一鎬経済副首相兼企画財政相=韓国・ソウル(共同)2016年8月、第7回日韓財務対話を終え、笑顔で言葉を交わす麻生太郎副総理兼財務相(左)と韓国の柳一鎬経済副首相兼企画財政相=韓国・ソウル(共同)
 
 ただし保険はあるにこしたことがない。
 
特にリフレ政策を新たに採用するときには、市場の不安を軽減させるためには、日韓通貨スワップ協定は相対的に重要性を増すだろう。
 
その意味では、慰安婦問題を再燃させる政策を文政権がとるのは愚かなだけであろう。もっともこの点は、日本側からすれば相手の出方を待っていればいいだけである。
 
 ただし、そもそも文政権がリフレ政策を採用する可能性はいまのところないに等しい。
 
その意味では、韓国経済の長期停滞、特に雇用問題が本格的に解消する可能性は低い。
 
 
 

在日朝鮮人から見た韓国の新聞 残る日帝残渣と消えるものの違い

2017-09-12 16:20:58 | 日記

 在日朝鮮人から見た韓国の新聞

韓国の新聞を新米帰化人の目から見て、韓国で報道されている内容の中から気になることやウラ読みについて書き綴っていきたいと思います。

 新米帰化人です。
在日朝鮮人の3世として生まれ親戚に本当の日本を伝えるために
帰化を遅らせてきましたが、無事、帰化する事になりました。

南朝鮮新聞は独特のウラ読みがあります。
それを正しい歴史認識とともに帰化人の視点から書いて行きたいと思います。
時々、ハングル併記もしたいと思います。

 

 残る日帝残渣と消えるものの違い

 フォトコレクション:ドラマで制服姿を披露したスターたち (2017.9.11 朝鮮日報)

最近ヒットしているドラマや間もなく放送が始まるドラマに出演するスターたちが相次ぎ制服姿で登場し、童顔ぶりを見せつけている。  

現在放送されているドラマの中では、JYJのジェジュンと2PMのテギョンが高校生のキャラクターを演じるため制服姿で登場。

童顔でスラリとした長身の2人は、ほかの高校生と比べても引けを取らないほどの若々しさをアピールしている。  

また、パク・シネはドラマ『ドクターズ-恋する気持ち-』『ピノキオ』『相続者たち』などで、missAのスジは『むやみに切なく』『ドリームハイ』などでたびたび制服姿を披露しており、みずみずしくて愛らしい高校生のイメージを見せつけてきた。

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南朝鮮人が好きな言葉の一つに「日帝残滓(にっていざんし)」というものがあります。
 
日本という国が南朝鮮に残した足跡全般の事です。
 
朝鮮語から日本語由来のものをなくそうなんて無駄な事を行い、
 
漢字(そもそも漢字は中国由来で、李朝の公用語が漢語だった)や日本語由来のハングル表記をなくしていったせいで、
 
機能性文盲が急激に増えてしまいました。

歴史的な価値のある建物も取り壊しますし、将来的には新羅の遺跡も壊すんじゃないでしょうか?多くの日本から取り入れた技術が使われているのですから、日帝残滓の最たるものでしょうに。


で、この学生の制服、これもまた日帝残滓。
 
南朝鮮では学校そのものがほとんどなく、日本の寺子屋に近いものも(私塾 = 書堂)李朝末期には相当廃れてしまっていました。
 
もちろん、制服なんかはなく、日本の学校制度が入ってきた際に、制服も導入されるようになったのですね。

そういえば、数放者が多いと書きましたが、これって、私たちが元々算数を必要としなかった歴史が長いからでもあります。
 
実際に書堂では文字通り、読みが中心で書くのはそれほど力を入れていなかったのですね。
 
その書堂ですら李朝の開国時にはほとんどなく、日本が学校制度を始めるにあたり急激に増えたに過ぎません。
 
それなので、日本の寺子屋に比べると、随分と貧しく、勉強は土間の上で行われていました。
 
これが一般的な書堂。

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寺子屋は各自の机もあり、読むだけではなく、書くことや計算も行なっていました。よく言う「読み書きそろばん」が必須だったのですね。

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話は逸れましたが、テコンドーの段位もそうですし、制服も、日帝残滓であっても目に見える利益をもたらすものは残り、一見、利益には繋がりそうにないものは無くす。
 
そういった考えで、残すものと消すものを選別しているのですね。

まぁ、こういった学生服もいつかは「高校生の制服の起源は〜〜」といいはじめるのでしょうかね。

 


韓国経済に薄日も、楽観視できない「5大リスク」の中身

2017-09-12 15:16:11 | 日記

NEWS

韓国経済に薄日も、楽観視できない「5大リスク」の中身

2017年07月06日
 

かつて「最強」と呼ばれた韓国は再び勢いを取り戻すのか。

韓国経済に詳しい向山英彦・日本総合研究所上席主任研究員に聞いた。

 薄日が差し始めた韓国経済 くすぶる「5つのリスク」とは?

 ――2010年代に入って急減速した韓国経済ですが、足もとでは景気の底打ち観測が出始めました。

韓国は今、どんな状況なのでしょうか。

2016年から2017年初にかけては、韓国にとって波乱の時期でした。

経済的には韓進(ハンジン)海運の破綻、サムスン「Galaxy Note 7」の出荷停止などが、

政治的には朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾に至った大スキャンダルが生じるなど、

悪材料が重なりました。

今年に入り明るさが広がり始めています。それは成長の加速です。

  
輸出の回復が進展するとともに、
建設投資の増勢が再び強まったためです。先行きはまだ楽観視できません。
 

――楽観視できない要因とは何ですか。

主に2つの国外リスク要因と3つの国内リスク要因があります。

今後の韓国経済を展望する上で注意が必要です。

 

――グローバル化で成長してきた韓国にとって、海外情勢はとりわけ重要です。

まず、2つの国外リスク要因とは何ですか。

1つは、米国のトランプ政権が「米国第一主義」を強めるリスクです。

米国の通商政策の全体像はまだ見えませんが、米国にとって7番目の貿易赤字相手国である韓国に対して、不均衡是正圧力をかけてくるのは間違いない。

 もう1つは、THAADミサイル(終末高高度防衛ミサイル)配備決定に対する中国の経済報復リスク。
 
これはすでに顕在化しています。
 

さらに今春以降は、ロッテマートの営業停止、韓国への団体旅行商品の販売禁止、韓国製品に対するボイコットキャンペーンも始まるなど、報復措置がエスカレート。

中国から韓国への訪問者数が前年比で3月▲40.0%、4月▲66.6%、現代自動車グループの自動車販売台数が半減するなどの影響が出ています。

ただし、韓国の対中輸出は中間財が7割を占め、この分野の影響はほとんど出ていません。

 韓国を低成長に陥れたチャイナショックの正体

 ―そもそも2000年代に「最強」と言われた韓国経済が失速し、ここ数年低成長が続いた大きな原因は、「チャイナショック」だと言われています。

そこに足もとでは、ミサイル配備への経済報復という新たな中国リスクも出てきたと。

改めて、以前のチャイナショックとは何だったのか。またその影響は今も続いているのでしょうか。

2017-07-06-1499317427-8442376-img_e5dc69dc8d6bce0b05a61a6c77966f5b5636.jpg 向山英彦(むこうやま・ひでひこ)/日本総合研究所上席主任研究員。中央大学法学研究課博士後期過程中退、ニューヨーク大学で修士号取得。 証券系経済研究所を経て、1992年さくら総合研究所に入社し、現在日本総合研究所調査部上席主任研究員。中央大学経済学部兼任講師。専門は韓国を中心にしたアジア経済の分析

 2000年代に入って、韓国企業は輸出と海外生産を拡大させるなど、グローバル化を加速させました。

国内市場が小さい(GDPは日本の約5分の1)こともあり、成長が期待できる新興国市場を積極的に開拓したのです。

現地ニーズを反映した製品投入、通貨危機後のリストラとウォン安による輸出競争力上昇などが、シェア拡大に寄与しました。

こうした企業のグローバル化を背景に、韓国では輸出と投資の拡大が生じ、比較的高い成長につながりました。

その一方、グローバル化の過程で対中輸出依存度が上昇し、ピークの2013年には26.1%に達しました。

チャイナショックとして、3つの影響が指摘できます。

第一に、中国政府が新常態を目指すことにより、中国の経済成長率が低下した影響です。

資源需要の減少と価格急落で資源国を中心に世界経済が減速した上、海運不況が生じたことにより、海運と造船業界がダメージを受けました。

第二に、中国における過剰生産の影響。安価な中国製鉄鋼製品が海外市場へ流入した結果、市況が悪化しました。

そして第三に、中国企業の台頭です。技術面での急速なキャッチアップと国産化政策などを通じて、韓国企業の製品が中国市場で苦戦するようになりました。

韓国の中間財の輸出が鈍化し、韓国製スマートフォンのシェアが低下しました。

ただ、中国向け輸出は3年連続で前年割れが続きましたが、昨年末から回復傾向にあります。

特に韓国の主力輸出製品である半導体は好調です。

――チャイナショック以降、韓国政府はどんな対策をとってきたのでしょうか。

輸出不振が続いたため、内需の拡大を目的に、補正予算の編成、住宅融資規制の一部緩和による住宅投資の推進、消費刺激策(自動車の特別消費税率引き下げなど)を実施しました。

韓国銀行も政府に歩調を合わせ、2014年~16年に6回利下げを行ない、現在の政策金利は過去最低の1.25%になっています。

この2年間を見ると、内需が成長を支えているため、景気対策は一定の効果があったと言える。

ただし、その副作用が現れ、国内リスクの1つになっています。

 住宅ブームで累積する家計債務 金利上昇なら国民負担増の懸念

 ――では、3つの国内リスク要因とはどんなものでしょうか。

家計債務の増加リスク、

企業・産業の構造調整リスク、

そして文在寅(ムン・ジェイン)新政権の政策リスクです。

――1つめの家計債務の増加リスクとは?

住宅融資規制の緩和と金利の低下で住宅投資が増加した一方、家計債務が積み上がりました。

債務額の増加も問題ですが、注意すべきは質の悪化。

中小企業・低中所得層において、ノンバンクからの借り入れが急増しています。

生活苦に陥った国民が、生活費のために借り入れを行う動きが見られます。

今後の懸念は国内の金利上昇です。

米国の利上げにより、米韓の金利差が縮小しています。

米国の利上げが今後も続けば、逆転します。

そうなると市場金利が上昇するほか、中央銀行が資金流出を抑制する目的で利上げする可能性もあります。

金利が上昇すれば債務の返済負担が増加し、消費にマイナスとなる。

このため、債務の適切な管理が課題になっており、政府も住宅投資を抑制しています。

――2つめの構造調整リスクとは何ですか。

前述した輸出の低迷や受注の減少で、韓国企業の業績が悪化しました。

象徴的なケースが、昨年経営破綻した韓進海運。

2000年代前半から半ばにかけては、

資源取引の増加で海運需要が右肩上がりだったため、同社は自社保有の船舶を増やし、借り賃が高騰する船舶の長期賃貸契約を結びました。これが裏目に出たのです。

リーマンショックとその後の中国の成長減速で海運需要が激減し、同社は事業を続けるほど赤字が膨らむ状態に陥りました。

同社に限らず、韓国では近年多くの企業が構造調整を迫られました。

構造調整に伴うレイオフや企業債務の増加に今後も注意していく必要はありますが、

コスト削減への取り組みと最近の輸出回復により、総じて企業業績は改善に向かっています。

造船業界の受注が再び世界トップに返り咲く、サムスン電子の営業利益が増加するなど、明るい話題も出ています。

また、大企業の構造調整も進みました。

市況の悪化と過大投資が重なり財務基盤が悪化したポスコグループは、

鉄鋼を中核事業として基礎素材・クリーンエネルギーを成長エンジンとして育成する一方、非中核事業の売却を進めました。

またサムスングループは、石油化学、国防、プリンタ事業を売却する一方、バイオ、電装事業に力を入れています。

海外事業では、中国事業を再編成するとともに、スマホ・携帯電話の主力生産拠点をベトナムへシフトしました。

 公共部門での大幅雇用創出も 見えない財源確保の道筋

 ――なるほど。家計債務の増加リスク、企業・産業の構造調整リスクの遠因は、チャイナショックにあると言えますね。

では、3つめの新政権の政策リスクとは何でしょう。

韓国では文在寅政権に対する期待が高まっていますが、先行きに関しては課題が多いと考えます。

今回、文氏が大統領に当選した勝因は3つありました。

1つ目は「ロウソク革命」を通じて「反保守」の流れができたこと。

2つ目は民主化運動に関わっていた氏に対する公正な社会の実現への期待。

3つ目は若年層の就職難が続くなか、公共部門を中心にした雇用創出を公約のトップに掲げたことです。

ただ、文氏の得票率は41%に過ぎず、一方で旧政権与党の得票率は3割に上りました。

国会でも野党の協力が必要です。

また、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の流れを汲む人たちに支持されている文政権は、今後、現実路線と左派路線の間で揺れ動く可能性がある。

大統領としての調整能力が問われますが、文氏のリーダーシップを疑問視する声も聞かれます。

とりわけ政策面で気がかりなのは、経済政策と外交・安全保障政策でしょう。

――文政権の経済政策面での不安は何ですか。

韓国は対GDP比で政府債務残高が約4割と、OECD諸国の中で健全な水準にあります。

これは韓国が均衡財政主義をとってきたためですが、福祉関連の支出増加、景気対策の補正予算などで、近年債務残高は増加基調にあります。

最大の懸念は、

文大統領が公約として、

公共部門を中心にした81万人の雇用創出、

格差是正のための非正規職の正規職への転換と最低賃金の引き上げ、

高齢者向けの基礎年金の増額、育児手当、若年層向け住宅供給などを掲げたことです。

こうした一方で、財源をどのように確保するかは見えて来ない。

ここが気がかりです。韓国の財政学者の多くは「公約の実現は不可能に近い」と言っています。

そもそも公共部門での雇用増を掲げた理由は、

これまでの保守政権は雇用創出の役割を民間部門に委ねたにもかかわらず、十分な成果を上げられなかったこと、

OECD諸国のなかで、韓国は雇用者に占める公共部門の割合が少なく、「ここは伸ばせる」と踏んだことです。

しかし注意したいのは、税収の対GDP比では韓国はOECDの中で非常に低い部類に入っていること。

公共部門を拡大すれば、国民負担も増やさざるを得ません。

増税ということなら、富裕層を中心にした所得税、相続税の引き上げが実施される可能性があります。

一部で、李政権時に引き下げた法人税率を元に戻す案も出ていますが、世界的に法人税率引き下げの動きが広がっているなかでは難しいでしょう。

増税が叶わなければ、国債発行に依存することになり、財政の健全性を損なう恐れが出てきます。

公約を通じて国民の期待値を高めたため、現実的な対処をどうするのかが残された課題です。

 ポピュリズム的な色彩の文政権 財閥改革と経済活性化の行方は?

 ――お話を聞いていると、文政権にはポピュリズム(大衆迎合)的な色彩が濃い印象を受けます。

大きな関心が寄せられる財閥改革はどういう動きになるでしょうか。

文大統領は民主化のためにも、財閥改革が必要だと認識しているようですが。

財閥改革の動きは、これまで玉虫色でした。

通貨危機後に金大中(キム・デジュン)政権下で経営の透明性の増大、債務比率の圧縮、経営資源の選択と集中などが進められました。

その後も改革は続けられましたが、時々の経済状況によって規制が強化されたり、緩和されたりしました。

政経癒着をなくすためにも、財閥改革は必要です。

文氏の財閥改革に対する強い意欲は、「財閥狙撃手」の異名を持つ金商祚(キム・サンジョ)漢城大教授を、公正取引委員会委員長に指名したことに示されます。

「循環出資の解消は必ずしも最優先課題ではない」

「財閥改革は綿密な計画に基いて、一貫した方法で予測可能な形で推進していく」と述べています。

6月23日に行われた4大財閥との懇談会では、

経済における財閥の役割を評価する一方、財閥改革は政府が押し付けるものではなく、

財閥と協力しながら進めていくものとの認識を示し、財閥自ら改革を推進していくことを求めています。

予想に反して、金商祚氏が柔軟な考えを示している背景には、

急激な改革を実施すれば、経済全体へのマイナスが大きいこと、財閥改革を企業経営の革新につなげようとしている考えがあるのではないかと思います。

こうして見ると、今後の改革は比較的取り組みやすいところから始められる可能性が大きい。

たとえば、少数株主の権利拡大、監査委員の分離選出、不公正取引に対する処罰強化、創業者一族の支配力抑制などです。

 対北朝鮮政策は非常に難しい 日韓関係は「日本の出方」に不安

 ――では、文政権の外交・安全保障政策面のリスクとは? 喫緊の課題は核実験やミサイル発射を繰り返している北朝鮮への対応です。

文大統領は今後難しい対応を迫られるでしょう。

実際、新政権発足後も続くミサイル発射で対北朝鮮融和路線の難しさが浮き彫りになったほか、

対北朝鮮政策をめぐる韓国と米国との認識のズレが表面化しており、

今後米国との安定した関係を維持できるのかが課題となります。

当面は米韓首脳会談が注目されます。

今後、文政権がどこに軸足を置くかで、各国との関係に影響が出て来そうです。

仮に韓国が北との対話を重視すると、米国との関係がぎくしゃくします。

中国の要求を受け入れてTHAAD配備を中止しても、対米関係が悪化します。

他方、対米関係を重視してTHAAD配備を継続すると、中国は言うまでもなく、国内でも党や支持者から反発を買う可能性がある。

つまり韓国の対北朝鮮政策は、関係諸国との利害調整の面で非常に難しいものになります。

――日本にとっては、対日政策も不安です。

文氏は対日強硬派と言われていますが、

李明博(イ・ミョンバク)政権時のように日韓関係が悪化すると、両国の経済にも悪影響が出かねません。

文大統領はもともと「日本との植民地問題については、曖昧な形ではなく法的な責任や謝罪を求める」という考えを持っており、

今後、日本に対して原則的な立場をとる可能性があります。

最近の発言はこれを裏づけるものです。

その一方、原則的立場をとることで、日韓関係が悪化し、経済や安全保障などで協力関係が崩れる事態を避けたいという意向も示している。

言わば「ツートラック」です。

問題は、現在の日本政府がツートラックを受け入れようとしていないこと。

日本政府としては、一昨年末の慰安婦に関する合意を韓国側が履行することを求めているので、日韓関係はしばらく難しい状況が続きそうです。

ただ、経済への影響はさほど心配する必要はありません。

日韓の経済関係は、大企業同士のサプライチェーンが中心で、政治問題に左右されにくいためです。

――これまで韓国の現状やリスク要因を詳しく聞いてきましたが、

近い将来、韓国はこれらの課題を克服し、本格的な成長路線へ戻れるでしょうか。

結論から言えば、難しいと思います。

中国経済の変化や世界的な保護主義の高まりなどを考えると、かつてのように輸出が成長を牽引する姿に戻ることは不可能です。

むしろ、韓国は新産業やベンチャー企業の育成、既存企業の経営革新を進めて、内外需のバランスがとれた質の高い成長を目指していくべきです。

文政権は公共部門を中心とした雇用増→所得増→消費増→投資増の好循環を想定していますが、財政面の制約に直面する可能性が高いです。

なので早期に政策を見直し、民間経済の革新により力を入れることが必要だと考えます。

(ダイヤモンド・オンライン編集部)

 


韓国、「現代自危機」中国4工場が一時操業停止「部品納入中止」

2017-09-12 12:57:02 | 日記

勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。

2017-09-12 05:00:00

韓国、「現代自危機」中国4工場が一時操業停止「部品納入中止」

部品会社に代金支払い遅延

起亜自の工場では解雇寸前

 現代自動車は、サムスンと並んで韓国を代表する二大企業である。その現代自は、中国市場での販売不振に伴い中国での部品代金支払いが遅延した。

その結果一時、中国4工場の操業が止まる騒ぎを招いた。依然、問題の根本は解決していない。現代自にとっては、はなはだ不名誉なことで、経営危機の深刻さを浮き彫りにしている。

 現代自の売上高営業利益率は、昨年からすでに5%台(注・トヨタは8%前後)まで低下している。

それだけ不況抵抗力を失ってきた。

そこへ、韓国政府のTHAAD(超高高度ミサイル網)導入に反対する中国政府の嫌がらせが、中国での韓国製品不買を招いている。

現代自は、その影響をストレートに受け、販売不振に陥ったもの。

ただ現代自は、中国市場だけの不振でないことが問題を複雑にしている。米国市場でも販売が停滞しているのだ。

こうなると、現代自の商品性自体が魅力を欠いているわけで深刻な局面に入っている。

 部品メーカーに代金支払い遅延

『ハンギョレ』(8月30日付)は、「現代自動車、中国工場4カ所が稼動再開、納品代金支給は協議中」と題して、次のように報じた。

中国政府による韓国企業イジメは尋常でない。

国営テレビで国民に不買を勧める異常行動に出ている。

これに対して、韓国政府はWTO(世界貿易機関)に訴えず、ひたすら中国政府へ「揉み手」して「哀訴」といった生温い態度である。

中国政府の違法行為には断固、抗議すべきなのだ。

韓国メディアは、「韓国には外交当局も通商当局も存在しないのか」と皮肉られる始末である。

「反日」では、「国民の感情が認めない」などと高飛車に出る文政権も、相手が中国政府となれば身がすくんでいる。可哀想な韓国政府である。中国政府から、ますます足下を見透かされ馬鹿にされているのだ。

 (1)「先週から部品調達の支障により操業が止まっていた現代自動車の中国合作工場4カ所が30日稼動を再開した。

現代自動車は『部品供給を中断した現地協力会社が再び供給を始めたことにともない、北京現代の4つの工場が次々に稼動に入った』とこの日明らかにした。

しかし、現地部品メーカーに未払いとなっている代金の支給はなされておらず、火種が残っている状況だ。

北京現代は現代自動車と中国現地企業の北京汽車が50対50の持分で作った合作会社だ。

生産は現代自動車が、財務部門は北京汽車が主導権を持っていて、独自の意思決定が難しい。

会社関係者は『納品代金の支給問題は継続協議中』とし『現地の資金事情が悪化して困難はあるが、早期に解決するため努力している』と話した」

 部品会社も代金を支払ってくれない相手に、いつまでも部品を納入するはずがない。

今回の現代自中国4工場が一斉に操業中止に追い込まれたのは、「代金支払い後れ」が理由である。

だが、未払い金が全て支払われたわけでない。いつまた、部品供給ストップの事態を招くかも知れないのだ。綱渡り経営が続いている。

 

(2)「現代・起亜自動車は今年3月から本格化したTHAAD報復の余波で、今年上半期の中国販売量が昨年同期に比べ半減した。

現代・起亜自動車の苦戦により、現地に一緒に進出した韓国の部品企業も限界状況をむかえているという。

最近これらのメーカーの工場稼動率は50%以下に低下し、売上と収益性が大幅に悪化している。

資金事情が好転しないならば、また別の納品中断事態が起こることもありうる状況だ」

 韓国企業で、現代自とともに中国へ進出した部品会社は、深刻な経営危機に見舞われている。

中国の民族系部品会社であれば、現代自以外のメーカーに納品先を切り替えられるが、韓国から進出した部品会社は、現代自と「運命共同体」になっている。ここが、つらいところである。

 『中央日報』(8月31日付)は、「北京現代車の協力会社が倒産危機」と題して、次のように報じた。

 中国では、外資系企業は全て現地企業との合弁を条件づけられている。

現代自も同様の条件で合弁形態だ。今回は、製造が現代自、経理が現地企業と分かれている。

部品代金遅延問題は、経理を担う現地企業が主導権を握っている。

今回の支払い遅延は、現地企業が資金温存を先行させて招いたものだ。

現地企業は、部品単価をさらに25%の大幅引き下げを主張しているという。

この引き下げが実現すると、部品の品質面で大きな問題が起こるという。中国での現代自経営は、いずれ行き詰まる危険性を秘めてきたようだ。

 (3)「現代自動車の中国工場に部品を納品している会社の社長J氏はこの春から代金を受けていない。

こうした中で先週、青天の霹靂のような連絡を受けた。

『納品代金の支払いが年末まで円滑にいかないようだから自主的に対策を出してほしい』という内容だった。J

氏は『もう1カ月を持ちこたえる余力もない。10年以上にわたり現代車と取引してきたが、事業を整理するべきか深刻に悩んでいる』と語った」

 現代自中国工場に部品を納入している企業によれば、この春から販売代金を受け取っていない。

その上、年末までさらに支払い遅延の見込みという。こうなると、部品会社は経営不可能な事態に陥る。

やむなく、事業整理の検討を始めたという。現代自としては、部品代金を支払いたくても、合弁相手の中国企業が財布の口をしっかりと閉めて不可能だ。

ここが、合弁形態の難しさである。中国側企業は、自らが生き残り策を模索しており、一銭の出費もしたくないとい「守銭奴」ぶりである。

日本企業であれば、こういう「不義理」をしないだろう。日本の部品系列関係は、「親子も同然」の濃密な関係にある。中国では、こういう関係は成立しないのだ。

(4)「現代車中国法人の協力会社はすべて事情が似ている。現代と直接取引する1次協力会社だけでも200社を超え、2・3次ベンダーや物流など関連分野まで合わせると協力会社は約4000社にのぼる。

中小企業が大半の協力会社が平均3.5カ月間(現代車側集計)の納品代金を受けられず、連鎖倒産の危機を迎えている。

このうちの一社、イナージー社(中国名・北京英瑞杰)が先週、プラスチック燃料タンクなどの部品の納品を拒否し、現代車工場4カ所が『オールストップ』する事態が発生するなど危機が現実になっている。

現代車は8月30日、北京現代工場4カ所が稼働を再開したと明らかにした。

しかし2万個の部品のうちボルト1個でも抜ければ生産ライン全体が停止するしかないため、工場稼働中断事態がいつ再発するか分からない状況だ」 

現代と直接取引する1次協力会社だけでも200社を超える。

2・3次ベンダーや物流など関連分野まで合わせると協力会社は約4000社にのぼるのだ。この中の1社でも、部品代金の支払い遅延を理由に部品納入を拒否すれば、今回のように現代自の組み立て工場が操業中止に追い込まれる。

 韓国の現代自本社は、自ら資金手当をして部品納入拒否という最悪事態を回避する手立てを尽くさないのだろうか。

現代自の信頼に泥を塗る事態が発生しているのだから、ここは「資金援助」すべきと思うが、その余裕もなくなってきたのか。

営業利益率5%台という収益低迷が、こういう危険を招いていると言える。

 (5)「『現代車危機』の1次的原因は販売不振だ。

このため現代車は今年の販売目標(中国)を当初の125万台から80万台に下方修正し、工場の稼働を大幅に減らしている。

3交代・24時間体制だったラインが今では1交代・8時間だけ稼働している。

さらに職員は生産ラインに配置される時間より、教育や作業場清掃で過ごす時間の方が多いという。

ある関係者は『残業手当を受けることができず実質収入が減った職員の中には、夜間の代行運転などアルバイトをする人もいる』と話した。実際、北京平谷地域の部品協力会社10社では5月、職員が賃金維持を主張してストライキを行ったという」

 中国の現代自の組み立てラインは、3交代・24時間体制であるが、すでに1交代・8時間だけの稼働に低下している。

3割操業にまで落ち込んでいる。

従業員の給与は当然、大幅に減少しており、夜間の代行運転などアルバイトをする人もいるという。中国従業員の生活は、中国政府の「現代自不買指示」で、思わぬところで中国人の生活を直撃している。この面については、後で触れる。

(6)「中央日報が入手した資料によると、現代車と北京汽車は7月19日と31日、ソウルと北京を行き来しながら2回、北京現代取締役会を開いた。

ここで中国側の合弁会社の北京汽車は今年の目標利益である55億元(約825億円)を達成するためには協力会社の材料費を25%削減すべきだと要求した。

現代車は『協力会社の負担が重く、現実的に不可能』とし、受け入れなかった。

納品単価を抑えてきた中、ここから25%引き下げれば協力会社は利益をほとんど出せないという理由だった。

業界関係者は『利益金の配当をめぐる交渉が決裂し、北京汽車が納品代金を支払ずにいる』とし『販売急減による収益減少を(協力会社の)コスト削減で補充し、当初設定した配当金を受けるべきという要求は質が悪い』と語った」 

 このパラグラフでは、現代自の合弁相手企業の北京汽車が、常識から外れた要求を出している。

「北京汽車は今年の目標利益である55億元(約825億円)を達成するために、協力会社の材料費を25%削減すべきだと要求した」ことだ。

この裏で、中国当局が圧力を掛けているのであろう。法人税を予定通り納めさせるという目標が優先されているに違いない。

 この要求が通れば、部品会社の経営は一段と悪化する。倒産も視野に入れざるを得ないのだ。

その場合、北京汽車も損害を被るはずである。

共倒れを防ぐべく、倒産回避を最優先すべきだが、あくまでも目先利益を重視している。

中国では、「持ちつ持たれつ」という相互依存の繁栄図式は成立しないのだろう。

日本企業にとっても、こうして得がたい経営事例を見ることができるのだ。「自社だけ儲かれば良い」。これが、中国式経営の赤裸々な姿だ。

 起亜自の工場では解雇寸前

以上の話は、現代自の北京工場で起こっている例だが、現代自系列の起亜自動車も中国で苦悩を重ねている。

上海の北に位置する江蘇省塩城は、起亜自動車の企業城下町である。

人口160万のこの都市は、中国政府が外国企業を恣意的に罰すれば、中国の労働者まで巻き込まれて、必ず犠牲を負うことを知らしめる例になろうとしている。

WSJは、以上のように要約して、中国労働者に累が及んでいる実態を報じた。

 『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月24日付)は、「韓国製品ボイコット、中国の労働者を直撃」と題する記事を掲載した。

 上海の北にある江蘇省塩城にある起亜自動車は。大幅な操業短縮を強いられている。

現状ではまだ、労働者の解雇は起こっていない。遠からず、そのリスクが現実になろうとしている。

中国政府は、韓国イジメの薬が効きすぎて中国労働者を苦しめる。

そういう予想外の事態が起ころうとしているのだ。

すでに、景気減速によって中国全体で失業者が増えているが、さらに失業者が増えるとなれば、中国政府が「韓国イジメ」で批判される側に回るのだ。

 (7)「塩城は、韓国製品に対する非公式な不買運動で大打撃を受けている。

中国で起亜の自動車の売り上げが急減し、起亜の工場で働く労働者は労働時間と賃金の大幅削減を受け入れざるを得なくなった。

大規模な解雇は行われていないが、多くの労働者は生活のために配達やタクシーの運転手などのアルバイトをしなければならなくなった。

『反韓感情は私たちには何の役にも立たない』と起亜で働く26歳のチェンさんは言う。

チェンさんは起亜が罰せられることで中国の雇用が脅かされていると感じている。起亜で働く人たちの話では、7月は半分の給料で3日しか仕事をしていないという」

 大規模な解雇は行われていないが、多くの労働者は操業短縮による給与減を補うべく、配達やタクシーの運転手などのアルバイトを余儀なくされている。

この事態の発生が、中国人労働者に「反韓感情」を植え付けるはずもない。中国政府の「メンツ」が、中国労働者を虐めるという事態を引き起こしているのだ。

(8)「起亜は塩城を代表する企業で、他のメーカーより賃金が高い。解雇が行われれば余波は避けられない。

『塩城に住んでいれば、親戚か友達か、友達の友達が必ず起亜で働いている』と、起亜の販売代理店のセールスマネジャー、サン・ナン氏は話す。

『自動車産業は塩城を支えており、何も起きてほしくないと誰もが思っている』。

中国では今年3月以降、自動車・ポップソング・ハイテク機器などありとあらゆる韓国製品の売り上げが急減している。

不買運動は公式な動きではない。

北朝鮮の核開発を受けて韓国が米国の戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)を配備したことへの報復として、中国国営メディアが不買運動を奨励している。

その結果、多くの中国人消費者は韓国旅行を控えたり、対立が起きるまで中国で大人気だった韓国のポピュラー音楽やテレビ番組を拒否したりしている」

 中国社会が、いとも簡単に中国政府の「韓国製品不買」呼びかけに応じている。

このことに、中国国民の限りない前近代性と付和雷同性を感じる。

だが、中国国民にまで被害が及び失業者が出る事態になると、風向きは変わるはずだ。

そこまでいくと、中国政府の「負け」が確定する。今は、その瀬戸際にある。

不条理な「韓国イジメ」が、どれだけ韓国における中国イメージを悪化させているか。中国政府は、冷静にその損得を計算すべき時期にきた。

(2017年9月12日)


中国の企業債務が世界最悪水準、国営企業が温床

2017-09-12 12:48:12 | 日記

世界のニュース トトメス5世

経済・マネー・外交・防衛ほか

ミサイル防衛の転機 >

 

中国の企業債務が世界最悪水準、国営企業が温床



企業債務世界最悪でも破綻しない中国

中国では企業債務が急増し、GDP比166%に達している(IMF)、日本は100%台だった。

日本のバブル期のピークは150%で、このくらいになると不良債権問題が噴出しました。

銀行や証券会社がバタバタ倒産し、不況のどん底まで落ちて今も完全に回復していません。
 
あっちからこっちに借金を付け替える必要はなく、最初から全部一つの財布に入っています。

日本政府の借金はGDPの200%、企業債務が100%くらいなので、財布が同じなら合計300%でも破綻はしません。

中国の公的債務は欧米経済メディアによるとGDP比250%前後なので企業債務と合計すると、GDP比400%以上というとんでもない数字になる。


このカラクリは中国が共産国家なので、国営企業や国有企業が多く、民間企業でも政府と一体になっているため正確に「政府と企業」を分離できない。

だから実際には中国の政府+企業債務の合計は300%台ではないかと考えられている。

中国の企業債務の3分の2は国有企業に偏在し、民間企業には3分の1以下しか存在しないと推測されている。



危険な風船

企業債務をより一層分からなくしているのは企業同士による「債務のたらい回し」で、帳簿上だけ債務を操作している。

ある大手企業が債務削減のために約1兆円で一部の事業を売却したが、資金の半分は売却する企業が貸し付けていたという事があった。

お金を貸した分は資産に計上されるので、大手企業は債務を減らし資産を増やしたが、内情はあまり変わっていない。


こうした債務の押し付けがシャドーバンクを通じて大規模に行われていて、一見健全に見える企業も借金で火達磨の事がある。

債務のたらい回しで決算を飾っているのは国有企業が多く、他の企業に貸し付けたお金の多くが不良債権化している。

こうして危機は刻々と深刻化しているにも関わらず、中国政府は「経済は今日も順調」と言い、日本の新聞は「中国経済は回復」と書いている。


風船はパンクするまでは膨らみ続けるので、とても良い事のように思えるが、そういう事なのだろう。

債務が限界に近づきつつある兆候も見え、2015年、2016年と経済成長率と人民元の下落率がほぼ同じだった。

つまりドル建てでは中国は2年連続ゼロ成長だったわけで、過去20年とは違ってきている。


中国政府は債務の膨張を抑えようとしているが、企業の資金調達が困難になれば経済成長率が下がってしまう。

かといって経済成長を維持するために債務の膨張を認めると、より一層風船が膨らんでパンクに近づく。

風船が大きく膨らみ危険度が増すほど、中国は成長した事になり、良く見えてしまうという矛盾がある。


最近中国の国有企業の9割が財務不正を行っていると中国審計署が報告したが、自国の不正を告発するのは極めて珍しい。

政府や共産党も危機感を抱くほど、国有企業債務が深刻化している。