2017年09月10日08:26
人民元の大幅上昇 不良債権で再び元安の流れか
公式発表の不良債権とは別に、隠し不良債権も存在する
引用:http://www.sankeibiz.jp/images/news/161006/mcb1610060500004-p1.jpg
急激な人民元上昇の理由
1年前の今頃、中国は通貨人民元の下落に苦しんでいて、必死に暴落を食い止めようとしていました。
だが現在は人民元が急騰し、逆に通貨の高騰を防ごうと悪戦苦闘しています。
人民元はドルに対して16ヶ月ぶりの高値に上昇し、2017年に入って7%上昇しました。
人民元は2014年2.6%、2015年5.6%、2016年6.3%と3年連続で下落し(元安になり)中国政府は頭を抱えていました。
それが一転して急上昇した原因としては、ドルが他通貨に対して下落したのと、中国当局による締め付けが挙げられている。
中国政府と人民銀行は神経質なほど資金流出や、人民元の外貨交換を制限し、海外旅行の支出まで制限していました。
過剰なまでの規制に対して市場は元高で反応し、今度は予想以上に通貨が高くなりすぎて頭を抱えています。
元安では中国が外貨不足で破綻する恐れがあったが、元高では輸出競争力が低下して成長率が下がる。
多くのエコノミストは元高は10月18日の中国共産党大会までで、「大国のメンツ」を演出して元安に戻ると見ている。
中国の成長率は弱く、元高によってさらに輸出が打撃を受け、低成長になる事に、中国政府は耐えられない。
それよりは例え人民元下落率と実質成長率が同じ「実質ゼロ」でも、人民元計算で成長していたほうが対面が保てる。
中国は膨大な不良債権や公的債務、低成長、労働人口減少期突入など、基礎的条件が悪化し元安に成りやすい条件になっている。
中国経済が抱える不良債権問題
その中国の不良債権だが、公式には不良債権は存在しない事になっているが、実際には世界最悪の状況と報道されている。
というのは中国は過去に日本企業がやっていたような「不良債権の持ち合い」をもっと大規模かつ巧妙に制度化しています。
中国では正規の銀行はすべて国営か準国営で、民間銀行は存在しないが、法律上存在しない非正規銀行が巨大化している。
国民は正規の銀行には口座すら開けないので、法律上は存在しないシャドーバンクを利用しています。
シャドーバンクは日本のサラ金と地方銀行をくっつけたような存在で、もっと怪しげな商売をしています。
さらに不良債権押し付け専用の「バッドバンク」も存在していて、正規銀行やシャドーバンクはここに不良債権を移動することで、「不良債権ゼロ」を実現している。
どういう手口かというと、正規銀行は不良債権をシャドーバンクに売却し、替わりにシャドーバンクそのものに出資する。
こっちのクソをあっちに移動して、床下に隠すようなものだが、シャドーバンクもバッドバンクに同じ事をしている。
こうして表面上は優良銀行だが、床下に排泄物を溜め込んだ状態になっている銀行が多い。
そのうち床下に収まりきらなくなって、室内や周囲に流れ出すでしょう。