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「清朝末期に似る日本、韓国はさらに深刻」 日本の経済学権威インタビュー

2022-06-16 16:40:56 | 日記
「清朝末期に似る日本、韓国はさらに深刻」 日本の経済学権威インタビュー

6/14(火) 11:34配信

AFP聯合ニュース

名古屋商科大学ビジネススクールの原田泰教授は「今の日本は清末期に似ている」と主張し、日本社会に衝撃を与えた。

経済官僚出身の原田教授は、アベノミクス(安倍晋三元首相の大規模景気浮揚策)期間中、日本銀行の政策委員会審議委員(韓国銀行の金融通貨委員に該当)を5年間歴任した日本経済の最高権威だ。

「清朝末期に似る日本、韓国はさらに深刻」

 日本の経済学権威インタビュー

経済企画庁、財務省などを経て、日本の二大証券会社である大和証券の経済研究所である大和総研首席エコノミストとして6年間活動した。

2015年から2020年まで日本銀行政策委員会の審議委員としてアベノミクスを率いた。

 1999年に「日本の失われた10年」という著書を執筆し、今日の「失われた30年」という表現の元祖の一人だ。

原田教授は最近、韓国経済新聞とのオンラインインタビューで「日本が先進国の最低水準まで追いやられる」としながらも「韓国は急激な人口減少のために日本経済を追い越すのは難しい」と診断した。

 ▷現在の日本が清朝末期に似ている理由 

「清は1840年頃、アヘン戦争(1840年と1856年の2度にわたって英国と清の間で起きた戦争。 清が没落する契機に)の敗北で西欧に遅れをとった現実が如実に現れました。

改革が必須だったが、何もせず、1911年の辛亥革命(中国の民主主義革命。清が滅亡し、孫文を主体とする中華民国が誕生)で滅亡しました。

今日、日本もすべてがまともに回らない点が明白なのに、何もしないまま衰退してしまいました。
このような点で清末期に似ていると申し上げたのです」

 ▷具体的にどの部分が清末期に似ているか 「日本はデジタル化に遅れていることをすでに知っていました。

 新型コロナウイルスが拡散した時、世界各国が国民に現金を支給しました。

他の国々は、誰がどれだけ所得が減ったのかをすぐに把握して現金を支給したが、日本は全くだめでした。

PCR(遺伝子増幅)検査の数も大きく不足していました。

新型コロナウイルス感染症をきっかけに明らかになった問題点なのに、日本は「今のままでも大丈夫」という認識のため、簡単に変えられることさえ変えようとしませんでした」

 ▷日本が「今のままでも大丈夫」と清末期に似ている原因は何か 

「さまざまな抵抗勢力、現状を変えたくないので妨害する勢力があるからです。行政のデジタル化だけでも2000年代から推進してきた政策です。

予算だけで数兆円(数十兆ウォン)を使いました。 

しかし、20年が経っても何も変わっていません」

 ▷変わらない理由があるか 「日本のPCR検査数は、韓国に比べて大きく不足していました。 手作業でやったからです。

日本政府が目標に掲げた1日100万回の検査が可能なはずがありませんでした。機械を使えば可能なのに機械を使いませんでした。

機械を使えば損をする勢力があったのです。

現代版ラダイト運動(18世紀末から19世紀初めにかけてイギリスの工場地帯で産業革命と工場機械化に反対して労働者が起こした機械破壊運動)と言えます。
言葉では改革が必要だと言いますが、実際にはすべてが動いていません」

 ▷経済を含めて日本の国力が沈滞した最大の原因は何か 

「多すぎて取り上げにくいほどですが、雇用制度の硬直化が最も大きな問題ではないかと思います。 一度雇用した労働者を整理解雇するのがとても難しいです」。

 ▷現在の状況が続けば、日本が先進7か国(G7)や先進国グループから脱落する可能性もあると思うが 「(先進国から脱落しなくても)先進国の最低水準に追いやられるのではないかと思います。

 日本の人口は依然として欧州諸国の2倍以上であるため、遠い未来に先進国から脱落することはあるでしょうが、今すぐ数十年間は持ちこたえられるでしょう」

 ▷日本と韓国が入れ替わる可能性は低いか 「韓国の人口がもっと早く減少していますから。 韓国の1人当たりの国内総生産(GDP)増加率はすでに日本より高く、このような成長傾向が当分続くと思います。

しかし、この差は毎年1%ポイント程度です。

20年が過ぎれば、韓日1人当たりのGDP格差が20%減るでしょう。

代わりに日本の人口は韓国の2.4倍なのに韓国の人口減少が日本より深刻です。 韓日GDP(経済規模)が逆転しないと見る理由です」

 ▷1999年「日本の失われた10年」を執筆しました。

 日本が失われた10年から抜け出せずに「失われた30年」を迎えた理由は何でしょうか。

 「金融政策の失敗が何度も繰り返されたためです。 2008年のグローバル金融危機当時、1ドル=120円だった円相場が80円まで高騰しました。

一方、1ドル=1500ウォンまでウォン安ドル高が進みました。その結果、日本の価格競争力が大きく下落しました」

 ▷円高とウォン安が「失われた30年」の原因か。

 「為替レートも金融政策が失敗した結果です。 全世界が危機に対応して金融緩和を実施しましたが、日本銀行は全く動きませんでした。

 円が120円から80円まで急激に上がれば、製造業は手に負えません。

 日本の電子産業は壊滅的な打撃を受けました。

 反面、ウォン安のおかげで韓国の電子メーカーはそれだけ日本のシェアを奪いました。同時に構造改革をしなかったことも原因でした。

 構造改革を妨害した勢力がいっぱいでした。 

「規制強化ラダイト運動」が起きたのではないかと思うほどです」

 ▷日銀政策委員会審議委員として、大規模金融緩和政策に積極的に賛成しました。

 一方、10年間の大規模金融緩和と過度な円安誘導が日本のファンダメンタルズ(基礎体力)と企業競争力を弱化させたという指摘もある。 

「全く根拠のない主張です。 (アベノミクス当時の為替レートが)120円から5円前後に動いたことで過度に円安を誘導した、と指摘するのは話になりません。 120円だった円が80円に上がった時が過度なんです」

 ▷日本銀行が大規模な金融緩和を持続している反面、米国と欧州はすでに出口戦略を始めている

 「米国は物価上昇率が8%を超えていますから。 物価が上がりすぎて措置を取らなければならないが、日本の物価上昇率はまだ(日銀の目標値である)2%に達していないからです。

 インフレが激しくなったのは、1バレル=60ドルだった国際原油価格が120ドルに上昇したためです。

 だからといって来年国際原油価格が200ドルになるわけがないじゃないですか。

 今回のインフレが一時的であると見る理由です。

日本のインフレが一時的に2%を超えたものの、(4月の日本の物価上昇率は2.1%で、7年ぶりに2%を超えた)突然緊縮政策を実施すれば、再び慢性デフレに転じることになるだろう」

 ▷アベノミクスと日銀の大規模金融緩和が妥当だったと思われるのか 

「アベノミクスを実施した2013年~2019年の7年間、日本経済は毎年1%成長しました。 以前7年間の成長率は0.2%でした。 失業率も4%から2%に低くなりました」

 ▷失業率の下落はどんな意味があるか 

「金融緩和は失業率を下げて人材を不足させる効果があります。 人材が不足すれば生産性を高めようとする試みに反対する勢力が減ります。

 構造改革は簡単に申し上げて雇用を減らして生産性を上げることだが、人材が不足すればこれに反対する気流が消えるためです。 

そうすると衰退する産業から成長する事業に自然に労働力が移動することになります」

 ▷日本の低迷を止めるために必要な措置はどのようなものがあるか 

「『高圧経済(highpressureeconomy)』すなわち人材が不足している経済状況を作ることが重要です。

これを基盤に規制緩和と貿易自由化等を通じて労働の柔軟性を高めなければなりません」

 ▷岸田内閣の看板政策である「新しい資本主義」をどのように評価するか
 「分配にも力を入れるというが、政府が主導する経済政策は期待した通りに回らないものです。

脱石炭化政策も新しい経済成長の根幹になると広報しますが、間違っています。

結局、費用が高いエネルギーを使うということですが、高いエネルギーを使って成長することができるわけがない。

原油価格が急騰して実質所得が減ったのが問題なのに、なぜ費用がさらに高いエネルギーを使うのか」

 ▷新しい資本主義は積極的に賃金引き上げを誘導し消費を促進させる政策と要約できる 

「最低賃金を上げれば高い最低賃金に耐えられる企業だけが残ることになります。結果的に企業の生産性は上がるでしょうが、失業者が増えます。

労働者1人当たりの生産性は最低賃金を無理に引き上げれば増えるかもしれないが、失業が増えれば国民1人当たりの生産性は増えないからナンセンスです」

 ▷韓国も所得主導成長政策を展開した 「韓国も20~30%程度最低賃金を上げた結果、失業者が増えたじゃないですか。

それでも韓国なので3年間最低賃金を20%引き上げても良かったのです。

物価が上がり名目経済成長率が5~6%に達し、3年間経済が18%程度成長したからです。

 反面、物価も所得も上がらない日本が賃金を20%引き上げてみてください。 大変なことになるでしょう」(東京)

韓国経済を凋落させた「過激労組」驚きの傲慢ぶり、元駐韓大使が解説

2022-06-16 16:03:00 | 日記
韓国経済を凋落させた「過激労組」驚きの傲慢ぶり、元駐韓大使が解説

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)

6/16(木) 6:01配信

韓国を左傾化させた 二つの要因  韓国を左傾化させ、民主主義とはかけ離れた社会にした要因はいくつかある。

  最大のものは文在寅(ムン・ジェイン)氏のような大統領が誕生したことである。

その背景には「民主主義を実現したのは、軍事政権を倒した民主勢力だ」という幻想が未だに韓国に残っており、それが盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領、文在寅大統領時代の左翼思考の教育によって増幅されたことである。

  日本では、赤軍派による浅間山荘事件の過激な行動で、全学連などの運動団体の人々から国民の支持は離れていったが、韓国社会では前述のような状況から、未だに革新系の影響力が残されている。

しかも革新系の人々は団結心と闘争心が強く、いったん政権に就くと独裁的な政治を行うようになる。それが文在寅政権の独裁政治であり、親北・親中の政権運営につながった。

 もう一つの要因は、全国民主労働組合総連盟(略称「民主労総」)のような、世界的にも有数の戦闘的労働組合として知られる労組が存在することである。 

 その過激な思想と戦闘力は、文在寅氏の思想と相まって、韓国に社会主義的な経済体質を導入する原因となった。

さらに、民主労総による社会秩序を崩壊させるような行為を、文在寅政権は取り締まらず、むしろ助長したことから一層傲慢(ごうまん)になり、違法活動も当然のように行うようになった。

  尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が秩序のある社会の実現と経済活動の健全化を目指すのであれば、民主労総の無法な活動を取り締まり、無力化させることが不可欠である。 

 しかし、国会は今後2年間民主党が支配しており、新たな立法措置を作って抑制することはできない。

その一方で、民主労総に対する国民の支持は、自分たちの利益のみ追求する過激な行動によって失われている。

  こうした状況で尹錫悦政権がいかなる手法で、民主労総を抑えて行くかは韓国社会の健全化への試金石である。

 ● 組合員数約70万人の最大労組 民主総連という労働貴族 

 民主労総は、総組合数2032、組合員数69万3662人の韓国最大の労働団体である。加盟単産は16団体。

主な団体は現代自動車労組、全国教職員労働組合、ソウル市地下鉄労組、全国建設産業労働組合連盟、全国公共運輸労働組合連盟などで、いずれも過激な団体である。

  民主労総は大企業・正規職労働者中心の労働組合として年収9200万ウォン(約960万円)などの既得権に執着するうちに、強行闘争中心路線を歩むようになった。

 民主労総の過激な要求で有名なのが、現代自動車で行われているものである。

現代自動車でストが行われると民主労総が支援に駆け付けるといわれ、そして現代自動車労組は一時、毎年のように過激なストを長期にわたり決行した。

その結果、長年のストで生産活動が中断し、多額の損失を被るのを恐れ企業側の譲歩が続き、現代自動車の平均年収はブルーカラーも含め1000万円近くに引き上げられたという。

  これだけの厚遇にもかかわらず、現代自動車労組は21年6月、団体交渉で基本給付き5万ウォン(約5200円)引き上げなど1114万ウォン(約116万円)の賃上げ案を拒否した。

組合側は基本給月9万ウォン(約9400円)の引き上げや定年の延長などを要求していた。 

 また、現代自動車労組は、同社による米国での8000億円規模の新規投資と現地での電気自動車生産方針に反発しており、企業の経営方針に口を挟んでいる。

国内での雇用の減少を懸念してのことである。

  労組側は「海外投資を強行すれば、労使の共存共栄は遠のく」と述べている。

しかし、現代自動車の労働者の賃金は、米国より韓国のほうが高いと言われており、また、米国市場向けの自動車は現地生産するほうが有利であることから、米国への新規投資は当然な判断である。

 ● 自動車メーカーの労組で 強硬派トップが相次ぎ就任  現代自動車は、最近3年間はストを自粛してきたが、昨年12月に現代自動車労組(民主労総・金属労組・現代自動車支部)が行った支部長選挙で、強硬派のアン・ヒョンホ氏が当選した。

  アン氏は「労使協力主義」を一掃するという公約を掲げていた。

「残業するかどうかにかかわらず、無条件に30時間分の手当てを月給としてもらう」

「1日8時間の労働を7時間に減らす」「現在は年7.5カ月分のボーナスを8カ月分に増やす」などの公約を掲げた。

 韓国GM、現代重工の労組でも強硬派が当選し、起亜自動車の労組でも強硬な現代自動車と歩調を合わせるという。

  自動車メーカーの労組でいずれも強硬派が力を得たのは、文在寅政権の労組寄りの体質、民主労総に甘い体質により、民主労総の力が増していることが原因である。

そして前述の通り、企業の経営に口を差し挟む労組も目立ってきている。 

 こうした状況から韓国主要企業の労働者数は昨年18万人減少している。

一方韓国企業が海外で雇用する労働者は42万人増加している。

韓国は企業の生産活動にとって魅力のない国になってしまったようである。

 ● 民主労総は文在寅政権下で 法と秩序を破壊する団体に  韓国は昨年、新型コロナ感染の抑制のため、大規模集会を禁止していた。

しかし民主労総のヤン・ギョンス委員長(当時)は昨年7月3日、ソウル中心部で違法な全国労働者大会を主導した容疑で9月2日拘束された。

この時期、多くの国民は日常生活回復に向け「ウィズコロナ」を準備しようとしていた。

しかし、民主労総の違法集会直後に新型コロナウイルス第4波が始まった。

  民主労総は、左派政権である文在寅政権と蜜月関係にあったが、ヤン委員長の逮捕をきっかけに「自分たちを弾圧している」と非難し、文在寅政権と対立するようになった。 

 コロナのパンデミックにより2020年だけで営業損失11兆ウォン(約1.2兆円)が発生した自営業者は民主労総に活動の自粛を要求したが無視された。

  民主労総の問題は違法集会だけではない。

  昨年9月には、民主労総貨物連帯所属組合の運行ストにより、韓国の大手ベーカリーチェーン「パリ・バゲット」は全国3400店で材料を適時に確保できなくなり、大きな被害を受けた。

  日本の旧・労働省(現・厚生労働省)に相当する雇用労働部の消極的な対応が、さらに事態を悪化させた。

文在寅政権の誕生で民主労総がますます傍若無人な態度を取るようになり、労組による生産現場の不法占拠などの「労労衝突」が連日のように起きたが、雇用労働部は対策を打ち出さなかった。

  こうした中、民主労総は政治色を前面に出し、「貴族労組」の利益を目的とした政治権力集団となり、大韓民国の法の原則を無視する「秩序破壊者」になった。

● 貨物連帯のストにより 国内経済に深刻な影響 

 民主労総の活動を放置していては、韓国社会の秩序は失われ、生産現場の苦境は深刻になる。

それを象徴しているのが、韓国貨物連帯のストである。

  韓国では先週7日からトラック運転手らの全国規模のストが始まったが、2日目の8日には全国各地で衝突があった。

貨物連帯の運転手側は、年末に廃止予定の適正運賃の支払いを保証する優遇制度の延長や保証の拡大、軽油価格高騰への対策を要求している。

  韓国酒類大手であるハイト真露の京畿道仁川(キョンギド・イチョン)の工場では、民主労総公共運輸労働組合貨物連帯ハイト真露支部の組合員およそ40人が、酒類を積んで工場を出ようとした3.5トントラックの前に立ちふさがり、同組合員のうちの15人が業務妨害容疑で現行犯逮捕された。 

 同じ頃、釜山(プサン)でも貨物連帯の組合員2人が警察に連行された。

また、慶尚南道などで組合員20人が公務執行妨害などの容疑で逮捕された。

  納品車両が1日平均1万1000回ほど出入りする現代自動車蔚山(ウルサン)工場でも納品車両の70%に上る貨物連帯所属の車両が運送拒否に入ったことで、生産ラインの稼働に影響が及んでいる。 

 釜山港湾公社は、貨物連帯の輸送拒否と物流の支障が続けば13日には同港のコンテナ蔵置率が90%を超えるとみており、そうなれば港湾の運営が事実上マヒし、国内の物流全体に深刻な打撃を与えかねない。

8日には貨物連帯の組合員2万2000人のうち6500人がストに参加したとみられている。

 このストは、8日目の14日になっても収拾のめどはたっていなかった。その鉄鋼メーカーのポスコは浦項(ポハン)製鉄所の線材工場・冷延工場の稼働を13日に停止した。

同製鉄所では製品の倉庫が不足し、駐車場・道路に製品を野積みしている。  韓国政府によると、今回のストで自動車や鉄鋼メーカーは生産や輸送が滞り、一部の工場が止まるなどなど大きな打撃を受けている。

12日までの6日間で1兆6000億ウォン(約1700億円)以上の損失が出たということである。 

 現代自動車蔚山工場でも貨物連帯組合員およそ1000人全員がストに参加し、工場稼働率は50%に落ちた。  産業界は貨物連帯のスト中断を要求している。大韓商工会議所など31の経済団体も12日、共同声明を出して貨物連帯の輸送復帰を求めた。

 ● 尹錫悦政権の現実的対応で 貨物連帯ストは短期終結 

 尹錫悦大統領は7日、政府庁舎に出勤する際、記者の質問に「使用者の不当労働行為も、労働者の不法行為も、選挙運動をする時から『法と原則に基づいて対応する』と明らかにしてきた」と述べた。 

 また、大統領室の関係者も「憲法が保障する集会・結社の自由は当然尊重する」としながらも「不法道路占拠や暴力行使、代替輸送の妨害のような不当行為に対しては厳正に対応する」と述べた。 

 その一方で、尹錫悦政権は国土交通部を中心に貨物連帯との対話を行った。別の大統領室関係者は「不法行為には厳しく対処するものの、話し合いを続けながら産業界に被害がないようにするのが目標」との立場を明らかにしていた。

そして14日、政府と貨物連帯の交渉が劇的に妥結した。

最大の争点だった適正な運賃の支払いを保証する制度は今年末には終了せず、ひとまず維持することで合意した。これで8日間続いたストも終結する。

国土交通部関係者によれば、適正な運賃の支払いの延長については追加で議論していく予定という。  この対話において、貨物連帯が国土交通相との対話を要求したのに対し、国交部が次官補クラスの交渉団を送った。

両者は12日夜遅くまで交渉したが、合意に至らなかった。

だが、交渉に入っていた与党・国民の力が適正運賃の永久法制化には距離を置きつつも、ひとまず延長案は検討可能との立場を示して交渉したことが進展す
る契機となったという。  

産業界の求めに応じ、政府与党が介入することにより現実的な線で合意できたことが今回の成果である。文在寅政権であれば、民主労総が言ったことは受け入れ、適正運賃を永久化したのではないだろうか。

これは尹錫悦政権の文在寅政権との違いが見える解決であった。

  そもそも貨物連帯のストは文在寅前大統領の民主労総への融和姿勢が生んだ悪癖である。  今回、政府が硬軟両様の姿勢で乗り出し、ストを長引かせない先例ができたことで、こうした悪癖が減っていくことを期待したい。
  (元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)