「清朝末期に似る日本、韓国はさらに深刻」 日本の経済学権威インタビュー
6/14(火) 11:34配信
AFP聯合ニュース
名古屋商科大学ビジネススクールの原田泰教授は「今の日本は清末期に似ている」と主張し、日本社会に衝撃を与えた。
経済官僚出身の原田教授は、アベノミクス(安倍晋三元首相の大規模景気浮揚策)期間中、日本銀行の政策委員会審議委員(韓国銀行の金融通貨委員に該当)を5年間歴任した日本経済の最高権威だ。
「清朝末期に似る日本、韓国はさらに深刻」
日本の経済学権威インタビュー
経済企画庁、財務省などを経て、日本の二大証券会社である大和証券の経済研究所である大和総研首席エコノミストとして6年間活動した。
2015年から2020年まで日本銀行政策委員会の審議委員としてアベノミクスを率いた。
1999年に「日本の失われた10年」という著書を執筆し、今日の「失われた30年」という表現の元祖の一人だ。
原田教授は最近、韓国経済新聞とのオンラインインタビューで「日本が先進国の最低水準まで追いやられる」としながらも「韓国は急激な人口減少のために日本経済を追い越すのは難しい」と診断した。
▷現在の日本が清朝末期に似ている理由
「清は1840年頃、アヘン戦争(1840年と1856年の2度にわたって英国と清の間で起きた戦争。 清が没落する契機に)の敗北で西欧に遅れをとった現実が如実に現れました。
改革が必須だったが、何もせず、1911年の辛亥革命(中国の民主主義革命。清が滅亡し、孫文を主体とする中華民国が誕生)で滅亡しました。
今日、日本もすべてがまともに回らない点が明白なのに、何もしないまま衰退してしまいました。
このような点で清末期に似ていると申し上げたのです」
▷具体的にどの部分が清末期に似ているか 「日本はデジタル化に遅れていることをすでに知っていました。
新型コロナウイルスが拡散した時、世界各国が国民に現金を支給しました。
他の国々は、誰がどれだけ所得が減ったのかをすぐに把握して現金を支給したが、日本は全くだめでした。
PCR(遺伝子増幅)検査の数も大きく不足していました。
新型コロナウイルス感染症をきっかけに明らかになった問題点なのに、日本は「今のままでも大丈夫」という認識のため、簡単に変えられることさえ変えようとしませんでした」
▷日本が「今のままでも大丈夫」と清末期に似ている原因は何か
「さまざまな抵抗勢力、現状を変えたくないので妨害する勢力があるからです。行政のデジタル化だけでも2000年代から推進してきた政策です。
予算だけで数兆円(数十兆ウォン)を使いました。
しかし、20年が経っても何も変わっていません」
▷変わらない理由があるか 「日本のPCR検査数は、韓国に比べて大きく不足していました。 手作業でやったからです。
日本政府が目標に掲げた1日100万回の検査が可能なはずがありませんでした。機械を使えば可能なのに機械を使いませんでした。
機械を使えば損をする勢力があったのです。
現代版ラダイト運動(18世紀末から19世紀初めにかけてイギリスの工場地帯で産業革命と工場機械化に反対して労働者が起こした機械破壊運動)と言えます。
言葉では改革が必要だと言いますが、実際にはすべてが動いていません」
▷経済を含めて日本の国力が沈滞した最大の原因は何か
「多すぎて取り上げにくいほどですが、雇用制度の硬直化が最も大きな問題ではないかと思います。 一度雇用した労働者を整理解雇するのがとても難しいです」。
▷現在の状況が続けば、日本が先進7か国(G7)や先進国グループから脱落する可能性もあると思うが 「(先進国から脱落しなくても)先進国の最低水準に追いやられるのではないかと思います。
日本の人口は依然として欧州諸国の2倍以上であるため、遠い未来に先進国から脱落することはあるでしょうが、今すぐ数十年間は持ちこたえられるでしょう」
▷日本と韓国が入れ替わる可能性は低いか 「韓国の人口がもっと早く減少していますから。 韓国の1人当たりの国内総生産(GDP)増加率はすでに日本より高く、このような成長傾向が当分続くと思います。
しかし、この差は毎年1%ポイント程度です。
20年が過ぎれば、韓日1人当たりのGDP格差が20%減るでしょう。
代わりに日本の人口は韓国の2.4倍なのに韓国の人口減少が日本より深刻です。 韓日GDP(経済規模)が逆転しないと見る理由です」
▷1999年「日本の失われた10年」を執筆しました。
日本が失われた10年から抜け出せずに「失われた30年」を迎えた理由は何でしょうか。
「金融政策の失敗が何度も繰り返されたためです。 2008年のグローバル金融危機当時、1ドル=120円だった円相場が80円まで高騰しました。
一方、1ドル=1500ウォンまでウォン安ドル高が進みました。その結果、日本の価格競争力が大きく下落しました」
▷円高とウォン安が「失われた30年」の原因か。
「為替レートも金融政策が失敗した結果です。 全世界が危機に対応して金融緩和を実施しましたが、日本銀行は全く動きませんでした。
円が120円から80円まで急激に上がれば、製造業は手に負えません。
日本の電子産業は壊滅的な打撃を受けました。
反面、ウォン安のおかげで韓国の電子メーカーはそれだけ日本のシェアを奪いました。同時に構造改革をしなかったことも原因でした。
構造改革を妨害した勢力がいっぱいでした。
「規制強化ラダイト運動」が起きたのではないかと思うほどです」
▷日銀政策委員会審議委員として、大規模金融緩和政策に積極的に賛成しました。
一方、10年間の大規模金融緩和と過度な円安誘導が日本のファンダメンタルズ(基礎体力)と企業競争力を弱化させたという指摘もある。
「全く根拠のない主張です。 (アベノミクス当時の為替レートが)120円から5円前後に動いたことで過度に円安を誘導した、と指摘するのは話になりません。 120円だった円が80円に上がった時が過度なんです」
▷日本銀行が大規模な金融緩和を持続している反面、米国と欧州はすでに出口戦略を始めている
「米国は物価上昇率が8%を超えていますから。 物価が上がりすぎて措置を取らなければならないが、日本の物価上昇率はまだ(日銀の目標値である)2%に達していないからです。
インフレが激しくなったのは、1バレル=60ドルだった国際原油価格が120ドルに上昇したためです。
だからといって来年国際原油価格が200ドルになるわけがないじゃないですか。
今回のインフレが一時的であると見る理由です。
日本のインフレが一時的に2%を超えたものの、(4月の日本の物価上昇率は2.1%で、7年ぶりに2%を超えた)突然緊縮政策を実施すれば、再び慢性デフレに転じることになるだろう」
▷アベノミクスと日銀の大規模金融緩和が妥当だったと思われるのか
「アベノミクスを実施した2013年~2019年の7年間、日本経済は毎年1%成長しました。 以前7年間の成長率は0.2%でした。 失業率も4%から2%に低くなりました」
▷失業率の下落はどんな意味があるか
「金融緩和は失業率を下げて人材を不足させる効果があります。 人材が不足すれば生産性を高めようとする試みに反対する勢力が減ります。
構造改革は簡単に申し上げて雇用を減らして生産性を上げることだが、人材が不足すればこれに反対する気流が消えるためです。
そうすると衰退する産業から成長する事業に自然に労働力が移動することになります」
▷日本の低迷を止めるために必要な措置はどのようなものがあるか
「『高圧経済(highpressureeconomy)』すなわち人材が不足している経済状況を作ることが重要です。
これを基盤に規制緩和と貿易自由化等を通じて労働の柔軟性を高めなければなりません」
▷岸田内閣の看板政策である「新しい資本主義」をどのように評価するか
「分配にも力を入れるというが、政府が主導する経済政策は期待した通りに回らないものです。
脱石炭化政策も新しい経済成長の根幹になると広報しますが、間違っています。
結局、費用が高いエネルギーを使うということですが、高いエネルギーを使って成長することができるわけがない。
原油価格が急騰して実質所得が減ったのが問題なのに、なぜ費用がさらに高いエネルギーを使うのか」
▷新しい資本主義は積極的に賃金引き上げを誘導し消費を促進させる政策と要約できる
「最低賃金を上げれば高い最低賃金に耐えられる企業だけが残ることになります。結果的に企業の生産性は上がるでしょうが、失業者が増えます。
労働者1人当たりの生産性は最低賃金を無理に引き上げれば増えるかもしれないが、失業が増えれば国民1人当たりの生産性は増えないからナンセンスです」
▷韓国も所得主導成長政策を展開した 「韓国も20~30%程度最低賃金を上げた結果、失業者が増えたじゃないですか。
それでも韓国なので3年間最低賃金を20%引き上げても良かったのです。
物価が上がり名目経済成長率が5~6%に達し、3年間経済が18%程度成長したからです。
反面、物価も所得も上がらない日本が賃金を20%引き上げてみてください。 大変なことになるでしょう」(東京)