韓国・文在寅が「自爆」した…! まさかの「逆ギレ」に“大ブーイング”が起きているワケ
6/14(火) 16:02配信
武藤 正敏(元駐韓国特命全権大使)
いま韓国前大統領の自宅周辺でデモが起きている。
文在寅氏はそれに激怒しているが、前編記事『韓国・文在寅の「あわれな末路」…
自宅まわりで「拡声器」「デモ」「非難殺到」でも”自業自得”なワケ』ではそんな文在寅氏に同情する声はなく、むしろ自業自得という声が広がっている様をレポートした。
文在寅氏がこれまでしてきたことを振り返ると、むしろひどいデモを許容してきたという現実が浮かび上がる。
文氏や民主党はそんなことは忘れたかのように”逆ギレして見せているが、韓国国民はそれを冷めた視線で見ている。
いま韓国で起きていることを最新レポートでお届けしよう。
自業自得の「結末」
好き放題やりすぎた男
そもそも、保守派の抗議デモの原因を作ったのは文在寅氏と民主党による「積弊の清算」である。
文在寅政権は、保守派の業績を否定し、保守派が再び立ち上がれないように、朴槿恵、李明博元大統領を逮捕・勾留し、その側近の多くも拘束された。
しかし、文政権の独裁とネロナンブルが行き過ぎた結果が、尹錫悦大統領を当選させた。
政権を奪い返したと考える保守派が、文政権に対する抗議の集会やデモを行うことは韓国では普通のことである。
しかし、文在寅氏と民主党は、これまで自分たちがさんざんやってきたことでも被害者の立場になると規制を懸けようとする。
これではネロナンブル(わたくしすればロマンス、他人がすれば不倫=身内に甘く、他人には厳しい姿勢)と非難されるのは当然である。
文在寅が傍観してきた「相手方へのデモ」
文在寅政権は過去5年間にわたり相手陣営に対する騒音・侮辱が乱舞するデモを傍観し、あるいは助長さえした。
2017年には李明博(イ・ミョンバク)元大統領の私邸前で彼の逮捕を求めるデモが4ヵ月にわたり毎日のように続けられたが、当時の文在寅政権関係者は自制を求めるどころか、時には現場を訪れ、デモ隊を激励していた。
これは李明博氏逮捕の口実つくりと言われてもやむを得ないだろう。
青瓦台周辺のソウル市鍾路区清雲洞や孝子洞周辺では全国民主労働組合総連盟(民主労総)が長期にわたりデモを続け、これにより苦痛を受けていた周辺住民が嘆願した時も、文政権下の警察は民主労総の行動には目を瞑った。
民主労総は現代自動車のストを支援し、労働者の権利拡張を推進する過激な労総であり、文在寅氏に対する影響力が大きい。しかし、韓国経済の悪弊を作っているが民主労総でもある。
集会が頻発しているのは、大企業のビルの周辺も同様であり、瑞草区瑞草洞のサムスン電子ビル前では大音量によるデモがほぼ毎日おこなわれており、同社の李在鎔副会長の自宅前も同様である。
こうした集会、デモによって文在寅政権は財閥グループに圧力をかけてきた。
それは文在寅氏の財閥叩きの一環でもあるのだろう。
「100メートル以内」のデモ禁止対象に…?
民主党は自分たちの陣営による過激な行動には何もしなかったが、文在寅前大統領が被害を受ける立場になると集会・示威法の改正に乗り出した。
保守派のデモに関し、文在寅政権で青瓦台の首席秘書官を務めていた議員が梁山警察署を訪れた。
韓秉道(ハン・ビョンド)議員は「警察が私邸前の集会にとても中途半端な態度だ」と抗議した。
これに対して、警察は「法律解釈を通じて私邸前の集会デモに対してもう少し積極的に対処したい」と答えた。
さらに議員らは「憲法が保障した集会デモの根本趣旨を離れて、私的利益や住民生活を著しく難しくする集団テロ水準の行為を制限する内容として、集会及びデモに関する法律改正案を準備している」と述べた。
民主党の議員10人が集会・示威法に定められた「100メートル以内のデモ禁止対象」に、前職大統領の私邸を新たに追加する法改正案を国会に提出した崔順実氏の娘からも「ネロナンブル非難」
文在寅前大統領の娘のダヘ氏は、文在寅前大統領自宅前の保守団体の拡声器デモに関して、「家の中に閉じ込められたネズミのよう」「これが果たして集会なのか。
銃口を向けて撃たないだけで、隅に追いやって言葉の銃を撃つのと何が違うのか。憎しみと汚い言葉だけを排泄するように叫んでいる」と苦情を述べた。
これに対し、朴槿恵(パク・クネ)元大統領弾劾の切っ掛けを作った友人の崔順実(チェ・スンシル)氏の娘のチョン・ユラ氏は、
「銃口を向けて撃たないだけで言葉の銃を撃つ?
あなたが一番得意なことじゃないの。やられてみると死にそうでしょう」と反撃した。
さらに「静かに生きる権利がどこにあるの」
「あなたが出てきて突進してごらんなさいよ。じゃあ私もそちらに行ってあなたにネロナンブルについて一度詳しくお聞きしようかしら」と述べた。
このやり取りの後、ダヘ氏は自身のツイッターを削除した。
文在寅氏は2017年のJTBCのテレビ番組で、
「大統領になれば納得できない批判、非難にも我慢できるのか」との質問に対し「我慢しなければいけない。
国民はいくらでも権力者を批判する自由がある」と述べた。
さらに、「どんな非難・批判にも絶対に告訴・告発しないと約束してほしい」との要請に対しては、「権力者を批判することによって国民の不満を解消でき、慰めになれば、それもよいことだ」と答えていた。
自分の都合で発言がコロコロ変わるのが文在寅
当時は、朴槿恵前大統領、李明博元大統領を逮捕訴追すべく画策していた時であり、このような発言もそのような文脈で語ったのであろう。
非難・批判の矛先が自分に向けられるとは考えていなかったのではないか。
自分の都合で発言はいくらでも変わるのが文在寅氏である。
それを示すように、最近の私邸前のデモ参加者に対し、代理人を通じ侮辱や虚偽事実による名誉棄損などで告訴した。
韓国警察は6月7日、ソウル市竜山区の大統領執務室周辺100メートル以内での集会を原則禁止するとした方針を撤回した。
裁判所が最近相次いで出した「集会禁止は不当だ」とする趣旨の決定を受けたものである。
警察の集会禁止措置を不服として、裁判所に執行停止の申し立てを行ったのは参与連帯など文在寅氏や盧武鉉氏に近い革新系の団体である。
一方では集会・デモの禁止解除を求め、一報では禁止しようとする。
警察は裁判所の決定を考慮し、執務室から20メートル離れた戦争記念館前の歩道上で300-500人前後の集会は許可することにした。
また、デモや集会参加者が更新する場合、大統領執務室前を通ることも認めた。
尹錫悦大統領は、文在寅氏私邸前の集会禁止要求に対し、
「大統領執務室前もデモが許可される場所だ」
「すべて法に従えばよいのではないか」と述べた。
裁判所が大統領執務室周辺での集会を認める処分が相次いで出されていることから、文在寅氏私邸周辺での集会を拒む根拠はないという意味合いで述べたのであろう。
民主党関係者は一斉に反発しているが、尹大統領は気に留めていないのではないだろうか。
民主党の思うようにはならない
民主党の議員は、大統領の私邸前も100メートル以内の集会を禁止する法律を成立させようとしている。
数の論理で行けば、この法案は国会を通過させることも可能である。
しかし、その法律の採択を受けた尹錫悦大統領はこれを認可することはないだろう。
政権についていればネロナンブルにより思い通りの法律つくりができたかもしれない。
しかし、政権を去れば、政権と協議し、すり合わせをする必要がある。
今後は、政権が求める法律との取引が必要となるだろう。
政治は話し合いで動く。民主党の独裁は民主主義の政治ではない。
これからは民主党の思う通りにはならないことを肝に命ずるべきである。
武藤 正敏(元駐韓国特命全権大使)