トルコでは、その後の報道によれば
国営テレビ局を占拠して「全権を掌握した」と放送させたにもかかわらず、どうやら一部の軍人によるクーデターは、失敗したようです。
トルコの政権も「クーデターは失敗した」としていることから、これは事実なんでしょうが、この騒動で多くの人命が失われたようです。
かつてエジプトでは
- ムバラク〔1928- 大統領在任1981-2011〕政権が続きましたが、長すぎて弾圧が避けられなくなり、同じ北アフリカのチュニジアに影響されて起った「エジプト革命」によって、腐敗政権は崩壊しました。
- 独裁政権の崩壊はよかったのですが、そのあとがいけません。エジプト軍が一旦全権を握った状態で、いままで押さえつけられてきた各派の勢力が力を伸ばし、選挙で選ばれたはずの新大統領が、イスラム教独裁を目指していると批判され、大混乱に陥りました。
- 見かねたエジプト軍が再び全権を掌握し、新しく選挙で大統領を選び、現在に至っています。エジプトはイスラム圏ではありますが、軍隊に頼った脱中東の世俗主義社会、という印象が残ります。
さてトルコではどうか。
- この国もまたイスラム圏にあるものの、脱中東の世俗主義が根強く、エジプトと同じで軍隊の動きから目を離せません。
- ついこの間の2016/05/24、トルコ大統領エルドアンの独裁と対立して首相ダウトオールが辞任し、新しく首相が誕生しました。その2ヶ月後の2016年7月15日に発生したのが、このクーデター未遂事件でした。
- 国によって異なるでしょうから、トルコの一部軍人がどのような意図でこの騒ぎを起こしたのか、私は把握していません。
あらゆる可能性を想定するならば
- エルドアンの独裁に危機を感じた一部イスラム主義者の軍人が起こしたクーデターだったのか。またギュレン運動も関係しているのか。
- トルコ政権では、軍部を把握できていないのか、それとも軍の内部が分裂しているのか。
- また騒動に関係したとされるきわめて多くの軍関係者や司法関係者を処罰・更迭したのが事実だとすれば、それほど危機感があったのでしょうか。
- エルドアンは、イスラム教徒には違いないでしょうが、そもそも①非世俗主義者なのか、②世俗主義者なのか、それとも③単なる独裁主義者なのか。あるいはまたそんな分類など意味がないのでしょうか。
これにクルド人問題、シリア問題(移民・難民・空爆)、EU加盟問題、ロシアや中国への接近、などがからんできて、まったく私にはわかりません(笑)。
ただし私が、がとても大切だと思うのは
- エジプト/トルコが脱中東を考えている(中東イスラム国家との節度をもった関係)
- 日本が脱アジアを考えている(アジア儒教国家との節度をもった関係)
エジプト/トルコと日本が
共に宗教国家(イスラム教独裁主義・儒教風味の独裁主義)から距離を置きたいという点で似ているのではないか、と思うからです。
念のために言っておけば
福沢諭吉は「脱亜」を主張していますが「入欧」という言葉は使っていません。〔脱亜入欧:Wikipedia〕
日本が、言論・報道を統制し国家独裁を続ける中国・朝鮮半島との「節度をもった関係」をもつことを「脱亜」と表現するというのならば、私はこれに賛成するものです。
そして
「入欧」は日本・エジプト・トルコの、どの国にとっても、正しいとは思いません。
なぜかというと、いいも悪いも今のヨーロッパ社会は、キリスト教を前提としており、そこにはイスラム教との関係で自ずと限界があるからでした。その限界に気づいている人は、昔からたくさんいたようです。
ザビエルの頃からキリスト教は、死生観が異なる日本では、爆発的には普及しなかったようです。詳しくは次のリンク先を御覧下さい。
私は決して
「宗教をなくす」ことを主張しているのではなく、「宗教色を薄めてはどうか」と主張しています。こうしないと今の対立・大混乱は、長く続くと思われるからです。
もちろんそこには、イスラム教徒がイスラム教色を薄めることも、キリスト教徒がキリスト教色を薄めることも、含まれます。
さらには中国が共産主義独裁色を薄めることも、含まれます。
こういった理由で私には、エジプト問題・トルコ問題が、人ごとではないのでした。
さてさて、皆様はどう思われますか。